問一:一段落(二〇〇〜三〇〇文字)の語りを、十五字前後の文を並べて執筆すること。不完全な断片文は使用不可。各文には主語(主部)と述語(述部)が必須。英語の主語+述語という主体と動態の構造関係は、日本語にそのままで当てはまるものではないため、たとえばここでは、〈何〉について、〈どう〉であるか、のように主題を対象とする陳述・叙述が成立していればよいものとする。
合評会の取り決めとして「主語は省略してもよいが、述語と目的語は省略しない15文字前後の文章を重ねて、200~300文字執筆する」ということになった。つまり――
(Sは)OをVする。
これを15文字前後の短文で刻んでいき、200~300文字の文章に仕上げることになる。
この課題は個人的にかなり難しく、見てわかるように上記の《縛り》を守り切れていない。(S)はOをVする。の文章になってない箇所や、15文字前後というには長すぎる箇所もある。無念。
問二:半〜一ページの語りを、七〇〇文字に達するまで一文で執筆すること。
課題2では句読点を用いない文章作成だったが、この課題では読点〈、〉アリでひと繋がりの文章を作成するというものだ。
一人称の自分語りというフォーマットはこの課題と相性が良く、前回同様シチュエーションと全体のイメージを決めるとそれなりにスムーズに書くことができた。
講評覚書
問1
・酉島伝法のような造語と漢字、ルビによる圧縮はこの課題への最適解のひとつ。
・課題への〈縛り〉が守りきれていない。
問2
・ハードボイルド調の一人称自分語り、ボヤキ節は課題と相性が良く、思考や意識があちこちに飛ぶなかで、一度出てきた話題が別の形になって再登場し物語が進んでいくのは面白いし、長い文章をだらけることなく読ませるスキルは感じられる。ただ中盤と終盤に構造が取りにくい箇所があり、修飾節の「係り」がとっちらかってしまった不自然な部分があり整理しきれていない。
・「俺」は活き活きとしてキャラクターが立っているのに、依頼者の女性の描写が紋切型であり、「俺」とのバランスが取れていない。ややクリシェに頼った構成。ただクリシェにはクリシェの良さがある。
課題という枠にはまりすぎない。
『癖』と『我』を活かせ。