KanazawaN

とよす内科クリニック院長|埼玉県浦和市出身|山形大学|クリニックを開院して色々な経験を…

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とよす内科クリニック院長|埼玉県浦和市出身|山形大学|クリニックを開院して色々な経験をしました。特に悩まされ続けたのは電子カルテでした。今ではその失敗談も笑って話せるようになりました。

最近の記事

インフルエンザワクチン接種の開始時期について

厚生労働省は、「季節性インフルエンザワクチン接種時期ご協力のお願い」として、定期接種対象者(65歳以上)の接種を10月1日から行い、それ以外の人は10月26日まで接種を待つよう発表しました。 過去5年で最大量のワクチンを供給予定の中で、より必要とされている方に確実に届くようにという主旨で、とのことでした。 しかし自分のクリニックでは厚生労働省の意図を汲みつつ、例年通りこの10月1日から、65歳以上の方も、それ以外の方も予防接種を開始する予定です。 これまで、効果持続期間

    • 新型コロナウイルスのPCR検査について~風邪を引いたら1週間休もう~

      都内では新型コロナウイルス(COVID-19)が流行し大変ですね。 日常の診療をしていて、新型コロナウイルスについて、一般の方々に知っておいていただきたいことがあります。 これまで熱が続いて肺炎が疑われれば、新型コロナを扱う病院へ紹介してきました。しかし3月末の時点で、とある病院から、たとえ肺炎が見つかっても、入院が必要な症状がなければ、PCR検査は行わないので自宅療養をすすめるよう連絡が来ています。全ての病院ではないでしょうが、この近隣では新型コロナの検査をする複数の病院

      • 僕の「電カル」奮闘記 ~エピローグ~

        一応の謝罪を引き出すことはできましたが、富士通からの回答書の内容は心から納得できるものではありませんでした。 それでも、この2018年7月31日付けの回答書をもって、僕はこの7年間に及んだ富士通との「戦い」に区切りをつけることにしました。富士通に非を認めさせるには、あまりにも材料不足だと痛感したからです。 そこで、最後に反省点をつづって、「僕の『電カル』奮闘記」をしめたいと思います。 まず、何よりの僕の失敗は、富士通とのやりとりを記録に残しておかなかったということです。

        • 僕の「電カル」奮闘記 その12

          富士通からの謝罪最初に送った僕の通知書に対する富士通の回答書は、納得できるものではありませんでした。はじめから一度で解決するとは思っていませんでしたが、誠意の感じられない回答はやはり残念でした。 富士通からの回答書の矛盾点、富士通の事実誤認を指摘しながら、弁護士に、再び通知書を送ってもらうことにしました。そして、その11で記したように、9つの点について具体的に説明や謝罪を要求。誠実な回答を得られない場合は、法的手段に訴えることを伝えたのです。 2通目の通知書に対する富士通

        インフルエンザワクチン接種の開始時期について

          僕の「電カル」奮闘記 その11

          納得できる回答を求めて無視され続けた僕の質問に対して、富士通から誠意ある回答を引き出したい。 そんな思いを込めて弁護士に作成してもらった通知書(2018年2月9日付)でしたが、富士通の回答書(2019年3月27日付)は僕の疑問を解決するものではありませんでした。 虚偽広告を出したことへの反省も、僕の質問を1年8カ月も放置したことへの謝罪もありません。「一体型になるまで保守料は支払わない」と約束をした覚えがないとまで言い切っています。保身に満ちた回答には到底納得できませんで

          僕の「電カル」奮闘記 その11

          僕の「電カル」奮闘記 その10

          弁護士への相談診療業務に支障を来さないために、RXを再び契約すると決めたものの、富士通に対して割り切れない思いが続きました。 「一体型」の開発をなぜ中止したのか。 「一体型」にならないなら、なぜもっと早くに教えてくれなかったのか。 「一体型」になるまで、保守料を請求しないといった言葉をなぜ覆したのか。 こうした僕の疑問は解消されませんでした。そして、今後も答えてくれる気配はありませんでした。 とはいえ、相手は世界に名だたる大企業。一介の開業医など、吹けば飛ぶような存在で

          僕の「電カル」奮闘記 その10

          僕の「電カル」奮闘記 その9

          再見積もりで、謎の大幅値上がり当初、僕もシステム・ベンダーも、サーバーやPCだけ買い替えれば、ソフトはそのまま使用できると考えていました。 しかし、富士通に問い合わせると、サーバーのOSが販売終了しているので、対応するサーバーを調達できないというのです。そしてサーバーのOSが変わると、RXのバージョンが変わるため、新しいOSに対応したRX本体も買い直さなければいけなくなりました。つまり、ハードとソフトを、ほぼ全部新品に買い換える必要があるということです。 さらに悪いことに

          僕の「電カル」奮闘記 その9

          僕の「電カル」奮闘記 その8

          1年8カ月間、放置された末に起こったこと2016年3月、富士通はRXの後継機である「HOPE LifeMark-SX(以下、LifeMark-SX)」を発売しました。 LifeMark-SXは「連動型」で、「一体型」ではありませんでした。定例会で、あれほど「RXの後継機は一体型にする」と言っていたにも関わらず、富士通は僕との約束を反故にしたのです。 最後に定例会が行われたのは、2016年4月21日。この日、新機種のLifeMark-SXが「一体型」ではないことを知らされた

