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30年、給料が上がらない国 私のせいです。

日本のことですが。

私は、この「給料が上がらない30年間」、サラリーマンをやっていた。

いや、むなしい日々でしたね。

われわれの世代は、「給料がすごく上がる」時代、つまり高度成長期を、子供の頃に知っているわけです。親の現役時代です。

高度成長期に生きた親の世代は、その親、つまり祖父母の世代の生活水準を、当たり前のように抜いてったわけです。親元を離れて一戸建てを買い、親よりもいい車に乗り、親の持っていないクーラーやステレオを買えた。

子供は、親よりもいい生活ができる。それが当たり前の世界に思えた。今の中国がそうですね。

ところが、われわれの世代は、働けど働けど、親の生活を抜けないんですね。親のほうが、たくさん年金もらって、いい生活してるくらいです。親に寄生するやつも出てきた。

なんか、おかしいな、と。私も思ってました。

でも、途中から、こりゃヤバイ、と思って、それなりに頑張ったですよ。

私はマスコミにいたわけですけど、2000年を超えるあたりで、勝ち組と負け組にはっきり分かれてきました。

今の言葉でいえば、コンテンツ産業ですね。そのコンテンツを作れる会社と、作れない会社で差が出てくる。

どういうコンテンツがいいかというと、国際化できること、そしてデジタル化できること。漫画やアニメ、ゲームがそれです。

そして、その権利で商売できるかどうか。ライツ・ビジネスですね。つまり、コンテンツとライツ、その両輪で儲けている、ごく少数だけが伸びた。

私の会社は「両輪」ともなかったので、なんとかしようとジタバタしたけど、ダメでしたね。詳しく言うと、グチになるから言わないけど。

私が会社で経験したようなことが、日本全体でも起こっていたんだろうな、と思うんですね。

会社を辞めるとき、「君たちの給料を上げたかったけど、できなかった。ゴメンね」と部下に言って、社員証を返却しました。

頭を下げた私は、まだ良心的なほうだと思って欲しいんですね。

「30年給料が上がらない国」が、「永遠に給料が上がらない国」になるのかどうか。

それは若い人たちにかかっているわけですが。

これまでは、若いYouTuberが「自分の年収は5000万だ。大臣よりもらっている」とか言っても、「ふん、世間知らずが」と、嫉妬心を隠して笑って言えた。

大卒の生涯賃金は、大企業だと3億円だ。数年間、数千万稼いだだけだと、たいしたことないね、と言えた。30年の安定した収入が勝つ、と。

しかし、これからはそれも言えない。収入が下がるかもしれないし、安定もしていない。ローンも組めない、子供も作れない。

私が若者なら絶望するが、今の若い人は、高度成長もバブルも知らないだけ、虚心に頑張れるんじゃないの(適当)。

政治に期待しちゃダメですね。アベノミクスとか関係ないですから。そのはるか以前から始まっている話で。

政治はダメかもしれないけど、なんでも政治のせいにする奴は警戒すべきでね。私が解決できますと言う政治家も信じちゃダメです。

いや、給料上げられなかったわれわれが、何を言っても説得力ないですね。

マスコミ含めて、みんな給料を上げられなかったんだから、みんな信じないでください。円安が悪いとか内部留保がとか、これからはエネルギー、とか適当なこと言ってますが、昔から何度も聞いた話でね。

マスコミの中でも、ニュース・報道部門は伸びなかった、いちばんダメな部分ですから。経済の先を読めなかったんだから。だから記者の給料上がってないだろ。

どっちかというと、日本の足を引っ張ってきた。「迷うな! 日本はパソコン作りとかのモノ作りだけやってればいい。ソフトじゃない、ハードだ!」と2000年くらいまで言っていた。いま何を言っても信用できないよ。

理由をいくつ思いつけても、それを変えられない理由がわからない。世界中、そうなわけで。そして、解決は、たいがい思いがけないところから生まれるわけで。

いや、給料が低くて、ホントすみません。


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