新型コロナウイルスのPCR検査について~風邪を引いたら1週間休もう~


都内では新型コロナウイルス(COVID-19)が流行し大変ですね。
日常の診療をしていて、新型コロナウイルスについて、一般の方々に知っておいていただきたいことがあります。


これまで熱が続いて肺炎が疑われれば、新型コロナを扱う病院へ紹介してきました。しかし3月末の時点で、とある病院から、たとえ肺炎が見つかっても、入院が必要な症状がなければ、PCR検査は行わないので自宅療養をすすめるよう連絡が来ています。全ての病院ではないでしょうが、この近隣では新型コロナの検査をする複数の病院が同様の方針であることを聞いています。

なので、熱が続いても、風邪かなと思う程度の人はPCR検査にこだわらないで下さい。(これは地域によって違います)
SNSやワイドショーで、PCR検査をしてくれなかったと不平がみられます。気持ちは分かりますが、適応がなければ検査しないのです。いくつもの医療機関を渡り歩き、保健所に何度も問い合わせをすることはしないで下さい。現場はその対応に疲弊しています。
それだけでなく、渡り歩くとコロナウイルスをもらったり感染を広げる可能性もあります。

4/1の専門家会議では、日本では「必要な人に必要な検査を早くやる」ことで重症化を防ぐ方法をとっていると説明し、PCR検査をくまなくやるつもりはないと言っています。


今東京は蔓延期に入っていて、臭いがしないからといって検査するフェーズではありません。うちでは海外渡航歴やナイトクラブでの勤務歴があった方の行政検査さえ保健所には断られています。
善し悪しの判断はできませんが、近隣ではその作戦でコロナと戦っているのです。地域や時期が変われば、PCR検査を行う基準は変わります。鼻の症状だけでPCRをやる地域もあるでしょう。東京では今後、軽症者を受け入れる施設が整えば、PCRを増やすかもしれません。

しかしどちらにしても
PCR検査が陰性でもコロナにかかってないと断言はできません。(←ここ重要)

つまり、PCR検査をしてもしなくても、風邪を引いたら全て新型コロナウイルスに感染したと考えていただくくらいの慎重さが求められています。

もしコロナにかかっていても、症状が風邪なら結局やることは風邪の治療(休養や対症療法)です。でも他の人にとってはうつされたら死のウイルスかもしれません。なので風邪を引いたら必ず休んで下さい。おかしいなと思ったら数日休んで下さい。同僚の休みを認めてあげて下さい。部下を休ませて下さい。

無症状の子供達でさえ3月からずっと休んでいます。
ロックダウンとは、症状がない人たちが休むことです。感染しないことだけでなく、感染させないことを目的としています。
ならば、症状がある大人が休まないでどうするの?と思いませんか?
あとでコロナと分かったとき、なんであの時働いていたの?と思われたら残念ですよね?

調子悪いな、と思ったら、「ちょっと早めに自主的にロックダウンしておこう」、それくらいの気持ちで家に閉じこもって下さい。周りもそれを受け入れて下さい。必ずしも医療機関受診は不要です。

その際に同居するご家族への感染予防を忘れずに!
「家庭内でご注意いただきたいこと ~8つのポイント~ 」(厚生労働省)

もちろん調子が悪くて、解熱剤がほしかったり咳が辛ければ、かかりつけ医や近隣のクリニックに相談して下さい。息苦しさなど症状の悪化があれば尚更です。ただし、まずは電話で。


最後に、よくなったけどどうしたら仕事行けるの?という方に。
アメリカのCDCから、コロナが疑われた医療従事者の復職基準が出ています。一般の方にも使えると思います。 (COVID19医療翻訳チームのサイトから更にコンパクトにさせていただきました)

以下の基準を満たすまで出勤しない
1.解熱剤を使用せずに解熱し、かつ呼吸器症状(咳、息切れ等)が改善してから、少なくとも3日(72時間)経過していること かつ
2.症状が現れてから7日以上経過している


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