海燕(ライター)

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海燕(ライター)

オタク/サブカルチャー系の記事を執筆。お仕事に関するご連絡は〈kenseimaxi@mail.goo.ne.jp〉まで。マルハンさまのウェブサイト「ヲトナ基地」にて記事掲載中。 https://www.maruhan.co.jp/east/media/

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固定された記事

宮崎駿最新作『君たちはどう生きるか』を理解できなかった人のためのネタバレ謎解き。+おまけ記事30000文字。

 昨日、宮崎駿監督の『風立ちぬ』以来、10年ぶりの新作映画『君たちはどう生きるか』が公開されたので、ひとりのアニメファンとして当然ながら初日初回で見てきた。  個…

300〜
割引あり
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「〈天才〉と呼ばれる作家の本質とは? 永野護という名の反骨のロックスピリット。」

 いつの時代も創作の世界には群を抜いたクオリティの仕事を軽快に成し遂げ、畏怖と尊崇を込めて〈天才〉と称される作家がごく少数ながら実在する。マンガ『ファイブスター…

300〜
割引あり

「マンガ原作の実写邦画は駄作ばかり」というウソ。成功作と失敗作を分かつものは何か。

 いうまでもないことだが、わが国には色々な文化がある。  そのなかには能や歌舞伎のように長い歴史と伝統を誇るいわゆる「伝統文化」もあれば、ロックミュージックのよ…

300〜
割引あり

山本弘追悼記事が中断していますね。ごめんなさい、いま書いています。最後まで書き切る意思はあるので、続けて読んでおられる方はもう少しお待ちください。よろしくお願いします。

リアル弱者男性ライターが読む『弱者男性1500万人の時代』。

 弱者男性。  「弱者」と「男性」、一見するとなじみづらい、相反するとすら捉えられがちであるかもしれない概念をひとつにしたこの造語は、いま、ネットをうろつき回っ…

【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第五回:完結編①)

 第五回である。  こんなに続く追悼記事もあまりないかもしれないが、ここまで来たら最後まで書き切るより他にない。まだつきあってくれている少数の読者さんたちには最…

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【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第四回:小説作品編後編)

【「平井のテーゼ」】 第四回である。今回もまた初めに謝っておくが、当然のごとくこの第四回でもまだシリーズは終わらないのだった。  どうやら過去四半世紀でぼくがネ…

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【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第三回:小説作品編中編)

【第三回は謝罪から始まる】 まず、最初に謝っておきます。  山本弘の人柄と小説作品について書きはじめたらいつまでも終わらず、なんと「後編」のはずの記事は「中編」…

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【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第二回:小説作品編前編)

【『サイバーナイト』の思い出】 この記事は、亡くなった作家の山本弘さんを追悼した記事の第二弾である。  しかし、第一弾とはほぼ独立した内容になっているので、ここ…

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【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第一回:インターネット編)

うらにわのおはかに、はなたばを。 山本弘さんが亡くなられた。  といっても、もちろんご存知ない方もいらっしゃることだろう。  そういう人のなかにも「トンデモ本」…

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海燕のポートフォリオ

【サブカルチャーに関する記事ならお任せください!】 はじめまして。プロライターとして活動している海燕(かいえん)と申します。一方でブロガーとして有料/無料記事を…

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史上初の成功となるか!?山田風太郎の名作伝奇/伝記小説『八犬伝』が映画化!

 日本が誇る天才伝奇作家・山田風太郎の長編小説『八犬伝』が映画化されるとか。  監督は『鋼の錬金術師』の方ということで、正直、「大丈夫かなあ」と思ってしまうとこ…

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1000回死んでも、1001回目の冒険に挑む自分でありたい(気がしないでもない)。

 何かしらビデオゲームをプレイする方なら必ずご存知であろう名作ゲームに『風来のシレン』シリーズがあります。  「1000回遊べる」というインパクトのあるキャッチフレ…

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驚愕の新展開『龍と苺』に登場したなぞの少女・藍田苺(仮)の正体を考察する。

 衝撃と必笑の展開が話題をさらった先々週から二回、『龍と苺』はあいかわらずわけのわからない話が続いている。  いきなり100年後の未来に物語が飛躍したのははまあ…

人生とは初めから限られた可能性をさらに限定していく不断のプロセスである。

 積読(つんどく)とは日本固有の概念らしいが、当然、本を積みまくっている人は世界中にいることだろう。  ある程度、読書をする人間はどうしても積読することになって…

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永野護『ファイブスター物語』デザイン画集第七弾『F.S.S.DESIGNS7 ASH DECORATION』を手に入れたよ。

 『ファイブスター物語』のデザイン画集第七弾『ASH DECORATION』を入手しました(6600円……)。あれ、なぜか画像が表示されない。まあいいか。  今回は星団暦3075年の…

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宮崎駿最新作『君たちはどう生きるか』を理解できなかった人のためのネタバレ謎解き。+おまけ記事30000文字。

