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コワーキングスペースと運営者のための9つの認証制度:今日のアウトテイク#221(2024-06-26)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ、殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」

※今日はちょっと長め。


#今日のBGM

#今日のコトバ

"大文字で語るな。"
(宮本常一)

"漢字でしゃべるな。"
(カフーツ伊藤)

#『一箱本棚型書店』のコワーキング

昨日、はじめてのコワーキングは敷居が高い、という話を書いたけれど、

誰かに連れられてやって来る、ということはある。そうすると、はじめてでもずいぶん気が楽だ。

今日も、先日、山﨑ケンちゃんの「間借りコワーキング」に来られた方が、はじめてコワーキングを見るという女性をお連れになった。こういうつながりがウレシイですね。

で、うちの本棚を見るなり、「これ、読んでもいいの?」と訊くので、「ぼくの個人的な蔵書ですが、全然、構いません」と答えた。ついでに、「あそうそう、もうちょっと先ですが、『一箱本棚型書店』も始めます」と前宣伝。

それはできれば、夏の間にやってしまいたい。

#コワーキングスペースと運営者のための9つの認証制度

Coworksが、コワーキングが目指すべき資格を9つ紹介しているので共有しておく。

冒頭のこの言葉に大きく頷く。その通り!

どのように競争するか?どう差別化するのか?その答えは常に地域社会にあるが、それはあなたが誰であるか、そしてどのように運営するかということでもあるかもしれない。

一歩先を行くには、高速Wi-Fiやスタイリッシュなワークスペースを提供することだけではありません。持続可能性、ウェルネス、コミュニティといった、今日のワーカーの心に深く響く価値観を体現し、本物であることがますます重要になってきているのです。

「競争」という概念はコワーキングには余計だが、コワーカーの共感を得るために何が重要か、それはハコではない、という趣旨には大いに賛同する。

そして、コワーキングがこのような価値観や世界観に基づき、どのグループにコミットしているかを示す具体的な方法として、世界には数々の認証制度がある。

例によって雑訳して、ちょっと長いが以下に列記する。ただし、これはあくまで海外のコワーキングを対象にしており、日本でここまで意識しているコワーキングはほぼ皆無と思われることをお断りしておく。

が、しかし、いずれ、日本もこれを意識せざるを得ないようになるはず。それは間違いない。

1.Bコープ認証:社会的・環境的責任のチャンピオン
内容:
Bコープ認証は単なるステータスではなく、コミュニティ。社会的・環境的パフォーマンス、説明責任、透明性についての厳格な基準がある。この認証を取得したコワーキングスペースは、「世界のために良いことをすることを約束する企業」の仲間入りをし果たす。

なぜ価値があるのか:
Bコーポレーションとは、単に利益を追求するだけでなく、目的意識を持った企業であることを意味する。コワーキングスペースにとって、この認証は公正な賃金、地元企業の支援、環境的に持続可能な実践など、コミュニティ全体に利益をもたらす実践を遵守することを意味している。

※Bコープについては、ここにも書いてる。

非常に厳しい審査がある認証だが、なんとこの認証を受けているコワーキングが世界に48ある。立派!これが今年の2月時点だから、もしかしたら増えているかもしれない。日本からもぜひ認証されるコワーキングが出てきてほしい。

2.クライメート・アクティブ認証:カーボンニュートラルへのコミットメントを示す
内容:
クライメート・アクティブ認証は、カーボンフットプリントの削減や残りの排出量のオフセットなど、包括的な対策を通じてネット・ゼロ・カーボン・エミッションを達成したオーストラリア企業に授与される。

なぜ価値があるのか:
気候変動は重要な問題であり、企業はその解決策の一翼を担うことがますます求められています。カーボンニュートラルを実現することで、コワーキングスペースは環境への影響を最小限に抑えるだけでなく、環境意識の高い企業へのアピールも高めることができます。

※コワーキングと環境問題については、ヨーロッパ、特にイギリスのネット・ゼロ・エミッションへの取り組みについてここに書いた。

3.WELL健康・安全性評価:ウェルネスと安全を優先する
内容:
WELL健康・安全格付けは、建物が継続的に使用されるために安全で健康的であることを保証するための運営方針、メンテナンス・プロトコル、緊急時計画に焦点を当てている。

