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つれづれ…

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カウンセラーをしている40代の♂です。なんとはなしに日々思ったことを文章に残していこうと思います。不定期更新。
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2019年12月の記事一覧

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』-今年観た映画2019年 (その2)

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』-今年観た映画2019年 (その2)

クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)を観た。

最高すぎて、溜息が出た。

1993年、僕は大学進学を機に実家を離れ、一人暮らしを始めた。リードを外されては狂ったようにはしゃぐ子犬よろしく、やりたいことしかやらない本能任せの生活がしばらく続いた。

とりあえず、映画を浴びるほど観たかった。時間を気にせず、劇場で、ビデオで、観たい作品を延

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いろんな剃刀

いろんな剃刀

「ある事柄を説明するために、必要以上に多くを仮定するべきでない」

いわゆる「オッカムの剃刀」だ。

この指針を知った時はシビれた。
「カッコイイとはこういうことだ」
『紅の豚』のキャッチコピーが頭に浮かんだ。

バイキング方式60分食べ放題でアレもコレもと欲に任せて盛り付けられたプレートほど醜いものはない。腹はもたれるし残飯も増える。

現代最高の知性の1人であるナシーム・ニコラス・タレ

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「スカイウォーカーの夜明け」に備えて-暗黙の物語のスクラップ&ビルド

「スカイウォーカーの夜明け」に備えて-暗黙の物語のスクラップ&ビルド

「遠い昔、遥か彼方の銀河系で...」

1977年の第一作公開から四十余年。スターウォーズサーガの最終章、『STAR WARS/スカイウォーカーの夜明け』の公開日(2019/12/20) が迫ってきた。

予習、ではないけれど、前作『STAR WARS/最後のジェダイ』(2017) を観た後に記した文章を再掲し、新作公開に備えることにする。

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映画『七人の侍』を初

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リスクリテラシーあるいは医原病の回避

リスクリテラシーあるいは医原病の回避

ゲルト・ギーゲレンツァー氏は現役のドイツの心理学者だ。「意思決定における限定合理性とヒューリスティックの利用」に関する研究の権威であり、リスクリテラシーの重要性を広く啓蒙している。氏曰く、

「医師にどうすればいいかを訊いてはいけません。私の立場だったらどうなさいますか?と訊くのです。あなたは返答の違いに驚くことでしょう」

対人援助職に携わる者としては、怖い質問だ。ストレートな回答はできない

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映画『イエスタデイ』-今年観た映画2019

映画『イエスタデイ』-今年観た映画2019

今年観た映画で一番のお気に入りは、ダニー・ボイル監督・リチャード・カーティス脚本『イエスタデイ』(2019) だ。

かれこれ十年鳴かず飛ばずのミュージシャンだった主人公ジャック・マリク(ヒメーシュ・パデル)が「そろそろ潮時か」と覚悟を決めたその日に「世界中の誰一人ビートルズを知らない」という不可思議なパラレルワールドに迷い込む。物語はそんな風にはじまる。

ジャックの演奏するビートルズの名曲

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ウーマンラッシュアワー村本さんのこと。

ウーマンラッシュアワー村本さんのこと。

12/8に『THE MANZAI』がTV放映された。実力者揃いのイベントなので、どのコンビのネタも当然ながら面白い。

出演コンビの一つであるウーマンラッシュアワーさんのネタは、今年も放送直後からお決まりのように賛否両論を巻き起こしていた。

僕はつい二ヶ月前、初めてウーマンラッシュアワー村本さんの独演会に参加したこともあり、例年とは随分違った感覚でお二人の漫才を見ることになった。

なんと言うか

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師走ですね。

師走ですね。

師走ですね。

行動経済学の立役者ダニエル・カーネマン先生の教えに従い、とりあえずこの月を良き記憶で埋め尽くしたいものです。

名著『ファスト&スロー』に「ピーク・エンドの法則」と「持続時間の無視」という二つの心理学的特性が紹介されています。

「ピーク・エンドの法則」というのは、「ある経験についての記憶に基づく自己評価は、①ピーク時と②終了時の苦痛の平均でほとんど決まる」というものです。

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