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売れる状態を作る:【業績改善力】 VOL.10(最終話)

文頭でお断りしておきます。この投稿は、10,000文字を越える読み物です。売上を上げる業績改善法の習得は、武道の黒帯取得のような話。本気で「売れるように事業改善したい」「組織体質を改善したい」と思っていない経営者・事業主・副業主が、軽い気持ちで読んで、冗談半分でやって、事故をしたり、怪我をしたりしないように有料マガジンにしてあります。内容も本気でやらないと業績が上がらない「売上を上げるための事業体質の改善法」なので、軽くありません。

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【業績改善力】VOL.09 より

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Chapter-05「販売のクオリティ」の管理とコントロール(最終章)

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● Section-19)「通常景気の経営」と「超・不景気の経営」

 
健康で調子が良い時には、病気にかかりにくい。これは、景気の調子が良い時には「売れない病」にかかりにくいことに似ています。逆に、体調が悪い時には、病気になりやすい。これは、景気が悪い時ほど「売れない病」にかかりやすいことに似ています。
 
そして、これほどまでに景気が悪くなると、必ず「潜んでいた売れない病」がひょっこり顔を出してきます。この時期に業績が悪くなってしまった事業者には、必ず病気(欠点)があるものです。そのことを認めない限り、事業は、まったく前に進んでいきません。
 
景気が悪くなっても売れ続けるところは必ずあります。しかし、景気が悪くなると急に売れなくなるところも多く登場する。それは、いままで「それほど景気が悪くない時期」には「病気(欠点)」が、隠れてしまっていたからに過ぎません。
 
景気がそれほど悪くない時期は、ユーザーの懐にも余裕があります。なので「悪ノリ」で「ムダになるもの」にも少しはお金を払えます。しかし、景気が悪くなると、ユーザーは「少しでも病気(欠点)」があるものには、見向きもしなくなってしまいます。

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ユーザーは「自分が満足したい」「自分が得をしたい」「自分が楽しくありたい」。そのためにお金を払います。少しでも「不満」がある。少しでも「損」をしそう。少しでも「面白くなさそう」と感じたところには、まるで関わろうとはしなくなります。
 
こういう時に発覚する事業所の「病気(欠点)」は、ユーザーに少しくらいガマンしてもらっても「自分の考えを認められてイバりたい」「自分の方が満足したい」「自分の方が得をしたい」「自分の方が楽しくありたい」という「経営哲学」だとも言えます。
 
景気が良い時は「小手先の技術」「小手先のキャンペーン」「小手先の集客」「小手先のイベント」といったもので売上が上がりやすくなります。しかし、景気が悪くなると「小手先の技術」ではなく「経営者の器の大きさ」こそが決め手になってしまいます。
 
業績が下がり出しても「元気」で「明るく」て「運が良さそう」で「楽しそう」で「働き者」で「お客さんのことを思いやり」「お客さんの不満を少しでも解消しようと行動し」「お客さんが得した気分になること」に徹しようとする姿勢と方針を意地で貫く。

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まぁ、こうやって言葉を並べるのはカンタンなのです。ですが、そもそも「販売」というものは、言葉では捉えにくいものなのです。まして「販売のクオリティ」という話になると、なおいっそう、わかりにくいものとなります。言葉で考えるほど難しくなる。
 
「販売」は言葉でもなく、理性でもないのです。「販売のクオリティ」を管理しコントロールすることは、まず「文字から離れ、現実をつかまえること」からスタートします。ユーザーが、何をどのように【感じて】いるのか?それを【感じる】ところから始まります。
 
自分の「肌」で【感じる】ことができなければ、肚に落ちていきません。自身が、リアルな「現場」で「現物」を「現実」に見て回ることで「実感」が持てるようになります。リアルな実感を持つと、不思議なほど「判断力」が備わることに気づくことになります。
 
私は、新卒で就職して、百貨店のマーケティング部門に所属していました。理系出身の私は当初「POSシステムのプログラム」を組む部署にいたのですが、そのPOSのデータで売上予測ができないだろうか?と マーケティング部門に配属替えになりました。

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今でこそバーコードなどは当たり前になっていますが、その当時はバーコードを読み込む機械などはまだ市場には存在もしていませんでした。理系の仕事から、一気に文系の経済学がメインの部署に異動して、本当に戸惑いました。何もかもが専門外のことばかり。
 
移動当初は、何をやって良いのか、まったくわからず「POSデータ」を、どう使えば翌年の売上を上げられるのか?ということを、コンピュータ端末にしがみつきながら、ウンウンと唸り続け、諸先輩の雑用をするといった毎日が、ただただ続きました。
 
そのうち「百貨店」といった流通業界は、1年を52週で捉えた「販売計画」というものが存在していて、その「販売計画」に基づいた「販売促進計画」というものが存在していることに気づきます。最初のうちは、それを「POSデータ」で検証するという仕事。
 
その当時は、基本的に「商品の仕入れ」は「仕入れ職人」と呼ばれるような人たちの「経験とカン」で行われていました。私は、百貨店で扱われる膨大な商品カテゴリーの売れ行きを「リアル数値で検証する簡易プログラムを作る」という仕事をしていたわけです。

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そんなことを3年ほど続けていると、お前も経済学部や経営学部、政経学部を卒業した連中たちのように「企画をやってみないか?」「売場の売上を上げてみないか?」といった声がかかるようになりました。しかし、私には「マーケティングの知識」がない。
 
理論好きの私は、むさぼるように「マーケティングの専門書」を部署の本棚から抜き出したり、大型書店に行って自分で買い込んだりして一所懸命に読み込みました。こうやって「マーケティング知識バカ」が誕生したのですが、立てる企画は全部ハズレ。
 
その頃、同期入社の飲み会があったのですが、その時、はじめて「私だけが主任にすらなっていなかった事実」に気づきます。早くから評価された同期の数人は、すでに「主任の上の係長」になっていました。私1人だけが、まだ「平社員」だったのです。
 
幸いなことに、当時、私の勤めていた会社には「研修支援制度」といったものがありました。セミナー受講料の半額を自分で支払って受講すれば、出張扱い・出勤扱い・交通費も会社持ちにしてくれるという制度があり、私はその制度を活用することにしました。

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私の勤務先は東京都内だったのですが、参加した「実践マーケティング塾」の会場は大阪。幸いなことに、交通費も宿泊費も出て、さらに出張扱いで出勤扱い、さらには受講料の半額を会社が負担してくれたのです。そのセミナーはスパルタで有名な研修。
 
絶対王者のキリン。王者が覆ることなどないと当時言われていたビール業界の縮図を変える「アサヒ・スーパードライ」の開発指導をしたマーケティングの先生のスパルタ指導を受けることになったのが、私が28歳の時、入社して7年目になっていたころです。
 
半年間、毎月1回、開催されるセミナーは、全員困っていることも違う。勤めている会社の業種も業態も違う。しかし、商品開発や店舗開発、販売促進といった「企画系の仕事」をしている人ばかりが参加する「超がつくほど実践型のセミナー」でした。
 
私がいただいた課題は「百貨店に勤めているのなら、百貨店の売場に1日立っていなさい。そして、どうして売れない売場が売れないのか? その理由を見つけてきなさい。それがわかれば、どうすれば売れるか? それがわかる。」というものでした。

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