ほうじ茶

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『名探偵コナン』コミックス収録エピソードで打線組んでみたwww

先日宝島社より発売された年末恒例の『このミステリーがすごい!』の2024年版で、連載30周年記念として『名探偵コナン』が特集されている。 作者である青山剛昌とミステリ作家の東野圭吾の対談などが組まれ、30年近くコナンファンをやっているミステリオタクとしては見逃す手はない一冊だろう。 そんな特集記事のなか”ミステリー作家が選ぶ『名探偵コナン』ベストエピソード”として阿津川辰海と斜線堂有紀によるベスト5エピソードが紹介されている。それぞれが5話づつエピソードを出し合い、最終的に両

    • 文体の舵をとっている16(了)

      〈練習問題⑩〉むごい仕打ちでもやらねばならぬ ここまでの練習問題に対する自分の答案のなかから、長めの語り(800字以上のもの)をひとつ選び、切り詰めて半分にしよう。 ※本文にはありませんが、切り詰める操作だけでなく、書き直しもOKとしています。書き直しの際は元の文章の内容や流れを変更しない、語りは明快さを保つ、印象的な部分も印象的なままに保つことを意識して実作に当たってください。 ついに最終課題である。最後の課題は今までの課題文の中から一作を選び、半分のボリュームにしろ、と

      • 文体の舵をとっている15

        〈練習問題⑨〉直接言わない語り 追加問題①:幻想のダマ 作り物の歴史であり、でっち上げの情報であるこの記述を、熟知するまで勉強すること。そのあと、これを物語や情景の土台として活用しよう。情景を書きながら、この情報を肥料とするわけだ。細かくつぶして撒き散らし、会話やアクションの語りなど、どこでも使えそうなところになじませてみよう。そうすれば、ダマに見えることはない。ほのめかし、ふとした言及、暗示など好きな手段を用いて、そのことを語ってみよう。何か勉強していることを読者が気づかな

        • 文体の舵をとっている14

          〈練習問題⑨〉直接言わない語り 問三:ほのめかし この問題のどちらも、描写文が400〜1200文字が必要である。双方とも、声は潜入型作者か遠隔型作者のいずれかを用いること。視点人物はなし。 ①直接触れずに人物描写――ある人物の描写を、その人物が住んだりよく訪れたりしている場所の描写を用いて行うこと。部屋、家、庭や畑、職場、アトリエ、ベッド、何でもいい。(その登場人物はそのとき不在であること) ②語らず出来事描写――何かの出来事・行為の雰囲気と性質のほのめかしを、それが起こ

          文体の舵をとっている13

          〈練習問題⑨〉直接言わない語り 問二:赤の他人になりきる 400~1200文字の語りで、少なくとも二名の人物と何かしらの活動や出来事が関わってくるシーンをひとつ執筆すること。 視点人物はひとり、出来事の関係者となる人物で、使うのは一人称・三人称限定視点のどちらでも可。登場人物の思考と感覚をその人物自身の言葉で読者に伝えること。 視点人物は(実在・架空問わず)、自分の好みでない人物、意見の異なる人物、嫌悪する人物、自分とまったく異なる感覚の人物のいずれかであること。 状況は、隣

          文体の舵をとっている13

          文体の舵をとっている12

          〈練習問題⑨〉直接言わない語り 問一:A&B この課題の目的は、物語を綴りながらふたりの登場人物を会話文だけで提示することだ。 1~2ページ、会話文だけで執筆すること(会話文は行の途中で改行することが多いので、文字数で示すと誤解のおそれがあるから用いない)。 脚本のように執筆し、登場人物名としてAとBを用いること。ト書きは不要。登場人物を描写する地の文も要らない。AとBの発言以外は何もなし。 その人物だちの素性や人となり、居場所、起きている出来事について読者のわかることは、そ

          文体の舵をとっている12

          文体の舵をとっている11

          〈練習問題⑧〉声の切り替え 問二:薄氷 六〇〇〜二〇〇〇文字で、あえて読者に対する明確な目印なく、視点人物のPOVを数回切り替えながら、さきほどと同じ物語か同種の新しい物語を書くこと。 もちろん、問一で書いたものから〈目印〉を取り除くだけでも問二に取り組めるわけだが、それではあまり勉強にならない。今回の「薄氷」では、別の語りの技術と、おそらく別の語りそのものが必要になってくる。今回はどうやら一見、三人称限定視点だけを使っているようでいて、実は潜入型の作者で書かれている、という

          文体の舵をとっている11

          文体の舵をとっている10

          〈練習問題⑧〉声の切り替え 問一:三人称限定視点を素早く切り替えること。六〇〇〜一二〇〇文字の短い語り。練習問題⑦で作った小品のひとつを用いてもよいし、同種の新しい情景を作り上げてもよい。同じ活動や出来事の関係者が数人必要。 複数のさまざまな視点人物(語り手を含む)を用いて三人称限定で、進行中に切り替えながら物語を綴ること。 空白行の挿入、セクション開始時に括弧入りの名を付すことなど好きな手法を使って、切り替え時に目印をつけること。 補足:人数は最低二人、視点移動は二回以上

