鍵村キィ

エッセイ、読書感想文を書きます。僕の趣味嗜好や連絡はXをご参照ください。

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最近の記事

Ride on Shooting Star

チルアウトしていると不意に音楽を聴きたくなる。時には想像でも良いが、やはり直接的な視覚を感じたくなる。最適解は自身がYouTubeで作った好きなアニメの曲のプレイリストだ。ランダムを回すうちにFLCLの映像と共にthe pillowsのRide on Shooting Starが流れてくる。海外でも人気のアニメだ。僕がプレイリストに入れたのは歌詞原文とアルファベットでの発音と英語訳の字幕付きのものだった。ぼんやりと眺め、曲が終わりかけの中で衝動的にもう一度初めから巻き戻した。

    • 読書感想文『パーク・ライフ』吉田 修一著

      ■タイトル パーク・ライフ ■著者 吉田 修一 ■備考 第117回芥川賞受賞作 『パーク・ライフ』を読了。凡庸な小説だった。 しかし僕が言っている凡庸とは、似たような作品がたくさんあるという意味ではない。中身のドラマ性のなさを凡庸と言っている。 正直感想文を書くのに困る。第一声は「あ、なんかいつの間に読み終わってた」だ。 例えば通勤列車に乗る。都内ならば時間帯で満員となる。そこに居合わせた人たちは皆同じ「通勤」へと立ち向かう戦友とも言える。だが果たして満員の中の何人の

      • 読書感想文『乳と卵』川上 未映子著

        ■タイトル 乳と卵 ■著者 川上 未映子 ■備考 第138回芥川賞受賞作 『乳と卵』を読了。グルーブ感のある小説だった。 あちこちのレビューなどで本作は「文体」が良いと評されている。ふむふむなるほど確かに文体が良いよねと知ったかぶって同調してもいいが、恥を忍ばずに言うと僕はこれまで「文体」という概念についてきちんと考えてこなかった。なんとなくラップで言うライムのようなものだろうかと想像していたが、ここは念のためにきちんと調べてみることにする。 文章の様式。和文体、漢文体

        • 読書感想文『蛇を踏む』川上 弘美著

          ■タイトル 蛇を踏む ■著者 川上 弘美 ■備考 第115回芥川賞受賞作 『蛇を踏む』を読了。読むのが苦痛な小説だった。 本作の芥川賞の受賞時には選考委員に石原慎太郎が参加している。「私には全く評価出来ない。蛇がいったい何のメタファなのかさっぱりわからない。」「こんな代物が歴史ある文学賞を受けてしまうというところにも、今日の日本文学の衰弱がうかがえるとしかいいようがない。」というのが彼の評言である。 僕も最初の30ページくらいまでは同じ感想を抱いていた。理解をしようとす

        Ride on Shooting Star

          痒い

          1D-LSD MEDUSA(225μg)をキメる。 大阪では都内の店で見かけなかったものが多かった。メデューサもその一つ。今ある1D-LSDで一番効くという。価格も相応。幻覚が見たくて1D-LSD体験二回目にしてかなり強いのを食べたと思う。 旅先の大阪のホテルでキメる。喫煙室だから寝ながらタバコを吸える。マンチ対策にUFOなどの食べ物の準備もばっちり。勇んで飛ぶ。 僕の見る幻覚はホラーじみてキモいのばかりだった。カーテンのシワが立体的なヘビのように僕に向かって這い出てき

          RTA(後半)

          前編 かくして僕は、大学ではなるべく課題とテストだけで取得できる講義ばかりを選んで、RTAばかりをする引きこもりへと進化した。単位はそれなりに取ってちゃんと卒業を確保しようとするあたりが、なんとも落ちぶれきれない僕らしさを感じる。 最高に楽しい日々だった。何せ国内では実力があったので、それはもうネット弁慶が加速した。国内RTAerの中では敵なしだと思ったので、若さもあってあのときの僕はかなり暴れてたと思う。巻き込まれた人たち本当にごめん。 もちろん様々な方面でクラッシュ

