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「生贄探し,暴走する脳」のレビューと感想

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生贄探しと聞くとかなり物騒なイメージを抱いてしまうであろう。
「生贄」とは神の供物として殺し、恩恵を得る様な慣習
(伝統的な行動様式)であるが現代社会ではこの
「生贄探し」が、蔓延していると

著者の中野信子先生は述べている。

「生贄探し」を人を引き下げる心理や晒上げるような
行動原理
とするのであれば、後天的要因だけではなく
どうやら遺伝や生物学的要因が大いに関与している
事が本書を読んで知ることが出来た。

中々興味深い内容もありかつ、
私なりに突っ込むポイントもあったため
簡単に解説していく。

①暴君ネロの心理から「生贄探し」を読み解く


16歳でローマ帝国の第5代皇帝になった「暴君」と知られる人物である。
まずはその横暴の数々を紹介しよう。

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・アルメニア王から太陽神という扱いを受けて自分を神格化する
・国家予算から自分の彫像を立てる
母親の殺害を命じる
・セネカという家庭教師を自殺に追いやる
・ネロが出場する競技は全て仕組まれ優勝となる(負けても優勝)
・キリスト教徒弾圧
・最後の言葉は「この世から一人偉大な芸術家が消え去る」を残し自死
・ストレスによる肥満
等々

と思いつくだけでもざっとこんなものである。
ネロの周りにはイエスマンや自己実現の道具としてしか
見ていない母親の存在、また政治利用しようとする者の
存在などにネロは苦しめられてきた。


一方でネロは市民のために芸術、文化を重んじ
自分でコンサートを開いたり慈善活動も行ってきたそうだ。
みんなのために皇帝になり、愛されている自分の行いは
 間違っていない
」という信念が最後まであったのではないだろうか?

その事を裏付けるセリフが自殺する直前の以下の言葉である
この世から一人偉大な芸術家が消え去る
表面上では自己肯定感が高いと捉えられるが、
一方で「傲慢」であるとも捉えられる。

つまり死ぬ間際まで、自分は神であり偉大だと信じ多くの人物を排除し
それが「正しき事」と信じ切っていたのである。

その様な心理状態を一言でいうと「正義中毒」と呼べるだろう。
つまり生贄探しとは、「正義中毒」によって生じる「無意識の敵意
だと言い換えることが出来る。

敵意の本質は「人が私の思う通りに動いてくれない」事への
裏付けのためそこを考えてみても面白いかもしれない。

②服従思考が美徳という日本の文化が
           「生贄探し」を助長??

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出る杭は打たれる」という言葉がまさに
象徴されるのではないでしょうか。

面白い研究があります。

大阪大学社会経済研究所の研究

①実験としてお互いにお金を出し合い道路を作ろう
 というゲームをしてもらう。

②プレイヤー同士がお互いにどんな行動を取るかによって自分の損得が
決まるというルールで心理的な駆け引きが見えるようになってくる。

③この実験では日本人は「スパイト行動」つまり
自分が損してでも他人を貶めたいという嫌がらせ行動」が顕著に認めた。


つまり日本人は他人が利益を得ようとして
自分を出し抜くことを嫌うわけである。

いわゆる「ただ乗りする奴」を社会の損失を理由に
許さない」心理が働きやすいのである。
これは日本人に多く認められた傾向との事です。
ゴシップ記事で炎上しやすいのはこれが原因

この様になってしまう要因は文化的背景もあるが、
セロトニンの動態も関与しているそうだ。
確かにセロトニンは感情コントロールに重要な役割を担っている
神経伝達物質である故に他者に対する行動・態度も左右されるであろう。

「生贄探し・引き下げの心理」はこの様な
生物学的な背景も加味されるべきであろう。

③葛藤に悩まされる人間をどう捉えるべきか??


もう一つ面白い記載があった。
どうやら、人間の脳は人間同士を近くにいさせたがる
ように作られている( 互恵関係)、一方で近すぎ過ぎると
今度は傷付け合うようにもセットされているそうだ。

つまりそういう「ジレンマ」が人間には内包されてるのだ。
環境適応のための 助け合う必要もあれば時には自分の命を守るために
仲間を切り捨てるという機能が内包されているという
非常にややこしい性質を私たちは兼ね備えている。

たとえば、どんな好きな女性
(新垣結衣や石原さとみクラス)でも
「これから死ぬまで一緒に生活する」となると「ぞっ」としてしまうのだ。

これは本能として、近すぎない様にするための防衛なのか・・・?
(私だけか・・・?そして繋がらないが、
            おかしかったので残しておく!))

話しを元に戻す。
ある意味ややこしい機能を兼ね備えた私達であるが、
では私たちは悲しい生き物なのか?
そう捉えるべきなのか、、、
ここを十分に考えずに決めつけてしまうとあまり
良くない様な気がしてならない。


私の本書籍のツッコミポイントはそこなのである!!!

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④「生贄探し」という不健全という健全性について

矛盾した題名であるが・・世の中そんなものである

私は昔はどちらかと言うとプチネロ人間であり、
劣等感に苛まれて生きてきたが
殆どの人がそうではないだろうか。

私は本書を読んで感じた違和感はそこなのである。
いくら脳科学的に負の側面を
説明し歴史を読み解き、「悲しい生き物
今の人は感謝を感じられていない
想像力の欠如」と社会を評論したとしても
「健全性」を求めすぎているようなそんな気がしたのだ。

私は、むしろ不健全で「悲しい生き物」だったとしても
別に良いのではないかという気概なのだ。

人は「ジレンマ」を抱えているが同時に
ジレンマを乗り超えられる主体性」も内在していると思う。

それは、リハビリの患者様や就労移行支援の
利用者様から今でも学ばせて頂いている。

愚痴ばかりで自己憐憫に陥っていた利用者様がいざ
職業訓練所で訓練を行う際は
行動が大きく変化し見違えるように意欲的になったのは驚いたものだ。

その時に「可能性を否定する事はあってはならない
と学ばせて頂いた。

「生贄探し,暴走する脳」は確かに
有意義な書籍であったがやや著者自身の
悲観主義」や人間の生命の本質である
内在力」に関する、人間の肯定的な側面が浅いと感じられた。

もちろん、意図が違うからかもしれないが、、、、

一方で同調圧力によって自分はコントロールされていないか?
また、主体性や想像性について改めて考えさせられる一冊であった。

⑤書籍の点数

 7/10点
考えさせられたし、一日で読み終えたため良書であった。
経験談としてポジティブな側面があればもっとよいと思った。

ご拝読ありがとうございました。

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