          僕の「電カル」奮闘記 その8

          僕の「電カル」奮闘記 その7

          守られなかった「一体型」への約束 RXをめぐるトラブルで、もうひとつ書いておかなければいけないのが「保守料」の問題です。 RXを導入して様々な不具合に悩まされてはいたものの、それは一時的なもので、すぐに改善されると思っていました。なんといっても人材豊富で、電カル開発に長けた富士通です。バグや技術的な問題はあっという間に修正して、パンフレットに書かれていた機能もすぐできるようになると思うのは当然のことでしょう。 ところが、開業から1年たっても、RXの不具合はなかなかなくな

          僕の「電カル」奮闘記 その7

          僕の「電カル」奮闘記 その6

          富士通が「一体型」を撤回!RXは、僕が期待した一体型ではなかったものの、すでに契約は済み、クリニックでの診療も始まっていました。こうした段階で、別の電子カルテに乗り換えるのは現実的ではなく、もうRXを使うと決めた以上は、バグをなくして使いやすいソフトに修正してもらうしかありません。 そこで、富士通との初回の面談のときに、のちに「定例会」と呼ばれる意見交換の場を設けてもらうようにしたのです。定例会では、僕が見つけたバグを伝えて、それに対して富士通が回答するという手順で進められ

          僕の「電カル」奮闘記 その6

          僕の「電カル」奮闘記 その5

          富士通との「定例会」の始まり 医療ミス一歩手前の出来事が起こっているというのに、行政も業界団体もこの問題に関心を持ってはくれませんでした。そのことを思い知った僕は、自分で富士通と交渉して電子カルテの不具合を修正してもらい、医療事故を防ぐようにするしかないと考えるようになったのです。 時間は、少し遡ります。 電子カルテを新たに導入すると、最初の数日はベンダーから来たシステムエンジニア(SE)が張り付きます。操作で分からないことがあれば教えてもらったり、実際の診療にあわせて設

          僕の「電カル」奮闘記 その5

          僕の「電カル」奮闘記 その4

          厚労省、経産省、業界団体への意見書RXの不具合によって起きた、医療ミス一歩手前の出来事に肝を冷やした僕は、これをそのまま見過ごすことは、医療者としての良心に反することだと思うようになりました。 医薬品や医療機器などの使用によって健康被害が発生したとき、医師には、その副作用や不具合の内容を厚生労働大臣に報告することが義務づけられています(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第68条の10、第2項)。 現状では、電子カルテは、この医薬品や医療機器

          僕の「電カル」奮闘記 その4

          僕の「電カル」奮闘記 その3

          処方内容が変わる謎の電カル 「医療ミス」の一歩手前の出来事 電子カルテのバグを見つけるたびに、ひとつひとつシステム・ベンダーに報告して富士通に改善をお願いしながら、なんとかRXを使い続けていましたが、見過ごすことのできない致命的なトラブルが起こったのです  その日、僕は、カルテ画面のスクロールの遅さにイライラを募らせながら診療を行っていました。今回の本題とは話が逸れますが、当初、RXは過去のカルテ画面を見るためのスクロールに、ものすごーーーーーく時間がかかっていました。

          僕の「電カル」奮闘記 その3

          僕の「電カル」奮闘記 その2

          次々と露呈したソフトの未熟さ「一体型」として発売したにも関わらず、その実態は「連動型」だったRX。実際に診療が始まると、一体型ではなかったことによって僕らが感じていた不便さだけではなく、それ以外にも次々と不具合が見つかりました。 なんと、発売時に配布されたパンフレットには書いてあるのに、なぜかできないといった事態に度々遭遇したのです。 たとえば、パンフレットには「カルテを入力しながらその時点での点数の確認を行うことができ、各種の自動算定も反映されます。」と書かれていました

          僕の「電カル」奮闘記 その2

          僕の「電カル」奮闘記 その1

          プレスリリースに虚偽記載!? 「一体型」ではなかった富士通の電子カルテ電子カルテを大きく分けると、「連動型」と「一体型」の2種類があります。 連動型は、医師が記載するカルテ部分と、医療事務が診療報酬の計算などを行うレセプトコンピューター(レセコン)が、それぞれ独立しており、電子カルテからレセコンにデータを送って、その情報を診療報酬の計算に生かします。データの流れは、電子カルテからレセコンへの一方通行のため、医療事務がレセコンで新たに記入したり、修正したりした情報が電子カルテ

          僕の「電カル」奮闘記 その1

          僕の 「電カル」奮闘記

          ~ プロローグ ~突然ですが、「電カル」「レセコン」ってなんのことか分かりますか?  何か珍しい野菜の名前? それとも、何かの機械? 正解は、電カルは「電子カルテ」、レセコンは「レセプトコンピューター」の略語のです。病院や診療所で働く医療者や事務職員、医療機器作りに携わる業者まわりで使われている言葉です。 電子カルテは、従来、医師が手書きしていた診療録(紙カルテ)を、コンピューターを使って電子的に記録して、保存するシステムです。 患者さんからしてみれば、「カルテなんて

          僕の 「電カル」奮闘記