          文体の舵をとっている10

          文体の舵をとっている9

          問四:潜入型の作者 潜入型の作者のPOVを用いて、同じ物語か新しい物語を綴ること。(文字数:700~2000文字) 問四では、全体を二〜三ページ(二〇〇〇文字ほどに)に引き延ばす必要が出てくるかもしれない。文脈を作って、引き延ばせるものを見つけ、そのあとを続けないといけなくなる場合もあるだろう。遠隔型の作者は最小限の量に抑えられても、潜入型の作者には、なかを動き回るだけの時間と空間が必要になってくる。 元の物語のままではその声に不向きである場合、感情面・道徳面でも入り込める

          文体の舵をとっている9

          文体の舵を取っている8

          <練習問題⑦>視点(POV) 問二:遠隔型の語り手 遠隔型の語り手、〈壁にとまったハエ〉のPOVを用いて、同じ物語(※1)を綴ること。(四〇〇〜七〇〇字) 問三:傍観の語り手 元のものに、そこにいながら関係者ではない、単なる傍観者・見物人になる登場人物がいない場合は、ここでそうした登場人物を追加してもいい。その人物の声で、一人称か三人称を用い、同じ物語(※1)を綴ること。(四〇〇〜七〇〇字) ここまでに使っていた短い情景・状況・物語がもう出涸らしになってしまったというな

          文体の舵を取っている8

          文体の舵をとっている7

          <練習問題⑦>視点(POV) 四〇〇〜七〇〇文字の短い語りになりそうな状況を思い描くこと。何でも好きなものでいいが、〈複数の人物が何かをしている〉ことが必要だ。(複数というのは三人以上であり、四人以上だと便利である)。出来事は必ずしも大事でなくてよい(別にそうしても構わない)ただし、スーパーマーケットでカートがぶつかるだけにしても、机を囲んで家族の役割分担について口げんかが起こるにしても、ささいな街中のアクシデントにしても、何かしらが起こる必要がある。 今回のPOV用練習問

          文体の舵をとっている7

          文体の舵をとっている6

          <練習問題⑥>老女 今回は全体で1ページほどの長さ(1ページ:800~1200文字)にすること。短めにして、やりすぎないように。 というのも同じ物語を二回書いてもらう予定だからだ。 テーマはこちら。ひとりの老女がせわしなく何かをしている――食器洗い、庭仕事・畑仕事、数学の博士論文の校正など、何でも好きなものでいい――そのさなか、若いころにあった出来事を思い出している。 ふたつの時間を超えて<場面挿入(インターカット)>すること。<今>は彼女のいるところ、彼女のやっていること。

          文体の舵をとっている6

          文体の舵をとっている5

          <練習問題⑤>簡潔性 一段落から一ページ(四〇〇〜七〇〇文字)で、形容詞も副詞も使わずに、何かを描写する語りの文章を書くこと。会話はなし。 要点は、情景(シーン)や動き(アクション)のあざやかな描写を、動詞・名詞・代名詞・助詞だけを用いて行うことだ。 時間表現の副詞(<それから><次に><あとで>など)は、必要なら用いてよいが、節約するべし。簡素につとめよ。 現在、長めの作品に取り組んでいるなら、これから書く段落やページを今回の課題として執筆してみるのもいいだろう。 すでに書

          文体の舵をとっている5

          文体の舵をとっている4

          〈練習問題④〉重ねて重ねて重ねまくる 問一:語句の反復使用 一段落(三〇〇文字)の語りを執筆し、そのうちで名詞や動詞または形容詞を、少なくとも三回繰り返すこと(ただし目立つ語に限定し、助詞などの目立たない語は不可) 《岸部露伴は動かない》ドラマ版の『くしゃがら』をやりたくて、存在しない言葉をインターネット上の造語ジェネレターでリセマラして抽出した。ギリギリ存在しそうな名前を選んだので、作中での考察は実際に自分で考察したもの。料理ネタで行くこととオチは決めていたのですんなり書

          文体の舵をとっている4

          文体の舵をとっている3

          問一:一段落(二〇〇〜三〇〇文字)の語りを、十五字前後の文を並べて執筆すること。不完全な断片文は使用不可。各文には主語(主部)と述語(述部)が必須。英語の主語+述語という主体と動態の構造関係は、日本語にそのままで当てはまるものではないため、たとえばここでは、〈何〉について、〈どう〉であるか、のように主題を対象とする陳述・叙述が成立していればよいものとする。 合評会の取り決めとして「主語は省略してもよいが、述語と目的語は省略しない15文字前後の文章を重ねて、200~300文字

          文体の舵をとっている3

          文体の舵をとっている2

          〈練習問題②〉 ジョゼ・サラマーゴのつもりで(p49~) 一段落〜一ページ(三〇〇〜七〇〇文字)で、句読点のない語りを執筆すること(段落などほかの区切りも使用禁止) テーマ案:革命や事故現場、一日限定セールの開始直後といった緊迫・熱狂・混沌とした動きのさなかに身を投じている人たちの群衆描写。 『句読点のない文章』という人生で一度も出力したことのないものを執筆しろ、なる課題で取り組む前はかなり及び腰だったのだが、シチュエーションと全体のイメージを決めて書き始めたら思いのほかス

          文体の舵をとっている2