伽戸ミナ

【短歌・詩を毎日載せています】第14回角川全国短歌大賞佳作/『ココア共和国』に詩が掲載…

伽戸ミナ

【短歌・詩を毎日載せています】第14回角川全国短歌大賞佳作/『ココア共和国』に詩が掲載される/自転車には乗れない

マガジン

  • エッセイ集『文字を立てず』

    伽戸ミナが書いたエッセイを載せています。読んでいただけたらうれしいです。

  • 短歌集『一輪挿し』

    伽戸ミナがつくった短歌を載せています。読んでいただけたらうれしいです。

  • 詩集『閑文字』

    伽戸ミナがつくった詩を載せています。読んで頂けたらうれしいです。

記事一覧

ブレザーと蕾

短歌です。 甥っ子に譲ってあげたゆずり葉が緑の小刀として春に駆ける おじいさんが灰をまいて咲いた桜が少女にまかれて咲いた笑顔 輝いた新一年のブレザーと垣を埋め…

伽戸ミナ
4時間前
3

砂浜の家

短歌です。 砂浜に豪華な家を建てている風に乗ってくる空気が変わる ===================== 読んでいただきありがとうございます。 スキやフォロ…

伽戸ミナ
4時間前
3

三日続いた雨がようやく上がった

詩です。 ベランダにくまのプーさんが干してある Tシャツ、Yシャツ、エプロン、くつ下 というような並んでいるものはなく 事件性を感じさせる孤独感である 日常的にあらわ…

伽戸ミナ
1日前
9

わたしだけの夜

短歌です。 ラングドシャ口ではじけるわたしだけの新月の夜に涼しい風 ===================== 読んでいただきありがとうございます。 スキやフォ…

伽戸ミナ
1日前
10

降り籠める

短歌です。 降り籠める青く暮れゆく水曜日 ケヤキ並木が震えている ===================== 読んでいただきありがとうございます。 スキやフォロ…

伽戸ミナ
2日前
12

地上絵

短歌です。 「年下の才能に負けた人間」という名前の地上絵になる ===================== 読んでいただきありがとうございます。 スキやフォロー…

伽戸ミナ
3日前
6

短歌です。 恋の芽生え 春風の吹く草原にまだ出てきていない牙がある ===================== 読んでいただきありがとうございます。 スキやフォ…

伽戸ミナ
4日前
12

緑の小刀

短歌です。 甥っ子に譲ってあげたゆずり葉が緑の小刀として春に駆ける ===================== 読んでいただきありがとうございます。 スキやフォ…

伽戸ミナ
5日前
12

野良おでん

短歌です。 野良おでんいつも通りの十字路にコンビニからの自立を誇って ===================== 読んでいただきありがとうございます。 スキやフ…

伽戸ミナ
6日前
15

蝶々夫人

詩です。 朝くつひもを結ぶときは左右左右の順番で 必ず蝶が二匹連続になるようにするの ときみは言う 一匹ずつのぼくのことをきみは 蝶がかわいそうだと思わないのかと叱…

伽戸ミナ
7日前
11

生きるコツ販売人

短歌です。 混迷の羊と化した生きるコツ販売人が自殺した為 ===================== 読んでいただきありがとうございます。 スキやフォローもして…

伽戸ミナ
7日前
8

AirPodsを握っている

詩です。 AirPodsを握っている ポッケの中で イヤホンを二つともしまったケースは 石のように重くて 表面が石のようになめらかで 角が石のように取れていて 手にすっぽり…

伽戸ミナ
8日前
8

くまのプーさん干してある

短歌です。 ベランダにくまのプーさん干してある昨年ご主人を亡くした大家 ===================== 読んでいただきありがとうございます。 スキや…

伽戸ミナ
8日前
4

小田急線新宿駅

詩です。 いきなり見ず知らずの人を 殴りたくなってしまう 飛んでいた蚊に対して いきなり向けてしまう凶暴さが 許されている気がしているのがこわい 温い深海のようなざ…

伽戸ミナ
9日前
6

サイドのコーン

短歌です。 デニーズでナイフとフォークデビューしたサイドのコーンの明るさ覚えてる ===================== 読んでいただきありがとうございます…

