ビジネスパーソンが知っておくべき財務分析の目線とは?
(最終更新日:2022/8/15)
今回は財務分析について私見を述べたいと思います。
noteをはじめ、様々なメディアで企業の財務分析をしている記事(有料含む)が出ており、多くの皆さんが興味を持っていることが伺えます。
が、そもそもなぜやるのか?というマインドセットとゴールセッティングを持っていないと、分析記事を「ふ〜ん」と読んで終わりになってしまうと思います。
結局分析してどうなるのか?分析スキルをどのように生かしていくか?という目線のもと、財務分析をする上で大事なこと・気を付けなければいけないことを簡単に纏めてみました。
なぜ財務分析をするのか
主に以下のような誘因が考えられます。
①〜③であれば目的は明確ですが、特に④のパターンだと前述したように、他人が考えたものを「ふ〜ん」と読むだけでは力はつかないので、何らかの方法でアウトプット、すなわち自分であれこれ仮説を立てていく力を身につける必要があります。
①〜③においても、もう少し細かく目的意識を分解していくと、何を主軸に分析するの?分析した結果をどう活用するの?といった論点もありますね。
会計の裏側を考える
ではどういう目線を持つべきでしょうか。ROIとか流動比率などの概念を知っておくのも大切ですが、これらは知っていることで「ふ〜ん」となるだけの、いわば数学の公式みたいなものです。財務分析の具体的な方法・イロハは調べればたくさん出てくるのでここでは割愛するとして、大事なのは以下の「仕組み」を知ることです。
会計は事象の結果であるため、会計の裏側にある「環境→戦略→勝ちパターン」を考えていくことが非常に大事です。一言で言えば、
などが挙げられます。財務分析を行うのはいいとして、結局その会社がそうなった要因は何か?を妄想しましょう。「経営と会計はコインの表と裏」とよく言いますが、まさにこの言葉の通りですよね。
分析によってはファクトを並べているだけであり、この要素がないと分析とは言えないのです。
大事なのは、勉強の勉強法
このように、「仮説」の「考え方」を習得することが大事です。分析の記事は成果物であり、なぜその分析結果に至ったか?というプロセスは書いてありません。具体的に言えば、「どうやって決算書を読むか?」「その結果、今企業に何が起こっており、好調なのか不調なのか?」「自分の企業に置き換えるとどうか?」という仮説のフレームワークのことですが、意外と体系的に纏めている記事は見当たりません。
もっと大事なのは、企業の将来を見通し「経営者が実現したい将来・決算」を妄想する力
会計はあくまで現在の企業の状況を示すものであり、将来を示すものではありません。(もちろん過去からの連続性はありますが) また、ブランド価値などの「強み」は無形資産として計上されない問題?もあります。
ですので、大事なのは会社のIR資料や中期経営計画を読み、経営者は会社をどうしていきたいのか?目指す決算は何か?という仮説をたてることも大切です。数年前に出した計画と直近の経営成績を比較すれば、計画通りに事業が進捗しているか一目瞭然ですよね。このような仮説思考力を鍛えるということが、私でNoteで一貫して主張している「会計力をつける」という話になります。詳細を知りたい方は、以下の記事をどうぞ。
「財務分析3.0」の考察
ではどのような目線で勉強すればいいのか?という問いについて、1つご提案です。
本サイトでは、以下のようなフレームワークを基礎として、企業価値最大化に向けた会社の施策に着目し、分析をしていきたいと思います。
フレームワークについて、詳細な説明・目線は以下からご覧ください。
具体的には、ビジネスモデル×戦略×会計分析×ファイナンスといった目線です。企業価値が伸び、業績や株価が伸びている要因は何か?を多角的に分析していきたいと思います。
本記事を読んでいただきたい方は以下のような皆さんです。
記事はこちらからどうぞ!(※随時更新予定です)
主に、中長期的に株価推移が向上している企業をターゲットとしています。
おまけ:ビジネスパーソンが覚えておくべき財務指標とは?
最後に、ビジネスパーソンが覚えておくべき財務指標の話」をしたいと思います。
ファイナンス関係の様々な本において、一般的に以下の財務指標が業界の平均値であり、経理部のみならず多くのビジネスパーソンが会社を見る上で覚えておくべき、と書いてあることを発見しました。
では、これらの数値は本当に現実的なのか?という疑問が出てきます。そこで筆者は、日経225に採用されている企業の財務データ直近値(2019年9月〜2020年3月の1年分)を基に算出してみました。その結果、
という数値が導き出せました。(※各社財務データより筆者調べ)
ROA・営業利益率・資産回転率はほぼ同水準となりました。営業利益率が若干上振れましたが、業種にもよるので5%と覚えていても問題はないかと思います。
問題はROEとPERです。ROE、PER、これらを掛け合わせたPBR(=ROE×PER)は、一般的に投資銘柄を選定する際に見るべき重要な指標になります。PBRの低い銘柄は株価より割安と判断され、PBRをROEとPERに分解してみると、より違いが鮮明です。
この点、企業の稼ぐ力と言われるROEが低く、市場の評価が入っているPERが高く出ているということは、市場からは割高と考えられている企業が多く、当然ROEは業種により異なるため平均値をとることに意味はあるのか?という議論はありますが、今後より企業が「稼ぐ力」を高めていく課題があることを実感しました。
結論として、どちらの値を覚えておくかはお任せですが、仮に投資を行う際・新規取引先を考える際・転職する際にはこのような目線も参考にしてみてください!
まとめ
財務分析は本当にいろいろな目線・メソッドがあり、絶対的に正しいものはありません。ただし、表面的な数値の羅列をしても本質には辿りつきません。様々な角度から深い視座をもつために、勉強していきましょう。
引き続き、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
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