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カラーマーケティング VOL.06【 マーケティング・デザイン視点から見た色彩 】

結論から言うと「売れる色がある」ということは、いまからおよそ35〜40年前に、あらかたの研究が終わっています。「売れる色」は存在しています。
 
そして、この投稿に「共感できるデザイン関係者」がいるとすれば、それは「売れるもののデザイン」を いくつも作り上げてきている デザイン関係の業界で、トップクラスの人だけだろうと思いながら 書いています。

「Google」という会社が「カラーマーケティングの研究と実験を開始した」というニュースが流れました。正直、驚きました。「何をいまさら・・・」というのが私の感覚です。
 
購入に対応するカラーマーケティングは日本において1985年頃には始まっていました。私もまた、研究者をしていた1人です。研究のスタートは「店舗デザイン」からでした。

シリーズ最初の投稿

1985年頃、商店街での食品購入から、食品スーパーでの商品購入に消費者の動向が完全にシフトしました。商店街の商店の接客販売から「セルフ販売」へとシフト。

1990年頃から「パッケージデザインの研究」が、商品開発に関わるデザイナーたちの中で始まりました。当初はパッケージ商品を作る食品メーカーが行っていましたが・・・

少しずつ「流通業」の企業とタッグを組むようにシフトしていきました。そして「高額食品メーカー」と百貨店がタッグを組んで研究を本格化していった経緯があるのです。

そのことを大前提に、順序立てて「色彩をどうマーケティングしていけばいいのか?」。「売れるデザインを作るには、どうすれば良いのか?」の概要をご案内していきます。

物理学の世界では、1900年代前半に「アインシュタイン博士」や「湯川秀樹 博士」が基礎物理学を構築しバトンを受け取った方々が今「量子物理学」へと発展させています。
 