伽戸ミナ
9日前
5

ネオンライトは夜の味方

詩です。 部屋を暖めるストーブが 苦しそうに熱を吐き出す傍で 裸で抱き合っている人たちがいる 窓から三日月を見て あれは神様がまぶたを閉じている状態だから 見つから…

伽戸ミナ
10日前
8

ブレザーと蕾

短歌です。

甥っ子に譲ってあげたゆずり葉が緑の小刀として春に駆ける

おじいさんが灰をまいて咲いた桜が少女にまかれて咲いた笑顔

輝いた新一年のブレザーと垣を埋めつくすつつじのつぼみ

記念日に関係のないプレゼントみたいに届くウグイスのうた

昨日より今日 今日より明日 躑躅の増える窓を楽しむ

ちょっとだけ目線を上げるちょっとでいいチューリップの赤に気づけるぐらい

つむじ風きもち

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砂浜の家

短歌です。

砂浜に豪華な家を建てている風に乗ってくる空気が変わる

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三日続いた雨がようやく上がった

詩です。

ベランダにくまのプーさんが干してある
Tシャツ、Yシャツ、エプロン、くつ下
というような並んでいるものはなく
事件性を感じさせる孤独感である
日常的にあらわれる洗濯物はペラペラの布で
胴体が入っていない状態だということがよく分かる
くまのプーさんが干してある部屋は
昨年ご主人を亡くされた大家さんの部屋です
あなたの夢を応援しているよ
と言ってよくアップルパイをくれます
部屋にあかりを灯

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わたしだけの夜

短歌です。

ラングドシャ口ではじけるわたしだけの新月の夜に涼しい風

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降り籠める

短歌です。

降り籠める青く暮れゆく水曜日 ケヤキ並木が震えている

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読んでいただきありがとうございます。
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地上絵

短歌です。

「年下の才能に負けた人間」という名前の地上絵になる

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短歌です。

恋の芽生え 春風の吹く草原にまだ出てきていない牙がある

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緑の小刀

短歌です。

甥っ子に譲ってあげたゆずり葉が緑の小刀として春に駆ける

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野良おでん

短歌です。

野良おでんいつも通りの十字路にコンビニからの自立を誇って

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蝶々夫人

詩です。

朝くつひもを結ぶときは左右左右の順番で
必ず蝶が二匹連続になるようにするの
ときみは言う
一匹ずつのぼくのことをきみは
蝶がかわいそうだと思わないのかと叱る
まったく思わないのだけれどぼくは
二匹連続になるようにして
一緒に桜を見に行く春を
積み上げている

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生きるコツ販売人

短歌です。

混迷の羊と化した生きるコツ販売人が自殺した為

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AirPodsを握っている

詩です。

AirPodsを握っている
ポッケの中で
イヤホンを二つともしまったケースは
石のように重くて
表面が石のようになめらかで
角が石のように取れていて
手にすっぽりとおさまる
AirPodsを握った手はダイヤモンドの指輪
ポッケの中にダイヤモンドの指輪がある
プロポーズみたいな
世界で最も美しいオレンジ色の緊張
AirPodsを握っていたら騒がしい都会も歩いていられる

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くまのプーさん干してある

短歌です。

ベランダにくまのプーさん干してある昨年ご主人を亡くした大家

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小田急線新宿駅

詩です。

いきなり見ず知らずの人を
殴りたくなってしまう
飛んでいた蚊に対して
いきなり向けてしまう凶暴さが
許されている気がしているのがこわい
温い深海のようなざわめきのなか
ノイズキャンセリングで
ぼくの名前を呼ぶ声も聞こえていなかった

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読んでいただきありがとうございます。
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サイドのコーン

短歌です。

デニーズでナイフとフォークデビューしたサイドのコーンの明るさ覚えてる

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スキやフォローもしていただけるとうれしいです。

ネオンライトは夜の味方

詩です。

部屋を暖めるストーブが
苦しそうに熱を吐き出す傍で
裸で抱き合っている人たちがいる
窓から三日月を見て
あれは神様がまぶたを閉じている状態だから
見つからないうちにキスしようって言った
RとLの発音をなんどもなぞるような動き
世界にいまボクらしかいなかったら
世界には愛しかない

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読んでいただきありがとうございます。
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