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音ゲーのリズムに合わせてタイピング【タイ移住日記2024/3/30-4/24】

たッたたた、たッたッたたたたn

後ろで音ゲーに勤しむ若者がいる。その前にベンチがあり、それに腰かけてかたッかたたかッとパソコン上に文字を打ち込んでいく。金がないのでカフェに入らず、エアコンが効いているモールの映画館・ゲームコーナー階に居座るしかないというのがなんとも情けない話だ。

社会人になってから格段にタイピングスピードが上がった。急いでメールを打つ習慣ができたり、電話を受けながらお客さんの長ったらしい話をようやくしながら打ち込んでいたおかげかもしれない。今は会社を辞めたのでこうやって日記を書いたり、ライターとして依頼された原稿をなるべく早く仕上げようと書いている。その会社で培われたものは無駄ではなかったのだろう。早くタイピングをするように心掛けているのはなぜかというと、自分のなかでの時間単価を上げるためである。どうしても1時間1000円以下の仕事にはしたくないのだ。1000円以下になってしまうと、私的には下働きさせられているという気持ちになってしまうだけでなく、私の日常は忙しいので早く今向き合っていることを終わらせて次のことをしたいのである。タイに来たら治るかと思っていたこのせっかちな性格は、治るものではなかったようだ。

こんなに働いているのになんで金がないんだろうと常々思っている。まあ日本に2往復するための航空券と他の海外にいくための航空券と、大学院の学費を納入したから金がないのだが、それにしても社会人になってからお金に満足したことがない。

浪費していると親には思われているが、特段高いモノを買うわけでもなく、飲みに行くのも週一ぐらいだし、一番多い出費と言えば、月に2万円ほど本を買うだけである。これを浪費と言っていたら日本はなんて貧しいんだろうと思わざるを得ない。

4月の2週間日本に帰り、バタバタしていてnoteが全く更新できなかった。私のコアな読者にはここで謝罪したい。日本に帰ったときの印象をここで話すと、一言でいえば「真っ暗」という感じである。日が昇らなくなったというわけではない。雰囲気が暗いを超えて真っ暗なのだ。野球の話をする以外、みんな暗い顔をしているのだ。だからみんな大谷翔平の話ばかりするのだ。旅行業界の友人や家族は円安の話ばかり盛り上がる。そして給料の話。Twitterで流れてくる悲壮感はリアルなものだったのだ。

そしてGDPがインドに抜かれたという話をつい先日ニュースで見た。もう終末観満載である。私のお金がないのとあまり関係ないと思うのだが、日本人であるというだけで、なんか経済的に負けた気持ちになっている。まあ外貨を稼ぐ仕事についていないので、関係あるっちゃあるか。しがないライターにも暗黒経済の足音がしのびよる。その足音は音ゲーのように軽快なモノではない。

ライター以外にも塾講師の仕事もしているが、それも時給が安すぎる。教育に関わる賃金ってどうしてこうも低いのか。学校の先生でなくとも子供の教育に関わる人々はいわゆるエッセンシャルワーカーであると思うのだが、そういう人たちこそ、賃金が低い。私はやりがいという言葉に収束されるのは嫌いだが、せっかく教えるのであれば、その子供が将来自分のようなクソ人間にならないためにいろんな人生経験も含めて指導をしている。もし私にそういう「熱」がなくなってしまって適当に教育を施したらどうなるのか。賃金低いから適当にやっちゃおうなんて思い始めたらどうなるのか。ゴミを片付けてくれる清掃員、食品を売るスーパーの店員、一人では生きていけない人を支える職の人々、そして人の精神衛生や文化を守る本屋がいなくなったらどうなるのか。心から、そういう職務に着く人々にお金がいくようなシステムができてほしいと思うばかりである。

私は普段から愚痴っぽい、いやな奴だが、2週間日本に帰って一層これらの思いを抱いた。音ゲーのリズムにあわせて書かないともっとひどく愚痴を放っているだろう。ハッピーな言葉ばかりじゃ生きられない。


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