「私は安売りなんてしない女だから」
「私は安売りなんてしない女だから」
これは私の母・ママの言葉です。
「なんて傲慢(ごうまん)な人間なんだ!」と思う人もいるかもしれません。というか、私も話を聞いた時、ちょっぴり「え〜!そんなこと言っちゃうの!?どうしたらそんなこと言えるんだ……」と引き気味でした。
ママは私が3歳の時に亡くなったので、私がその人間性を知るには、人から話を聞くという方法以外にはありません。
▼私の生い立ちについてはこちら
しかし、ママの夫であり、私の父でもあるパパが「ママの話をしたら、寂しい思いや悲しい思いをさせてしまう」と気を使い、私も私で「ママの話をしてと頼むのは、パパを悲しませちゃう」と気を使っていたので、なんとなくタブー視されていた話題でした。
▼この記事で、そのことに少し触れています。
ママの死は、親であるおばあちゃん・おじいちゃんはもちろんのこと、弟たち、そしてパパにとってもあまりに突然で、その悲しみや絶望は、私が想像してみたところで到底及ばない深いものだろうと思っていたから、自分から聞くことができなかったのです。
ですが、ママが亡くなってから20年以上が経った2016年、やっと親子二人でママの話をするようになりました。
私は、ママの話を聞くことが好きです。それだけが「私のママは確かに生きていたし、私はママの娘なんだ」という縁(よすが)であるから。
今回は、私が聞いたママのエピソードの一つを、お話しさせていただこうと思います。
▼このnoteの登場人物一覧
結婚するためにママがしたこと
ママは美容師さんでした。おばあちゃんから聞いた話では、特にシャンプーが上手だと評判で、わざわざ指名されることもあったとか。
しかし、ママはある時、急に美容師さんを辞め、普通のOLさんになりました。その理由はかなりトリッキーなもので……「結婚する相手を見つけるため」だったそうです。私はこれにビックリもビックリ、大仰天でした。けれど、ママにとってはその選択が最適解だったのでしょう。
そうして、ママが「結婚相手を見つけるため」に入社した先で出会った人。それがパパです。また詳しく書きたいと思いますが、ママのデスクはパパの隣。まるで少女漫画のような展開で、私はこれにもビックリ!それと同時に「運命」とは本当に存在するんだな、と思いました。
……が、ママはそもそも、結婚相手を見つけようと転職したのです。さらには「相手に求める条件」まであったので、ママとパパが結婚したことは「運命」ではなく「必然」と表した方が正しいでしょう。
「安い女じゃないから、付き合う男には条件があるの」
ママの弟であるノリおじちゃん曰く、ママは「すごく賢い人だった」そうです。
▼ノリおじちゃんのエピソード
そして、かなりのモテ女でもあったとか。写真で見る限りでは、特別美人だとか、そういうわけではまったくないのに!この記事のカバー画像の女性こそ、ママです。やっぱり特別美人ではないし、とびっきりスタイルがいいというわけでもない……。なので、ママが結婚相手に求めた条件は、かなり厳しいと思いました。
ママが決めた条件は4つ。
その一「背が高い人。最低でも170cm、できれば180cm」
その二「国立大学を卒業した人」
その三「長男はダメ。次男か三男」
その四「農家はナシ」
その一は、ママの家系は背が低い人が多かったので、背の高い人に憧れを持っていたからのようです。現在でも「背の高い人がいい!」という女性はいるかと思いますが「自分よりも」という場合が多いのではないでしょうか?ですが、ママは具体的に数字まで指定……。
その二の「国立大学を卒業した人」については、頭が良い人じゃないと嫌!それを分かりやすく判断する基準として、国立大卒を条件の一つにしていたと思われます。ノリおじちゃん曰く「賢い人だった」らしいママにとって、自分よりもデキる・尊敬できる人でなければ論外!ということだったのでしょう。
その三とその四については、今現在もピタッと一致するとは限りませんが、どちらも「苦労するから」という理由です。
「私は自分を安売りなんてしない女だから、妥協なんてものも絶対にしない」
ママはノリおじちゃんに、常々そう言っていたそうです。
「そんなこと言って相手を選んでたら、結婚そのものだって無理じゃないの?だって理想が高いというか、条件が具体的すぎるじゃん!いないよ、そんな人!」
……と言いたいところですが。
私がこの世に存在していることが答えです。
ママ流!婚活の結果は……
ママの「私が結婚相手に求める4ヶ条」のすべてを満たした人物。もちろん、その人物こそがパパです。曰く「会社でモテてたよ。食事に行こうとか、そういう誘いをたくさんされてた」らしいのですが、ママは「安い女じゃない」という発言通り、誰の相手もしなかったそうです。
パパ、たった一人を除いて。
「どんな人から声をかけられても、応じなかった」
「誘ってくる人は断るのに、松本さん松本さんってずっと声をかけられるから、初めはすごく困った」
「自分とは真逆のタイプで、すごくおしゃべり好きだったから、どちらかと言えば苦手だったかなぁ?」
パパはそう言っていましたが「でも、他の人の誘いは絶対に断って、松本さん松本さんって声をかけられてるうちに、かわいいなって思うようになっちゃって……気づいたら結婚してた」というオチ。
「私は安売りなんてする女じゃない」と豪語していたママは、計画通りに「理想の相手」をゲットしたのです。お見事!としか言いようがありません。
ママの名言や「もはや伝説と言ってもいいのでは……」というようなエピソードは、他にもたくさんあるので……またお話しさせてもらいますね。こうして私が「書くこと」で、ママの存在はいつまでも残ってくれる。そう思うので。
私という「個」を応援してくださると嬉しいです。このnoteで行っていきたいあなたの「進化」のお手伝いにて、恩返しできればと思います。