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インターンシップ通信Vol.3 専門性を身に付けるまでの期間

こんばんは。今日もお疲れ様です。
インターンシップ通信Vol.3は、専門性を身に付けるまでに要するおおむねの期間とプロセスについてです。
誰しもキャリアを磨いていくには時間がかかります。それはITだろうが商店だろうが変わりません。その実態について少しメスを入れつつ、プロの領域に入るまでの私なりに工夫してきたコツや解釈も共有したいと思います。

1.プロの道

プロとアマの圧倒的な違いは、ズバリ「結果」にコミットしているか否かです。それ以外はあまり変わらないかもしれません。アマチュアだってプロセスには磨きをかけているし、好きなことにはとことん打ち込める。が、明確にプロとアマの境を切り分けることができるのはアマチュアがあくまで自己満足を主に活動しているのに対し、プロと言われる人たちの領域では「結果」にこそ自信を持っているところです。

その点、仕事や収入、キャリアにつながるのは明らかに“プロ”側です。正直、民間サイドでアマチュアでは事務員が限界。経営者や弁護士だって事務はやりますが、事務員と経営者の違いは基本的に<求める結果にフィットする事務>しかやらない。それ以外を事務員に委任する。

そのくらい、プロとアマとの間には越えられない壁があります。

経営で経常益を出している人はプロです。しかし、経常益を出せないうちはアマチュアだということです。経常益が出せない経営者は既に事務員と「質的」にはそう変わりはありません。それはコンサルも同じです。プロセスは大事ですが、あくまで“結果にコミットする”プロセスでなければ趣味でやっているのとほとんど違いはないため、結果にコミットしないコンサルは単なる余暇かリタイア後の趣味とほぼ同じことをしています。なぜなら結果を出さなくていいならビジネスの性質上、ビジネスである必要はそもそもないし、現場にいる必要がなくなるからです。
あくまで「生み出すバリューをどこに置くのか。」の問いに対する答え。少なからずそこに対しては誇りを持っていることが、どんな分野にしろそれがプロとしての必要条件だと思います。まずそれを忘れないでください。

2.プロとして仕事をする意義

最終的に仕事とは社会貢献です。社会貢献は最終的に数値で算出可能なものです。売上とは限りませんが、数値に出せないものは社会貢献しているか否か、測量不能ですし数値に不可算な場合、社会貢献かもしれませんがプロではないです。

例えば優秀な動物愛護団体も譲渡数や日常の保護件数、ワクチン接種割合などを掲出しており、そうでない愛護団体も社会貢献はしているかもしれませんが経営が持ちません。つまり継続可能性がない。やはり継続可能性のない事業は仮に福祉団体であってもプロではないのです。

もっと広い視野で見た時に、仕事とは何かという問いがあります。私が考えるに、いささか極端とは思われますが仕事とは最終的には人類や地球に貢献することだと思います。継続可能性とは時間が経過してもその活動の価値が真に社会のためになり揺るがないことを意味するからこそ必要なのです。

だからこそ、どんな分野や領域であっても事業については常に
「何が人々や社会の需要を満たすことなのか」
この問いから経営はスタートします。

キャリアを築くということも、事業として捉えることができます。やはり、成熟した人は自分が社会にとってどのように重要なのかを客観的に指標に表せる。しかし、キャリアに関心のない人に限っては、自分がどのように社会にとって重要なのかについて指標で語れない。この圧倒的差こそが、プロとアマの違いなのです。

3.プロである必要性

プロである必要性はあるのか?という疑問に対しては私はYESでも同時にNOでもあると答えます。
NOはわかりやすい。なぜなら究極プロを目指すか否かは本人の決定だからです。しかし、なぜYESなのかと言われれば仕事をする以上は何らかの社会資本や経済資本に対してプラスになることが、イコール自分の収入や資産に直結するのだから当然だと答えます。

4.期間は長ければ長いほどいい=キャリアの持続可能性を考える

大体、どんなキャリアでも長ければ長いほど有利です。なぜなら本当に価値を生み出すプロフェッショナルスキルを得るには非常に冗長な時間を要するからです。

どのくらいの期間必要か、下の図を見てください。

大体、何かしらのキャリアをスタートしてから3−4年はビギナーだと考えてください。そして縦軸は集中力を表していますが、集中力というのは簡単に言えば「いかに結果を出すことにこだわったか」の密度のことです。
つまり、下に行けば行くほど「プロとして成果を出している頻度」ということにもなります。

