先生のことが好きだった

中学一年生、入学したばかりの頃。

私は誰彼構わず男を好きになるようなとんでもない女だった。
というか実際には男じゃなくても良かったので女の子にもたくさんちょっかいを出していたし、顔を合わせた女の子はみんな口説いて乳を揉んでいた。

顔がそれなりに可愛いし、成績も良かったのでそういうキャラとして何故か存在を許されていたし、モテてた。

そんなアホみたいな流れの中で、理科の先生を好きになった。先生はその年新卒で私たちと一緒に入学したいわば新入生だったのだ。(詳しくは忘れたけど多分先生は22歳か24歳くらいだったと思う)

先生はまだ少年の面影を遺し、そして私たちよりも少しだけ大人だった。よく喋りよく笑う先生。
私はすぐに先生を好きになった。理科は全然好きじゃなかったけど、先生の授業は結構まじめに聞いた。

でもそもそも私のいた学校はまあまあ荒れていたので、授業はいつもごちゃごちゃしていた。
くだらない質問を投げかける生徒たちばかりの中でむしゃらに授業をする先生はかっこよく見えた。

私は当時、見た目で言えば絶対にバカそうに思われたし、喋り方もバカそうだったと思う。
そんな私が前の方の席でうんうんと頷きながら授業をきいて、積極的に挙手もしちゃったりして、テストの点数も結構良かった。

先生も嬉しかったんだと思う。
何かと私にかまう時間が増えたし、授業中でも私を名指しして雑談を広げたり、教室に入る時も出る時も声をかけてくれて、頑張れよって笑って言ってくれてた。
周りからも先生のお気に入りだよな、って普通に言われてた。

私は先生をおかずにして自慰行為をしていた。
放課後に先生と二人きりになり、理科室の黒いテーブルで先生を誘うのだ。戸惑いつつも皆には内緒だよ、と応じてくれる先生。
同級生とは違う大人な一面を見せ夜の授業をしてくれる。そんな感じの妄想が鉄板だった。

本当に惚れやすかったので、その後あっさりと隣のクラスの綺麗な男の子を好きになりなんだか先生にちょっかいを出されるのが鬱陶しくなり、自分から反応しないようにしていたら先生からも必要以上に絡まれることはなくなった。

3年生になった頃には接点もなくなり、会話することもほとんど無くなっていた。
そして先生は入学当時には居ないと言っていた彼女ができたらしかった。

卒業式の前日、友人と黒板に卒業アートみたいなのを施した。私は絵がすこし上手かったから。
みんなが帰った放課後に任された大役だった。

そして先生がいた。細かいことは覚えていないけど、教室に先生がいた。

「先生、私、先生のことが好きだったんですよ」
気づいたら先生にそう言っていた。声は少しだけ震えた。
「俺も○○のこと、良いなって思ってたんだよ」
先生は笑った。

とても嬉しかった。胸がキュッとした。
当時先生も同じ気持ちだったんだ、と。  

そして今現在、私が好きになった先生の歳くらいになって思う。
いや、中学生の女の子を“いいな”って思うのは普通にやばくないか?


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