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日本人は「朝日・毎日・天皇制」から逃げられない

これは文字どおりの意味だ。

大東亜戦争は、日本軍がやったということになっているが、身体で言えば、軍隊は国の手足にあたる。

顔と頭(脳みそ)に当たるのが天皇と朝日・毎日だった。

朝日・毎日がいかに戦争翼賛的だったかは、戦後GHQが焚書した(在庫を廃棄して流通しないようにした)出版物の数で、第1位は朝日新聞社発行、第3位が毎日新聞社発行であったことでもわかる(第2位は大日本雄弁会講談社)。

関東大震災以来、日本のマスコミは朝日と毎日の天下だった。彼らはその後、一貫して、日本の戦争遂行のプロパガンディストであり、シンクタンクでもあった。(だからこそ、ソ連のスパイだった朝日新聞記者の尾崎秀実が近衛文麿の側近に入り込めた)


戦争に負けたから、彼らは真っ先に解体されてしかるべきであった。実際にドイツの新聞社は解体された。

しかし、日本の彼らは無傷で残った。

自分たちが主導した戦争で、負けた。つまり、通常最強と考えられる、自国の国家権力より、さらに強い権力に負けた。にもかかわらず残るのだから、無敵である。この世からなくなる理由が思いつかない。

こういう存在は、世界でも稀だと思う。

普通の国では、マスコミは国家や政府より弱い。せいぜい第4権力だ。しかし、日本では天皇制とともに第1権力である。

「朝日・毎日(テレビ朝日、TBS)」が言っていることが、正しいかどうかは関係ない。究極的には、その都度、調子のいいことを言っているに過ぎない。戦争中と同じである。責任を取らなくていいなら、どんな威勢のいいことも言える。

その存在自体が非民主的であることは、天皇制がそうであるのと同じだ。国民に対してアカウンタビリティーがない。


昭和天皇にはまだ戦争責任論があった。しかし朝日・毎日は、加害者であったにもかかわらず、戦後は国民とともに被害者であったように振る舞い、成功している。(今年は毎日新聞創刊150周年だったが、あまり大々的に祝えないのは、戦中の「秘密」がバレるのが怖いからではないか、と私はニラんでいる)

自民党みたいな戦後の産物より、当然強い。自民党は選挙があるから民意を気にするが、朝日・毎日は気にする必要がない。常に世論調査をする立場で、される立場にならない。都合の悪い世論は握りつぶせる。

それに、誰もテレビや新聞に新しく参入することはできない。法的、政治的にそういう仕組みができている。だから潰れない仕組みになっている。

立憲君主国でも、人気があった王(女王)が不人気な後継者に代替わりするなどで、王室廃止論が出ることがある。タイがそうだったし、最近の英国でもあった。ネパールは今世紀になって実際に廃止された。天皇制も、国民投票による憲法改正でなくすことは、理屈の上では可能かもしれない。

しかし、朝日・毎日をなくす方法はない。新聞の部数が仮にゼロになっても、ネット媒体などにニュースの供給が必要な限り、報道機関はなくならない。新聞がテレビと合体したとしても生き残るだろう。

(試しに、あなたのスマホから、朝日・毎日・テレビ朝日、TBSのニュースを排除してみてほしい。できないはずだ。新聞を読まず、テレビを見なくても、あなたは「朝日・毎日」の影響圏から決して逃げられないーーつまり、あなたの意思にかかわらず、あなたは「朝日・毎日」のニュースや記事を「買わされている」。ここにはNHK受信料と同じような問題がある)

その意味では、マスコミは天皇制より強い。


自分たちが主導した戦争で、日本人が何百万人死のうが、アジア含めた世界で何千万人死のうが、朝日新聞も、毎日新聞も、天皇も、1ミリも責任を取らなかった。これは歴史的事実だ。だから、今後も責任を取らないだろう。

そして将来、日本が仮に中国に乗っ取られても、「朝日・毎日・天皇制」だけは残ると思う。すでにその準備をしている気配もある。共産主義の中国に支配されて君主制が残るのか、と疑問に思う人がいるかもしれないが、共和制のアメリカに支配されても残ったのである。

朝日・毎日と戦おうとした政治家がいたとすれば、安倍晋三氏くらいだった。しかし彼も、首相任期中は何もできなかった。それどころか、新聞に軽減税率を差し上げたのだった。首相をやめて、本格的に朝日・毎日と戦おうとしたかもしれないが、勝ち目があったとは思えない。いずれにせよ彼が死んだので、もう誰も朝日・毎日に逆らえない。岸田氏が朝日・毎日に逆らえるはずはない。

だから、日本人は永遠に「朝日・毎日・天皇制」から逃れられない。


天皇制を支持する人と、朝日・毎日を支持する人は、一見、正反対の立場に見えるが、その見せかけに騙されてはいけない。天皇制と朝日・毎日は昔から「仲間」である。

朝日・毎日は、選挙で選ばれた安倍晋三氏は口をきわめてののしるが、天皇の悪口は言わない(朝日は、たまに遠回しに抽象的に言うが、決定的な傷はつけない)。そして、天皇も、朝日・毎日も、アメリカから与えられた憲法を忠実に守る仲間である。

朝日・毎日は、安倍晋三の国葬にはギャーギャー反対するが、昭和天皇が亡くなった時は、天皇制批判の声をすべて圧殺し、恥ずかしげもなく「崩御」などという言葉を復活させ(いまだに腹が立つので「1989年のアウトポスト」という小説で批判した)、大喪の礼にも反対することなく粛々と報道し、そして幹部はそれにいそいそと出席していた。

日本の真の支配者は、(A)国民によって選挙で選ばれた政党の首相、なのか、(B)国民に対して説明責任のない天皇と朝日・毎日、なのか。日本が民主国であれば(A)が(B)より強いはずだ。しかし、実は(B)の方が強い(民主国ではない)。(B)は(A)の強化ではなく弱体化に務めている。(A)は常に醜く愚かに描かれ、(B)は常に清く正しく描かれる。人々は(A)よりも(B)に支配されたいと思わされている。(天皇と朝日・毎日を信じているのだから戦中と変わらない)


新聞は斜陽だとか、マスコミは遅れているとかバカにするが、みんな騙されている。

そういうふうにバカにされながら、彼らは常に布石を打っている。国の「ボス」がどう変わろうが生き残れるように。

織田や徳川の天下でも、薩長の天下でも、マッカーサーの天下でも、皇室は生き残ってきた。室町時代の皇室の落ちぶれぶりは、庶民に同情されるほどだったが、それでも生き延びた。明治以来の「朝日・毎日」のサバイバルもそれに匹敵する。彼らのしたたかさにこそ学ばなければならない。

最後に生き残るのは彼らだ。彼らに逆らってはいけない。「泣く子と地頭には勝てない」と昔から言うが、天皇制が地頭なら、朝日・毎日は「泣く子」である。せいぜい仲良くすることである。



*ちなみに、読売新聞は危なかった。戦後すぐの大争議で、事実上、共産党に乗っ取られていた。ちょうど新憲法発布の時期で、読売新聞の社論は、いまの赤旗もマッサオの人民憲法論だった。GHQの強権で読売の組合は解体され、元に戻る。日本が中国に乗っ取られたら、上述のとおり、朝日・毎日は残ると思うが、産経は潰され、読売も危ないだろう。

*なぜ彼らは残ったのか。結局、アメリカにとって、日本占領に「朝日・毎日・天皇制」が必要だった。だが、アメリカだけの作為とも思えない。占領時に、皇室や新聞社が占領軍とどういう取引をしたかは、一切表に出ていない。


<参考>


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