普通、3−4年は結果にコミットしたとしても結果などほとんど期待できません。出せたとしてもかなり強引な結果の出し方になりがちなのはそのはずで、そもそもスキルの絶対量が足りないからです。しかしながら、結果を追い求めていないとそもそもプロとしての力量も身につかないから、「結果はどうせ出ないから期待しない」ではなく、どちらかといえば「結果にこだわり続けてきたからこそのプロフェッショナリティが身に付く」わけです。

最初は結果など期待しない、というのはマネジャー目線なのであって、プレイヤーがそれでは困るのです。この立場の違いでの解釈の違いが理解できていると自分の立場や居住まいを確定しやすいことにもコツがあるように思います。

マネジャー側は元々プロなので結果が出せるのは当然ですが、同時に“結果を出すことの難しさ”も頭に入っているので<最初は結果など期待しない>がマネジメント的な意味で正解。ただしプレイヤーは必死にもがかないと、いつまで経っても要領を得ません。これは立場の違いからくる解釈の違いです。

5.最初はどこを目指すべきか?


最初はやはり、経営と同じで当面の3年、5年の短期計画です。
感覚的には3年ごとにキャリアの更新、見直し、微調整が要ると思ってください。そしてできれば、長くても4年目から5年目ごとに転職してください。

どういうことかというと、キャリア自体は会社と分離されたものだからです。昔景気が良かった頃の日本では会社=キャリアだったので転職など以ての外、という概念が当てはまったのですが、近現代になりそうもいきません。会社はいつまでもあるものではないし、資本の事情でいくらでもコロコロ変わるので従業員側もある程度勘案しておく必要があります。

なので、インターンの皆さんはまず、「最初の3年間で何を得ることをゴールにするのか」についての答えを考えてきてください。これが、3年後の答えになります。

もちろん3年経ってみてまだ自分なりに納得のいく、満足のいく結果が得られないなら、より長く挑戦してみても良いとは思いますが、5年以上同じ環境にいるのは危険です。なぜなら、おなじ環境に慣れてしまうと他の環境について知らないままになってしまうからです。

実際、いろんな職場を経験した人の方が適応力というか、順応が早い上に色々な知識やスキルを身につけていることが多いので、海外では「どれだけの経験を積んだか」「実際に実働で何をやったか」についてしか聞きません。日本企業のように「新卒から何年、何何という会社で働きました」は世界では通用しません。むしろ2、3年くらいで転職するのが普通です。

6.弊社の場合

私の会社の場合はコンサル業が生業です。コンサル業は日本ではまだ発達していない、未成立の業界ですが、一部の国際法務や国際税務を本業としているグループ企業などは存在します。
コンサル業の場合は

1)ITスキル

2)経営知識(会計や法律など)

3)言語

加えて、4、5にコンサルティングの領域に直接関わるリテラシーを高める、基本的な金融知識を身につけるといった具合です。

ITスキルについては日本の場合は基本情報処理技術者やセキュリティアナリストなどの基本的なITリテラシーを勉強しておくと良いです。スキルと言ってもプログラマーではないので(もちろん構造理解のためPythonやPHPなど一般的なプログラミングができて損はない)そこまで頑張らなくてもとは思いますが、コンサルを名乗る人は基本的に知識だけは最低限必要です。理由は簡単でどんなビジネスであっても根本的にIT経営が前提にあるからです。不動産や金融領域でもITがないと気後れすることが多いので、気をつけた方がいいです。ブロックチェーンやAI、機械学習の構造がわからないとコンサルの時に差し支えます。

経営知識については単純にP/L,B/S,C/Sはもちろんのことですが、決算や税務申告についての基本的な知識体系が備わっていることが再前提です。

私の会社の場合はスイス連邦法や国際法について理解が大前提にあるので、日本企業とは事情がちょっと異なります。


7.まとめ

一昔前のコンサルでは、「ロジカルシンキング」がもてはやされました。しかし、ロジカルシンキングは経済や政治がまともに機能している頃合いの前提なので、今のように混乱期には適しません。想定外のことに順応できる柔軟さの方がよほど役に立ちます。強いて言えば今は咄嗟の判断力がものを言います。その点、メンタルタフネスも重要です。国際社会では予想だにしないことが日常茶飯事なので、それらに対していちいち反応していたら気が持ちません。気長に構える度量と、緻密な調整に応えるスマートさを兼ね備えていることが、我々コンサルには求められます。

また弊社ではスイスドイツ語を基本言語としているため、高ドイツ語の他にスイスドイツ語を学ぶ必要があります。これは急ぎではないですし、非常に困難なので、まずは高ドイツ語をマスターしてくださいね。


16 Jan 2023


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