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恩着せがましいDV男

彼が私にハネムーンはどこの国に旅行に行きたいか?と聞いた時
私は特にどこに行きたいのか思いつかなかった。

それは私も、彼もお互い主要国は全て行き尽くしていたこともあり
もし私が行ってみたい国があるとすればあまり多くの人が行かないであろう、よく知らない国になるだろうから高くつくと思ったのだ。

私は当時仕事を辞めており、彼が全て支払っていたため言い辛かった。

その旅の途中で結婚するのだけど、まだ結婚していないのに彼のお金を期待して、私が自由に行き先を選べなかった。


私のそういうところが彼にとっては都合のいいターゲットだったのだ。


彼が支払うのは当然。
それに対して全く罪悪感を感じないで、ただありがとう!と言えるような女性ならターゲットにはならなかったのだろう。

自分から、あれが欲しいこれも欲しいと言えるような女性ならターゲットにはならなかったのだろう。

上手く言えないのだけど、彼にはどこか恩着せがましい部分があり、何かして貰えばすごく大袈裟にお礼をしないといけないと人に思わせる部分があった。

私からしたら、そんなことでそんな大袈裟にありがとうと言わなければいけない。
さらによくその大したことないことをよく話題に出してきては、またお礼を言わなければいけないように仕向ける?

彼にはそういうところがあった。

私が敏感すぎるのかもしれない。
仕事上、私はすごく細かい仕事をしており、一文字間違えると物凄い損害を出すような責任感の強い仕事をしていたため、小さいことにもすごく敏感だった。

そういう全てがマッチして、私たちはなるべくしてこうなったのだと思う。

私はリッチではないが、自分が欲しいものは買えるし、旅行に行きたければ行けるという程度の十分な収入を得ていたし、特にゴージャスな生活をしたいとも思っておらず、それ以上それ以下でもない地に足がついた生活を望んでいただけの人間だ。

彼にブランドもののバッグをねだったこともないし、自分で買えないほどのものをそもそも欲しいと思ったこともそんなになかった。

今もそれは変わらないが、自分のレベルに合った家や車、服や食事。
子供には若干それ以上の教育は受けさせるけど、その分は私のことで節約してお金を作る。

それが私の基準だ。

私の友人や職場環境や家族に影響を受けている部分は大きいと思うが、結婚していたり子供がいる女性が働いているのが普通の環境だったため、私には専業主婦という概念があまりなかった。

結婚しても自分の分は自分で稼ぐ。
親からもそのように教わってきた。

女だからこうしないといけないというような教育はあまり受けていない。

女だから男だからという前に、私たちは同じ人間だから、自分が体調を崩してできないなら、男であろうが女であろうが手伝える人が手伝えばいい。
高いところにありすぎて手が届かなかったり、重すぎて持ち上げられなかったりするようなことであれば男性に頼む場合もあるが、そういう特殊な事情がない限りもう男女は平等なのだという教育で育った。

特に海外で働くと、共働きが当然という雰囲気だった。
お金持ちであればあるほど奥さんもかなりの高収入という感じだ。

もし奥さんが仕事を持っていなかったとしても、奥さんがドネーションに熱心だったりボランティアなどに精を出していたり、女性も積極的に社会に参加していた印象だ。


彼の希望は高かった。
お城に住みたいくらいの勢いだった。

そうかと思えば、お金の使い方にすごく厳しいこともあった。
もちろんバカみたいに使いまくるのはダメなのだけど、私には彼の基準が理解できなかった。

私は毎日外食することを無意味だと思う。
毎日花束を買うことは無意味だと思うし、しょちゅうブランドものを私に買ってくるのも無意味だと思っていた。

それを話すと、僕がしたいからしているんだから、ただ笑ってありがとうと言ってほしい。

彼はいつもそう言ったが、私は感じ始めていた。

彼は見返りを求めて、私に過剰に尽くしている。


その時ははっきりとこのことを意識していたわけではない。
誰かにこういうふうに思うんだよね、というようなことを話したこともない。
感覚的にそんな感じがするな〜程度の真剣な悩みになるほどのことでもなかった。

彼が買ってきても私が使わない物が家に溢れれば、彼も理解してやめるだろうから放っておこう。
結婚し、子供が生まれたらお金がかかるのだからきっとやめるだろう。

そういう気持ちで私は行きたい場所をあえて自分から言わなかった。


そして私は体があまり強くない。
そのため海外に行ったときは特に体調を崩すことが多かったため、仕事以外の予定は現地に行ってから決めるというふうにしていた。

今回は彼の仕事の予定もあり、そんなに長く滞在できないため私は全く予定を立てなかった。
いくつか行けたら行きたい所をメモして、あとはその日の体調で決めようと言っていた。

今考えたら、ハネムーンについて決める時もポジティブな感情ではなかったのだと思う。
これも最高に楽しいはずのことなのに、ネガティブな要素ばかりを元に決めていたような気がする。

そしてそのハネムーンがきっかけで彼は急激にDV男へと豹変していく。

私の長い長い地獄がここから始まるのだった。

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