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明日(19日)、株価が史上最高値更新か

日経平均株価のこれまでの最高値は、取引期間中で3万8957円44銭、終値で3万8915円87銭。

いずれもバブル絶頂期、1989年の「大納会」12月29日に記録したものだ。


おととい16日の日経平均株価は、一時700円以上値上がりし、その史上最高値「3万8957円」に、100円弱(3万8859.57円)まで迫った。

終値でも、3万8487円24銭。


週明けの明日、あっさり史上最高を抜くんじゃないでしょうか。

月曜でなくても、週内には行くでしょう。まあ、株価のことはわかりませんがね。


バブル期の、これまでの最高値のころを記憶している世代としては、自分のもってる世界記録を更新されるようで、なんか淋しかったりする。

でも、これが「バブル」ではなく、企業業績の反映で、賃上げにつながれば、世の中の景気がよくなる。それは間違いなくいいことだ。

35年間の足踏みから、ようやく1歩前進するのかもしれない。


株価最高値の日


わたしは、小説「平成の亡霊」に、史上最高値をつけた日のことを書いた。


3万8957円。

史上最高値で、大盛り上がりの中、今年の株式市場は幕を閉じていた。

「すごいね。最後まで買いが衰えなかった」

と、兜クラブの先輩記者も興奮気味だった。

取引所社長の音頭で手締めが行われ、お開きとなったあとも、人々は会場を立ち去りがたい熱気だった。

(小説「平成の亡霊」)



主人公が兜町の証券取引所で取材している設定だった。

ただ、わたしは経済記者ではないので、当時の兜町のようすはよく知らない。

資料を探したが、当日のことを書いたものがあまりなくて、困った。大納会(年内最後の取引日)なので、手締めがおこなわれた写真などは残っているのだが。

だけど、その後の「忘年会」の話は、経済記者の先輩から直接聞いてた。


兜クラブの経済記者に聞くと、今年の忘年会の誘いは案の定「記録的」で、あまたの銀行、証券会社、金融系研究機関などの宴会を数日にわたってこなすために、ほとんど30分ごとにタクシーに乗って移動したという。

長銀や第一勧銀など、大銀行が集まる内幸町あたりの道路は、接待客を乗せたタクシーで埋まって動けなくなったそうだ。

(同上)



一日に7社くらいの忘年会をはしごしたそうだ。

社用車では間に合わず、新聞社の前にタクシーが長蛇の列をつくっていたのを覚えている。


栄華のあと


上の小説の記述で、「長銀」はどうしても入れたかった。

当時の記憶のなかで、「長銀(日本長期信用銀行)」は懐かしい名前。日本興業銀行、日本債権信用銀行(日債銀)とともに、長期信用銀行法にもとづいた銀行で、バブル期の主役だった。「ワリチョー」とか「ワリシン」とか、株に興味がなくても、CMでその金融商品名を覚えていた。

のちに長銀と日債銀は破綻。日本興業銀行はみずほコーポレート銀行としてみずほグループに入った。


わたしのなかでバブルの象徴のようになっているのが、長銀と日債銀のビルだ。


旧長銀(現新生銀)本社ビル(内幸町 wikipediaより)


千代田区九段北にあった旧日債銀本社ビル(wikipediaより)


長銀は新生銀行、日債銀はあおぞら銀行となり、旧長銀ビルは新生銀行本社ビルとして残っている。

旧長銀の、いっちゃ悪いがあぶなっかしいビルのフォルムが、のちに振り返るとバブル期の印象と重なる。

日債銀本社ビルは、すでに解体されて、存在しない。跡地は「北の丸スクエア」という超高層ビルになったが、しばらくそのあたりを通るとき、日債銀ビルを思い出し、栄枯盛衰の感慨をちょっとだけ覚えた。


景気がよくなるとどうなるか


バブル景気のころの風俗は、上記の小説にいろいろ盛り込んだ。

タクシー券使い放題とか、裏金づくりとか。

そう、カネが余ると、人は裏金づくりにいそしむ。

その手口のいろいろも、以前書いたことがある。

マスコミだけじゃない、いろんな業界でおこなわれていただろう。

裏金はけしからん、なんてのは、セコい「節約マインド」でね。もうかってるときは、人びとは細かいことを気にしない。

人びとは、そういう「余った」カネで、旅館や、クラブや、行楽地に、みんなで繰り出すわけである。

カネが世の中に循環し、求人が増え、賃上げや投資収入で一般家庭がうるおい、子供たちふくめてぜいたくできるようになる。

円安にもかかわらず、一家でハワイでも行っちゃおうか、みたいになる。

高級ブランド品や、宝飾品が売れるようになる。

人びとの顔が上気し、表情が明るくなる。


ーーというふうに、なればいいねえ。

死ぬ前に、そういう日本を、もう一度見たい。


いまの若い人は、「景気がいい」というのが実感としてわからないかもしれない。

マスコミの論調も、どうも悲観的でいけない。

「景気」の中身は、バブル期とはまたちがうのかもしれないが、「ぱあっとカネを使う」、あんときみたいな世の中が来てほしい。


景気がよくなり、世の中が明るくなったら、わたしのような年寄りも、浮かれてディスコのお立ち台にのぼりたくなるかも。

カラオケなんてシケたもんじゃなく、ディスコだって復活するだろう。

今生の思い出に、せいぜいフィーバーしたい。

年金も上がらないだろうか・・。



<参考>














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