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ほっこりエッセイ読本

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エッセイって何なんでしょう?最近エッセイにほっこりさせられることが増えてきました。 たくさんのエッセイストの方々のエッセイの中から心に止まったことを、徒然に綴っていきます。
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2020年1月の記事一覧

書道ガール 〜赤染晶子

書道ガール 〜赤染晶子

人は皆、書く文字にそれぞれ癖があります。右上がりだったり、細長い字だったり、ハネが極端だったり。私は、文字にはそれを書いた人の性格が現れると思っています。雑誌の占いや性格診断で、文字についてのそれがあると必ずやってみますが、だいたい合っている気がします。

 さて、赤染晶子さんの「書道ガール」というエッセイは、書道をしているお母様について書いたものです。
 お母様の書道の先生がある時、雅号を付けて

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馬が教えること 〜松井今朝子

馬が教えること 〜松井今朝子

この前、京王線新宿駅構内で馬を見かけてびっくりしました。JRAの啓発イベントの一つで、いたのは競馬馬だと思います。少し足踏みをしていましたが、あんな人の多い場所でも大人しくしている馬に敬意すら覚えました。

 さて、今回は松井今朝子さんの「馬が教えること」というエッセイを取り上げたいと思います。
 松井さんは数年前から乗馬を始められたそう。乗馬愛好者は確実に増えていると言います。確かに私の同僚にも

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揚げ饅頭 〜「ひとくちの甘能」酒井順子

揚げ饅頭 〜「ひとくちの甘能」酒井順子

揚げ饅頭と言えば、私は浅草の浅草寺の仲店の揚げ饅頭屋さんを思い浮かべます。目の前の屋台で揚げ立てのお饅頭を、紙袋に油の沁みが広がってくるのを焦りつつ、ふうふう言いながら食べる幸せは、確かに堪えられないものがあります。

どうして揚げ饅頭はこんなに美味しいのか。酒井順子さんは「ひとくちの甘能」の中でその理由について、こう考察しています。

糖分と脂肪分が渾然一体となった時に初めて生まれる、美味しさ。

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鯛焼き 〜「ひとくちの甘能」酒井順子

鯛焼き 〜「ひとくちの甘能」酒井順子

皆さんの鯛焼きについてのこだわりポイントは、一体どんなところでしょうか。人それぞれ違うとは思いますが、酒井順子さんが「ひとくちの甘能」の中で述べているのは、「鯛焼きの尻尾の先まであんこがきっちり入っているかどうか」ということだそうです。中央部分にしかあんこが入っておらず、頭の部分と尻尾の部分はスカスカ。そんな鯛焼きが結構多いので、あんこがみっちり入っているとそれだけで僥倖なのだそうな。

さて、鯛

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エクレア 〜「ひとくちの甘能」酒井順子

エクレア 〜「ひとくちの甘能」酒井順子

皆さんは、シュークリーム派ですか?それともエクレア派ですか?

そんなこと聞かれても、「はて?」という感じでしょうが、酒井順子さんは「ひとくちの甘能」の中で、シュークリームとエクレアを比較してなかなか面白いことを書いています。

簡単に言うと、シュークリームはクリームを味わうための素直でプレーンなお菓子であるのに対して、エクレアはクリームだけではなく、苦さも欲しいと思う人の欲求を満たすひねくれたお

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チーズケーキ 〜「ひとくちの甘能」酒井順子

チーズケーキ 〜「ひとくちの甘能」酒井順子

一般的に定番と言われるメニューの品というのは、店が違ってもある程度の範囲内の同じ味にまとまっていると思っている方は多いと思います。

しかし、それは実は誤解であり、店によって、定番メニューも全く味が違うということを酒井順子さんはチーズケーキを例に書いています。

酒井さんは、チーズケーキが大好きなのだそうで、だから微妙な違いにも色々とコメントをしたくなる様子。ですが、私は反対にチーズが嫌いなので、

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