なぜ価値があるのか:
特にCOVID-19の大流行を受けて、今日の世界では健康とウェルネスが最重要視されている。この認証は、室内の安全性と健康を維持するための科学的裏付けによって、会員の健康が優先されることを示す。

※コワーカーの「健康」がコワーキングのテーマの一つでもあることは、コワーキング曼荼羅でも明示している。これにはメンタルヘルスケアも含む。

4.LEED認証:エネルギー・環境設計をリードする
内容 :
LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)は、持続可能性の達成とリーダーシップの象徴として世界的に認知されている。LEEDは、エネルギー効率、水使用量、空気の質、建材など様々な側面をカバーしている。

なぜ価値があるのか:
LEED認証は、コワーキングスペースが最高の環境基準に基づいて設計・運営されていることを示すもの。省エネ、水使用量の削減、室内空気の質の向上への取り組みが反映されている。

※持続可能な資源活用についても、同じくここに書いてる。

5.SUPER認証:プラスティックフリーのワークスペースを開拓する
内容:
SUPER(Single-Use Plastic Elimination or Reduction)認証は、使い捨てプラスティックの削減や排除に成功した企業を認証することを目的としている。コワーキングスペースでは、使い捨てのコップや皿、食器に代わる再利用可能なものを提供したり、プラスティックの文房具を排除したり、プラスティックフリーのパッケージや消耗品を採用するようテナントに奨励するなどの取り組みが考えられる。

なぜ価値があるのか:
プラスティック汚染は最も差し迫った環境問題のひとつであり、野生生物、水路、海洋に大きな影響を与えている。使い捨てプラスティックを減らすことで、コワーキングスペースは環境フットプリントを大幅に削減し、環境意識の高い消費者にアピールし、ビジネスコミュニティの模範となることができる。

※この中では一番判りやすいかも。「例えば、ボトル入りの水の使用を減らすために浄水器を設置したり、再利用可能なキッチン用品を提供したり、プラスティックごみの削減に関する教育ワークショップを開催したりする」など、やろうと思えば段階的に取り組める。

簡単な話、コワーキングで食事会、飲み会などをするときに、できるだけプラスティック製の容器は使わないようにするだけでも一歩前進。うちも「コワーキングキャンプ飯部」のときは普通のお皿だけにしよう。

6.WBE認証:ビジネスにおける女性の地位向上
内容:
WBE(女性ビジネス・エンタープライズ)認証は、そのビジネスの51%以上が女性によって所有、運営、管理されていることを認証するために特別に考案されたものだ。さまざまな地域のパートナー組織によって管理され、米国のWBENC(Women's Business Enterprise National Council)によって検証されるこの認証は、多様性を支援することを目的とした政府や企業との契約を利用できるようにすることで、女性起業家に新たな機会を開く。また、Women Owned Small Business(WOSB)認証もある。

なぜ価値があるのか :
WBE認証は単なるラベルではなく、女性主導のビジネスが競争の激しい市場で知名度と信用を得るための入り口。伝統的に男性が支配的であった業界の壁を取り払う上で、重要な役割を果たす。コワーキングスペースにとって、WBE認証を取得することは、多様性とエンパワーメントに焦点を当てた女性起業家や企業のダイナミックなコミュニティを惹きつけることができる。

※ジェンダー問題は、日本はまだまだ立ち遅れているのが現状。海外では女性専用のコワーキングもたくさんある。それはこっちに書いた。

専用かどうかはさておき、女性が社会進出する際にもコワーキングはいろいろ支援できる。それは起業・創業に限らない。地域社会の課題解決においても女性の能力は大いにモノを言う。そこをブーストすることもコワーキングの役目。

時々紹介する「やりたいこと宣言&みんなで応援する会」で、一歩踏み出す女性も多い。

7.MBE 認証:多様性を育成し、機会を拡大する
内容:
MBE(マイノリティ・ビジネス・エンタープライズ)認証は 、マイノリティ・グループの個人が51%以上を所有、運営、管理している企業を正式に認定するもの。この認証は、National Minority Supplier Development Council (NMSDC)の一部である各地域の協議会、または地域によって同様の組織によって運営されている。MBE認証は、多様なサプライヤーを支援し、協力することを求める企業や政府機関との重要な契約機会への扉を開くように設計されている。