宮崎駿最新作『君たちはどう生きるか』を理解できなかった人のためのネタバレ謎解き。+おまけ記事30000文字。

 昨日、宮崎駿監督の『風立ちぬ』以来、10年ぶりの新作映画『君たちはどう生きるか』が公開されたので、ひとりのアニメファンとして当然ながら初日初回で見てきた。

 個人的にはリッチなアニメーションと幻想的なストーリーテリングを楽しんだが、予想通りというかいつものことというか、ネットでは賛否両論である。

 それ自体はおおよそ想像できた展開ではあるのだが、予想外だったのは「ストーリーがわからない」とい

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「〈天才〉と呼ばれる作家の本質とは? 永野護という名の反骨のロックスピリット。」

「〈天才〉と呼ばれる作家の本質とは? 永野護という名の反骨のロックスピリット。」

 いつの時代も創作の世界には群を抜いたクオリティの仕事を軽快に成し遂げ、畏怖と尊崇を込めて〈天才〉と称される作家がごく少数ながら実在する。マンガ『ファイブスター物語』、映画『ゴティックメード』などの作品で知られる永野護もそのひとり。

 若くして『機動戦士ガンダム』の「あの」富野由悠季に見出されて『重戦機エルガイム』のキャラクター及びメカニックデザインを努め、その後は雑誌『ニュータイプ』で『ファイ

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「マンガ原作の実写邦画は駄作ばかり」というウソ。成功作と失敗作を分かつものは何か。

「マンガ原作の実写邦画は駄作ばかり」というウソ。成功作と失敗作を分かつものは何か。

 いうまでもないことだが、わが国には色々な文化がある。

 そのなかには能や歌舞伎のように長い歴史と伝統を誇るいわゆる「伝統文化」もあれば、ロックミュージックのようにわりあい歴史が浅く、その代わり広く深い人気を誇る「ポップカルチャー」もある。

 それらはそれぞれ異なる個性を持ち合わせており、あたりまえのことながら優劣をつけることは容易ではない。

 しかし、もし、そういった数々の文化のなかから、

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山本弘追悼記事が中断していますね。ごめんなさい、いま書いています。最後まで書き切る意思はあるので、続けて読んでおられる方はもう少しお待ちください。よろしくお願いします。

リアル弱者男性ライターが読む『弱者男性1500万人の時代』。

リアル弱者男性ライターが読む『弱者男性1500万人の時代』。

 弱者男性。

 「弱者」と「男性」、一見するとなじみづらい、相反するとすら捉えられがちであるかもしれない概念をひとつにしたこの造語は、いま、ネットをうろつき回っているとしばしば見かけるようになった。

 その時々で肯定的な文脈であることもあれば、否定的な使われ方をしていることもある。そのことそのものの是非は措くとしても、とかく、対立や議論の焦点となりがちな言葉であるのだ。

 しかし、その一方、

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【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第五回:完結編①)

【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第五回:完結編①)

 第五回である。

 こんなに続く追悼記事もあまりないかもしれないが、ここまで来たら最後まで書き切るより他にない。まだつきあってくれている少数の読者さんたちには最大の感謝を表します。

 さて、前回は「人間の愚かさ」を極限まで追求し告発する平井和正が提唱した「平井のテーゼ」を山本弘がどのように継承していったのか、そしてそこに発生した欺瞞について簡単に記した。

 『アイの物語』では、象徴的なことに

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【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第四回:小説作品編後編)

【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第四回:小説作品編後編)

【「平井のテーゼ」】 第四回である。今回もまた初めに謝っておくが、当然のごとくこの第四回でもまだシリーズは終わらないのだった。

 どうやら過去四半世紀でぼくがネットに書いてきたなかでも最も長い記事になりそうである。こうなったら行けるところまで行ってしまうしかない。最後までブレーキを踏むことなくアクセス全開で駆け抜けるとしよう。

 さて、前回は『8マン』や『ウルフガイ』などの作品で知られる作家・

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【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第三回:小説作品編中編)

【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第三回:小説作品編中編)

【第三回は謝罪から始まる】 まず、最初に謝っておきます。

 山本弘の人柄と小説作品について書きはじめたらいつまでも終わらず、なんと「後編」のはずの記事は「中編」になってしまいました。

 菊池秀行の『エイリアン魔神国』という小説は、上巻と下巻の全二巻で終わるはずが延びに延び、上中下巻ですら終わらず、「完結編1」、「完結編2」、「完結編3」と続いてしまうのだが、そういったカフカ的な事態をも想定させ

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【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第二回:小説作品編前編)

【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第二回:小説作品編前編)

