無職になるのが怖かった私が「駐妻」になるまで 【後編】
こんにちは!ベトナム・ホーチミンで駐妻として暮らしている、かにたまです。
このnoteでは、フルタイム共働き妻だった私が「駐妻」になるまでの葛藤と心の変化、どんな方法で気持ちを整理していったのか、というような話を書いていきたいと思います。
仕事を辞めるときの葛藤やマインドマップづくりの様子は、前編から。
あれほど自分がこだわっていた「働く」ということ。
マインドマップを作ってモヤモヤした気持ちを整理していくと、「働いている自分」がアイデンティティの一つになっていて、それを失うのが怖かったのだな、ということにも気づきます。そしてその恐怖は、自分のスキルや経験に自信が持てないことからきているのだと。
このあたりの悩みは今も100%消えたわけではないのですが、この時洗い出したタスクに沿って行動を続けています。
職務経歴書を作って自分を客観視したり、求人情報を眺めてどんなスキルが重宝されそうか考えてみたり、新しい分野を勉強したり。
駐在2年目を迎えた現在は、もともと興味のあったUXデザインやライティングの勉強、語学力の強化に注力しています。将来なにが自分のキャリアに繋がるかわからないですが、ガチガチに計画するよりは、いずれどれかの根が地中で繋がって再び花を咲かせられればいいかな、と気長に向き合っています。
色んな人生があったっていいじゃない
帯同に悩んでいた3年前の自分に言ってあげたいのは、「働くだけが人生じゃないよ」ということ。
もちろん、生きていくためには大事な営みですが、仕事から離れて見えてくる世界は想像以上に豊かで、「仕事=アイデンティティ」になっていた私にとって、無職になったことは人生のターニングポイントだったなと今では思います。
会社員時代は「働く自分」が中心にあり、自分の人生は自分でコントロールしてきたという自負があったのだろうと思います。自分はこのままフルタイムで働き続けるのだろう、という根拠のないセルフイメージもありました。
それが、帯同生活によって「人生には、自分でコントロールできないこともある」というのを理解して、「じゃあ、その中でコントロールできる部分だけ頑張ったらいいかな」と抜け感のある生き方を意識できるようになった気がします。
育児に振り切る生活も悪くないし、夫を応援してサポート役に徹するのも悪くない。人生の終盤で「こんなことも経験できた!」と✓を入れるチェックリストを増やしていく感覚で生きると、計画通りにいかないことやハプニングも、そこそこ楽しむことができるように思います。
とはいえ、仕事から離れてみて、やっぱり私には家庭の外で働く時間が必要だということにも改めて気づきました。
社会に貢献している実感を得る
頑張った成果が目に見える形で返ってくる
このあたりを自分は働くという行動に求めていて、今の主婦・育児メインの生活では、明確なものがなかなか得られない。
こういった本質的な欲求に気づけたのも帯同生活の成果だと感じています。
それならば、前職のようなフルタイム労働や正社員採用にこだわる必要はないし、そもそも給与を得ることさえ、今はこだわる必要はないのかもしれない。悲観的に見ていた再就職も、10年20年と長いスパンで考えて達成できればいいのかも、と思えるようになりました。
自分らしい人生を生きるための「キャリア」
こんな風に考えられるようになったのは、正直なところ、帯同生活をはじめて1年くらい経ってから。それまで何度もモヤモヤが復活したり、夫に不満をぶつけてしまったり、不安定な時期もありました。
その度にキャリア関係の本を読んだり、信頼できる人に吐き出してみたり、自分の悩みを整理しようと試みました。
中でも、参考になったと感じるのはこの2冊。
『ロングゲーム』は、文字通り人生をロングゲームととらえて、長期戦略を立てて生きることを提案する本。長期目標のためなら、途中で戦術を変えたっていい。専業主婦になって育児に専念する期間も「人生」というゲームを攻略する上で必要なのだと納得できたのは、この本の影響が大きいと思います。
『物語思考』も長期思考で生きることを指南する本で、自分が人生の主人公としてどう物語を転がしていくか、という考え方を紹介しています。「10年後になりたい状態から逆算していく」というワークが面白くて、自分が送りたい人生を生きるための計画=キャリアデザインなのだな、と気づかせてくれた一冊です。
また、渡航前に受けた『駐妻ファミリーカフェ』の渡航前オリエンテーションも、不安を解消して思考を整理するのにとても役立ちました。
先輩駐妻さん達のエピソード、そして同じように「働きたい」と思いながら皆さんが実際にどう行動しているかを聞き、様々なアプローチがあることを知れたのは、自分の視野を広げる一助になりました。
……と、こんなふうに方向性が見えてきたものの、また予想外の事態に巻き込まれるかもしれません(笑)
でもその時はまた同じように自分のモヤモヤに向き合って、また同じように自分が生きたい道を探っていけば大丈夫。と、不思議な自信がつきました。
他人軸で生きる人生も案外楽しいです。
自分ひとりの力では辿り着けなかったであろう場所に行けたり、見れなかったであろう光景を目にできるのは、駐妻・駐夫の醍醐味かもしれません。
わたしも本帰国が決まった時には「連れてきてくれてありがとう!」と笑顔で夫に伝えられるように、残りの帯同生活を目一杯楽しもうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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