なぜ価値があるのか :
MBE認証はマイノリティ企業にとって、独占契約、ネットワーキング・イベント、開発プログラムへのアクセスを提供する画期的なものだ。コワーキングスペースにとっては、MBE認証を取得することで、多様性とインクルージョンを重視する多様な起業家や企業を惹きつけることができる。コワーキングスペースは、マイノリティが経営するビジネスが成功し、知名度を上げることができるチャンスのハブとして位置づけられる。

※日本におけるマイノリティの定義が向こうとまったく同じではないと思うが、少なくとも「少数派」と認められる人たちにも公正に機会創出の場を提供しようという趣旨には賛同できる。

元記事には、「マイノリティ起業家のニーズや課題に合わせたイベントやワークショップを紹介し、他の認定マイノリティ企業とのパートナーシップを強調する」こともアリとあるが、1つ前の「女性」もその対象になるのではないかと考える。ことに日本では。

8.VOSB および SDVOSB 認証:退役軍人の起業家にサービスを提供する
内容:
VOSB(Veteran Owned Small Business)およびSDVOSB(Service-Disabled Veteran-Owned Small Business)認定は、米国において退役軍人または退役軍人による経営が過半数を占める企業に与えられる正式な認定。退役軍人省(VA)によって管理されるこれらの認定は、特定の政府契約を、その資格を有する企業のみに競争的かつ単独調達のために確保することを目的としており、退役軍人が経営する企業が連邦政府との契約機会をより多く得られるようにするもの。

なぜ価値があるのか :
コワーキングスペースにとって、VOSBまたはSDVOSBの認定を受けることは、退役軍人や軍属の起業家にとって大きな魅力となる。この認定はビジネス上の利点としてだけでなく、退役軍人の国への貢献に対する敬意と認識の印としても機能する。

※これはカットしようかと思ったが、一応、知識として共有しておく。ちなみに、イギリスには退役軍人専用のコワーキングがある。

ずいぶん前だが、ここに書いた。

9.DOBE認証:障害者が経営するビジネスを可能にする
内容:
DOBE(Disability-Owned Business Enterprise)認証は、51%以上が障害者によって所有、運営、管理されている企業を認定し、促進することを目的としている。米国のDisability:INのような組織によって管理されるこの認証は、企業や政府機関のサプライ・チェーンに障害者が経営する企業が組み込まれることを促進し、ビジネスチャンスやネットワーク拡大の扉を開く。

なぜ価値があるのか :
DOBE認証は、障がい者の経済的エンパワーメントをサポートし、ビジネスコミュニティにおける多様性とインクルージョンを促進するため、非常に重要。コワーキングスペースにとって、この認証は障がい者が起業する際にしばしば直面する障壁を取り除くのに役立つだけでなく、コワーキングスペースがインクルーシブなビジネス環境を育成するリーダーであることをアピールすることにもなる。

※これも先のマイノリティに含まれる。日本でも、少なくともバリアフリーに設計されたコワーキングが当たり前になるべきだろう。

そういえば、うちのビルはオーナーが変わる前は玄関ドアに続く短いスロープがあって、車椅子の人でも入ってこれた(うちは1階で玄関入ってすぐの部屋)。それが、オーナーが変わったときにそのスロープを取っ払ってしまって、いま、駐輪スペースになってる。

ところが、その後、4階に車椅子の方が入居された。玄関前の階段を介護士さんにサポートされて上がって来られる。あのままスロープを残しておけばよかったのに…。

以上、9つ。これらの認証を受けることで、より交流範囲が広がるのは確かだし、そのカツドウのすべてがそのコワーキングを語るストーリーとして成立する。そこに共感するコワーカーが訪れるきっかけにもなる。

日本の現状にそぐわないものもあるかもしれないが、コワーキングがコミュニティであることを前提とするならば、認証を受けるかどうかは別としても、これらのテーマに取り組むことでコミュニティが多様性を増し、活性度を高めることになる。

いずれにしろ、こうした課題感を、よりよい社会づくりの一員であるコワーキングは持っておきたい。

ということで、今日はこのへんで。


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