【『サイバーナイト』の思い出】 この記事は、亡くなった作家の山本弘さんを追悼した記事の第二弾である。

 しかし、第一弾とはほぼ独立した内容になっているので、ここから読んでいただいてもかまわない。

 それでも気になる方は前回の記事も読んでみてほしい。かなり長いけれど、そこそこ好評だったようだ。

 前回は山本さんのネットでの一面を取り上げて、それで気力が尽きて終わってしまったので、今回はかれの小

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【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第一回:インターネット編)

【追悼:山本弘さん】ぼくが世界でいちばん好きでいちばん嫌いな作家、山本弘とは何者だったのか。(第一回:インターネット編)

うらにわのおはかに、はなたばを。 山本弘さんが亡くなられた。

 といっても、もちろんご存知ない方もいらっしゃることだろう。

 そういう人のなかにも「トンデモ本」という概念を生み出したあの「と学会」の初代会長といえば、「ああ」と思いあたる方もいるかもしれない(この記事の公開後、「トンデモ」はと学会の創始ではないというご指摘を受けました。謹んでお詫びし訂正いたします)。

 じっさいには、かれの功

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海燕のポートフォリオ

【サブカルチャーに関する記事ならお任せください!】 はじめまして。プロライターとして活動している海燕(かいえん)と申します。一方でブロガーとして有料/無料記事を3000本以上書いてきました。

 専門はいわゆる「オタク系」の記事、幅広くアニメ、マンガ、小説、映画、ゲームなどを扱っています。いわゆる「男性向け」作品から少女マンガ、一部のBL、百合まで読みます。

 ていねいな執筆とともにスピードライ

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史上初の成功となるか!?山田風太郎の名作伝奇/伝記小説『八犬伝』が映画化!

史上初の成功となるか!?山田風太郎の名作伝奇/伝記小説『八犬伝』が映画化!

 日本が誇る天才伝奇作家・山田風太郎の長編小説『八犬伝』が映画化されるとか。

 監督は『鋼の錬金術師』の方ということで、正直、「大丈夫かなあ」と思ってしまうところなのですが、とりあえず、原作は傑作です。

 傑作、名作、大傑作が異常に多い山田風太郎作品のなかでもかなり上位に入って来る面白さ。

 「ふつうの優秀な作家」だったら生涯に一作生み出せるかどうかというホンモノの傑作ですね。

 『南総里

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1000回死んでも、1001回目の冒険に挑む自分でありたい(気がしないでもない)。

1000回死んでも、1001回目の冒険に挑む自分でありたい(気がしないでもない)。

 何かしらビデオゲームをプレイする方なら必ずご存知であろう名作ゲームに『風来のシレン』シリーズがあります。

 「1000回遊べる」というインパクトのあるキャッチフレーズで知られる作品で、じっさい、最後までクリアしようとすると1000回くらいくり返してプレイすることになる可能性はあると思います。

 主人公のシレンが「レベル1」であるダンジョンへ挑むのはふつうのゲームと同じなのですが、この作品では

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驚愕の新展開『龍と苺』に登場したなぞの少女・藍田苺(仮)の正体を考察する。

驚愕の新展開『龍と苺』に登場したなぞの少女・藍田苺(仮)の正体を考察する。

 衝撃と必笑の展開が話題をさらった先々週から二回、『龍と苺』はあいかわらずわけのわからない話が続いている。

 いきなり100年後の未来に物語が飛躍したのははまあ良いとして(ぜんぜん良くないが)、そこになぜか主人公藍田苺(らしき少女)が出て来ていることは何がどうなっているのかさっぱりわからない。

 いや、ほんと、どういうことなんだよ。先週までは「苺が何らかの理由で過去からタイムスリップしたのか?

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人生とは初めから限られた可能性をさらに限定していく不断のプロセスである。

人生とは初めから限られた可能性をさらに限定していく不断のプロセスである。

 積読(つんどく)とは日本固有の概念らしいが、当然、本を積みまくっている人は世界中にいることだろう。

 ある程度、読書をする人間はどうしても積読することになってしまう。欲しい本はとりあえず確保しておかないと市場からなくなってしまうのに対し、本を読むのにかかる時間は一定だからである。

 読書人はいつも一様に「あの本を読めば、この本は読めない」という鉄の摂理に縛られているのだが、じっさい、積読の山

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永野護『ファイブスター物語』デザイン画集第七弾『F.S.S.DESIGNS7 ASH DECORATION』を手に入れたよ。

永野護『ファイブスター物語』デザイン画集第七弾『F.S.S.DESIGNS7 ASH DECORATION』を手に入れたよ。

 『ファイブスター物語』のデザイン画集第七弾『ASH DECORATION』を入手しました(6600円……)。あれ、なぜか画像が表示されない。まあいいか。

 今回は星団暦3075年の魔導大戦(マジェスティック・スタンド)終焉のあたりまでのデザインを追いかけているようです。

 語尾を濁すのはまだすべて読んでいないからですが、ぱっと見ただけでもあいかわらず凄まじい情報量で、もうここまで来ると完全に

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