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【読書】 3月に読んだ本 9冊

3月に読んだ本のまとめです。
今月は湊かなえさん月間。1冊読むと、あ、これも読んでなかった、あれも読んでなかった、となり、数珠繋ぎのように湊かなえさんが多くなってしまいました。
重いお話ではあるのだけど、読みやすいのが湊かなえさんの特徴なんだろうなあ。


シャルロットのアルバイト / 近藤史恵

待っていました!シャルロットシリーズ2作目。
元警察犬でお利口さんのシャルロットを通じて、その飼い主の浩輔と真澄が解く、日常の謎。
全編を通して謎は苦め。真澄の優しいんだがなんだか分からない、ちょっと突き放すような、あまり温もりのない対応が引っかかる。シャルロットにしか興味がない感じなんだよなあ。
でもシャルロットの可愛さに癒された。わたしも犬を飼ってたけれど、その犬が亡くなってからは飼わない選択をしている。それは犬に100%の愛情を注ぐのが今の暮らしでは難しいと分かっているから。このシリーズを読むと、犬と暮らす自信がどんどんなくなっていく……。でも読んじゃう。


お誕生日会クロニクル / 古内一絵

誕生日会にまつわる連作短編集。古内さんっていうのと、装丁の美しさに惹かれて手に取った。どの話もヒリヒリするし心がえぐられるけど、最後には主人公が前を向けるようになっていることでなんとか救われる。
誕生日を迎えて嬉しいと思えるのは、周りの人間関係が良好でないと難しいのかも。


ポイズンドーター・ホーリーマザー / 湊かなえ

もうこうなったら、誰でも人は毒親であり毒娘なのでは?と思う。
もちろん毒親の種類にもよるけれど、愛情が行き過ぎて心配が干渉になったり、束縛になってしまうことってめちゃくちゃグレー。
わたしだって家族の帰りが遅ければ心配するし、ちょっと電話してみよっかな?ってしたこともあるしな…。
文庫の解説が脚本家の清水友佳子さん。「清く正しく生きていても幸せな人生を送れるわけではない現実。善意という名の凶器でメッタ打ちにされる恐怖、笑顔の裏でじわじわと蓄積された負の感情がコップから溢れ出る瞬間」という文章たちがこの物語の全てを伝えていると思う。


古本食堂 / 原田ひ香

すごく好きな本だった。手元に置いておきたい。
古本食堂というから、古本屋兼食堂なのか、食堂兼古本屋なのかと思っていたらそうではなかった。
でも古本や食べ物以外の、珊瑚をはじめとする登場人物がとてもいい。珊瑚のほわっとしたところや、美希喜の気の強いところ、芽衣子のハッキリしすぎるところ、建文の実直なところといった、書き方ひとつでマイナスになりそうな一面が不快感なく描かれていていい。
美希喜の担当教授、仕事まで考えてくれるなんてめちゃいい先生!彼らの将来がぼんやり見えたところで終了。続編期待。


豆の上で眠る / 湊かなえ

事件の渦中のシーンが長すぎて、読むのを一回中断してしまった。
最終章は怒涛の展開だが、どうしてもその前が長かった分、詰め込んだ印象になってしまって残念。主人公の家族からの扱われ方に腹が立った。何で核心をそこまで内緒にする必要があったのか、彼女があまりに蚊帳の外に追いやられすぎて切なかった。そりゃたまらんよ。人生狂うわ。


サファイア / 湊かなえ

各タイトルが宝石の名前になった短編集。サスペンス、ホラー、ファンタジーなど、いろんなお話が詰め込まれてい た。どれもよかったけど「ムーンストーン」が好き。叙述トリックまではいかないけど、まんまと騙されたし、気持ちのいい終わり方でじーんときた。「ダイヤモンド」は主人公が不憫で…。表題の「サファイア」で胸が掴まれる思いになり「ガーネット」の終わりで希望を見出した。


生皮 あるセクシャルハラスメントの光景 / 井上荒野

今月のNo.1。めちゃくちゃ面白くて一気読み。
淡々と書かれた文章だからか、内容はキツイけど読みやすく、あっという間に読んだ。憧れや尊敬のような感情は、人の判断を鈍らせるのだなと思う。上下関係ができてしまっている間柄では、どんなに望んでも対等に話なんてできない。下の者は上に気を遣うし緊張するし本当のことなんて話さない。セクハラであろうとなかろうと、そういう気持ちは誰でも味わってるはずなのに、どうしてこんな風に勘違いするのだろう。しかもなんで同意だと思うのだろう。その独りよがりな自信に気持ち悪さが募る。月島の妻と娘はこれからどうするのだろう。
詳しい感想はこちらにも。


往復書簡 / 湊かなえ

ひとつの物事に対して、人が変われば捉え方も見え方も記憶もまるで変わるのだと教えてくれる。自分の中に後ろめたい気持ちがあれば、思い込みは膨らみ、記憶の中で事実になっていく。 それにしても1話目はちょっと無理があるのでは……と思う設定が。それがキーになっていたけれど、なんだか冷めてしまった。
ところでこんだけ長い手紙って便箋何枚分だろう?


贖罪 / 湊かなえ

このあいだドラマを見て小説を再読。もう10年以上も前の作品なんだなあ。最初に読んだのいつだっけ?ドラマを見るまでさっぱり内容を忘れていた。
麻子という人間が最後まで好きになれずに終わる。彼女の呪いの言葉をかけられた4人が幸せになれる日が来てほしいと思う。朝子について書くとネタバレになってしまうのでこのくらいに。


3月は割と重めのラインナップ。最近こういうのがサクサク読めるターンなのかも。
4月に続く。

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