今の時代、AIなども発達してきています。若い世代の方々に、これからさらに発展させて欲しい。そう思っています。私のバトンを受け取ってもらえると嬉しいです。

前回の投稿

https://note.com/kanou_hikaru/n/n0beb56a00e27

つづき・・・



1)甘い色、辛い色

 
「甘い」という意味は、もともと味覚から来ています。そしてどういうわけか黄色が甘い色になっています。これはどうやらお菓子の色から来ているようです。
 
黄色が最もよく出ているお菓子に、カステラがあります。卵黄がたっぷり入っているからでしょうか、美しい黄色をしています。

また、お菓子にはビスケットのように小麦粉など穀物の粉を使用して焼いたものがたくさんあります。
 
そういうお菓子は焼き物ですから、薄い茶色になっているものです。茶色は渋みを感じさせる色です。茶色のままでは甘さをそれほど感じません。


お菓子は甘いものが好まれます。ところが砂糖は白い色をしています。しかし、砂糖そのものを食べるわけではありません。
 
つまり、お菓子の甘さを象徴する色がないのです。
 
そこで、焼き菓子の薄茶色を美しく見せる黄色をパッケージデザインに使ってみたところ、大変おいしそうに見えて売れるようになったのです。
 
売れるデザインは残ります。売れると、それを模倣するデザインが生まれてきます。このようなことから、お菓子屋さんの店頭は黄色がいっぱいになりました。


そしていつの間にか黄色が甘さを象徴する色になってしまったのです。
 
ところが、甘いという言葉は「甘い人間」という言葉に見られるように、人に対して使われるときには、鈍い、のろい、ゆるい、厳しくない、という意味になります。
 
そして「くちばしが黄色い」とは、年齢がまだ若くて経験が足りないことを意味しています。若いということでいえば、黄色は子供の文房具によく使われています。
 
子供には好かれる色なのです。 余談ですが、昔「黄色いさくらんぼ」という大ヒットした流行歌がありました。この場合の黄色は 「未熟」という意味です。


ところで、辛い色といえば赤です。真っ赤な唐辛子や、しょうが、梅干し、シソなどのように、赤は、はっきりした味覚色です。
 
辛さの中にも辛口、中辛という味の違いがあります。辛口らしさを醸し出すためには、赤だけでは 不十分です。

赤の隣に黒を配色すると、すごく辛いイメージが演出できます。今から50年ほど前、インスタントカレーに初めて辛口が登場したころの話です。
 
『S&Bゴールデンカレー辛口(大辛・バリ辛)」はこのような配色で大ヒットし、現在でも その流れで当時と同じ色彩で売られているのです。

このように食品の売れ行きは、その「味」をどのように表現するかによって左右されます。
 
そして味の微妙な変化は、赤と黄色にどのような配色をするかによって決まってしまうのです。



2)さわやかな色、酸っぱい色


味覚と視覚とは本来、別々の感覚です。そういう意味では、味を色で表現するということはおかしな話です。

それなのに、なぜ味覚を表現する色ができたのでしょうか? それは食べる物に色があったからです。
 
その証拠に、食物の名前がそのまま色名になったものがたくさんあります。
 
桃色、オレンジ色、あんず色、みかん色、柿色、茶色、小麦色、海老茶色、栗色、コーヒー色、玉子色、からし色、 パイン色・・・・
 
このように、食物そのものの色があり、そういう食べ物を繰り返し食べていると、条件反射的に色を見て味を思い出すわけです。
 
そのために、色と味が直結したのです。 ここで何かに気がつきませんか? 
 
昔、夏みかんという酸っぱいみかんがありました。酸っぱいのに色は黄色です。輸入果物のレモンも黄色です。
 
前述の「甘い色は黄色」とはまったくズレてしまいます。ほかにもまだあります。
 
みかん は少し酸っぱい味がありますが、柿はオレンジ色をしていながら酸っぱさはありません。トマトは赤い色をしていますが、辛味はまったくありません。
 
このように考えると、味と色との関係は極めて不確実なものであることがわかります。厳密には「味を指定する色はない」というべきでしょう。
 
しかし、食品の場合は、包装するパッケージの表面にその食べ物のイメージやおいしさを表現する必要が出てきます。

これを試行錯誤しているうちに、味を表現する色の使い方にいくつものスタイルが生まれ、固定化されてしまったのです。

味を表現するーつの色のスタイルにがあります。緑はメンソール味のお菓子・アイスクリームなどを表現するスタイルとして定着しています。
 
公園の緑のさわやかさをメンソールのさわやかさに結びつけたものです。
 
酸っぱい色の食べ物の代表としては、梅干し紅しょうががあります。しかし、酸っぱさの元である酢は無色透明な液体ですから色がありません。

ラッキョウや酢のものを見るとそのことがよくわかります。
 
ですから、酸っぱさを表現する場合には、酸っぱい色にこだわるのではなく、レモンとか梅干しと いった食べ物そのものの「らしさ」を表現することが大切になってくるのです。


ここで、念を押しておきたいことがあります。商品でも料理でもWeb情報でも同じなのですが「中身」と「外身」の2つ、どちらも必要になるということ。
 
たとえば「ラーメン」なら「ラーメンそのもの(中身)」が美味しくないとダメ。そのうえで「見栄えが良い盛り付けの型」があり「彩りまで良い」必要があるということ。
 
ここで説明しているものは「色のみ」。料理でいう「彩り」の部分。ですが、料理が不味いと話になりません。Web構築も同じ。中身の情報が悪いと話になりません。
 
そのコトについては「経営者としての戦略」「担当者としての手法」を別途、ご案内しています。繰り返しますが、ここでは「彩り=色」についてのみレポートしています。

ここでは『「デザイン」における「色彩」というものについての概略のみ』をご案内します。商品開発の詳細ノウハウについては、別のマガジン(シリーズ)をご覧ください。

商品開発経営のための業績向上経営戦略シリーズ(有料)


商品開発担当者のための 売れる商品開発ノウハウシリーズ(有料)


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