簡雍さんは考えた。(短編の3)
簡雍は考えた。
先行きが不安だな。
しかし、そこに自分はあえて乗ろうとしているのだから、我ながら無謀だとも思う。
傍で喚いているのは、
張飛(字を翼徳)という大男である。
隆々とした体躯に針金の様な髭は
ただでさえ威圧感を振り撒くようなのに、
この男から割れる様な大声を浴びせられれば
誰でも縮み上がってしまうだろう。
現に今怒鳴られている門番は、
槍を抱くように握りしめて
すくみ上がっている。
張飛は丸腰であるにも関わらず。
「お前はこのお方を知らんのか。
あの劉玄徳殿だぞ!