          RTA(後半)

          RTA(前編)

          RTAは僕のクラッシュへの歪んだ愛そのものだった。 大学一年の後期、あまりにも同級生たちのレベルが低いことに絶望した僕が取った選択肢は、情けないことに「ただ何もしない」ことだった。今ならば思う。やりたいことがあるならば、やろうとする気持ちさえあればなんだってできる。周りのレベルが低いならば高いと感じるところに身を投じればいい。そんな場がなければ自分で作ればいい。やりたいことなんて大してないくせに、周りの環境が勝手に面白くなることを期待して、そんな甘い展開などない現実を突きつ

          RTA(前編)

          性癖

          僕は自分の性癖が歪んでいることを多いに自覚している。具体的な内容はエゲつないので省くが、自分の欲を100%満たせる相手を見つけるのは無理だと諦めているレベルだ。そもそもなぜこんなことになってしまったのか。 始まりは幼稚園時代、父親がトイレに置く講談社発行の漫画雑誌、モーニングのせいだ。あの雑誌には僕の性癖の原点が二つも眠っている。それもどちらかというと偏っているものが。 まず一つ目は『えの素』。僕が知る漫画の中で最もお下劣な漫画だ。エログロ主体だが、デフォルメによってエグ

          父親

          僕は何かを呑み込むことが下手くそだ。自分の唾で咽るなんて昔からしょっちゅうで、昔は炭酸飲料も飲めなかった。幼い頃は特に顕著で、イカタコなんかは口に入れたは良いものの、呑み込めずにどうしようもなくなってしまった記憶しかない。 父親で覚えている最も古い記憶は3歳。牛肉が呑み込めずに咽び泣く僕。粘つく唾液のせいで、塩っけしか感じない飯の味。ちゃぶ台をぶっ叩きながら「さっさと食べろぉ!!!」とブチギレ倒すあいつの顔。 思い返せばその頃からずっと、僕は父親のことが本心では嫌いだった

          ベトナム旅行記

          2017/5/23~5/25の一人ベトナム旅行時の記録がスマホに残っていたため、供養として加筆・修正して投稿。 1 フエの空港からタクシーに乗る。その道中観察していたのは行き交う車だ。エンブレムを確認して、どこの車が多いかを薄ぼんやりと眺める。 トヨタ、ホンダ、スズキ、三菱…日本車の数は少なくない。気になったのは乗用車でKIA、トラックやバス、タクシーなどの法人車でのHYUNDAIの多さだ。日本車2:韓国車2:その他1くらいの割合で見かける。特に法人車はいずれも真新しく

          ベトナム旅行記

          写真

          機会があり、自分のスマホの写真を見返していて気が付いたのだが、枚数が想像以上に少なかった。その中でも7割は友人からの共有を保存した借り物、残り3割が自分で撮影。更にその3割の内訳のほとんどが食い物やCDといった無機物を写したもので占められている。自分どころか人間を全く撮っていないことに気づく。 自覚はしていたが、僕は写真が嫌いだ。旅先や友人との思い出を残したい気持ちはわかるし、否定するつもりなんて毛頭ないが、なんだが野暮な気がしてしまう。思い出は心に秘めておくだけだと時間と

          人生の決意

          自分の新卒の時のことを振り返るとこれがまあなんとも酷いものだった。1回目の就活ではゲームをするばかりで1件くらいしか新卒採用に応募してなかった。当然就活留年(厳密には、半年間の休学で卒業を伸ばした)をする体たらく。2回目は必死こかなければ親にぶち殺されるので、形だけでもなんとか就職をしなければと焦っていた。 だが大学時代はひたすらRTAに従事し、碌に人と関わろうとして来なかった僕は、就活の軸なんぞそもそも持ち合わせてなかったし、はっきり言って採用されて適当に仕事をこなしてそ

          人生の決意