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日本の人口減少および労働人口の減少に対する打開策~スウェーデンの育児休暇制度の成功例と日本への適用可能性①

 少子化は日本だけでなく、多くの先進国が直面している深刻な社会問題です。人口減少により、労働力不足や経済成長の停滞、社会保障制度の維持困難など、様々な問題が引き起こされます。先週からの続きです。


スウェーデンの育児休暇制度の成功例と日本への適用可能性

はじめに

 スウェーデンの育児休暇制度は、平均3ヶ月以上の休暇を提供する体制で、1974年に男性も取得できる育児休業制度を導入した世界で初めての国となりました。

 しかし、様々な万代の中で、長い間、男性の取得率は上がらなかったため、90年代には取得率を上げるための取り組みが行われました。その後、取得率の向上により、スウェーデンは男女平等社会の実現や少子化対策に成功した代表的な国となりました。

 スウェーデンの育児休暇制度は、柔軟性があり、手厚いものです。両親は子供と一緒に時間を過ごすことができます。

 特にスウェーデンの育児休暇制度の成功要因として挙げられるのは、長期の休暇を取得できることです。

 スウェーデンでは、労働者は子供が1歳になるまで最大480日間の育児休暇を取得することができます。さらに、労働者は休暇中に給与の一部を受け取ることができます。

 これにより、経済的な負担を軽減しながら育児に専念することができます。

 また、スウェーデンの育児休暇制度は、雇用の保護を提供する点でも成功しています。

 労働者は育児休暇を取得する権利があり、休暇期間中に解雇されることは法律で禁止されています。

 一方、日本の育児休暇制度はスウェーデンと比べて期間が長く、最長で1年6ヶ月です。しかし、柔軟性に関してはスウェーデンと比べて制約があります。

 日本では一度にまとめて取得することが一般的であり、分割取得が難しいという特徴があります。

 日本においては、育児休暇制度の改善や男性の育児休暇取得の促進が課題とされています。

 男性の育児休暇取得率はまだ17.13%であり、改善の余地があります。

 育休を取得しにくいと感じる理由としては、職場環境や上司の理解不足などが挙げられます。

 スウェーデンの育児休暇制度の成功例から学ぶことは多いです。特に、長期の休暇の導入や男性の育児休暇取得の奨励、経済的支援の充実などがポイントです。

 日本でもこれらの要素を取り入れることで、育児と仕事の両立を支援し、男女の均等な負担分担を促進することができるでしょう。

 ただし、日本の特性や文化に合わせた課題解決策を検討する必要があります。

1.スウェーデンの育児休暇制度の成功例

 スウェーデンは1974年に男性も取得できる育児休業制度を導入した最初の国ですが、当初は男性の取得率が低かったです。

 1990年代に入ってから、取得率を上げるためにいくつかの具体的な取り組みが行われました。

2.具体的な取り組みと政策

①「パパクオータ」制度の導入(1995年)

 父親が少なくとも30日間の育児休暇を取得しなければならない制度。

 この期間は「使わなければ失う」仕組みであり、取得しない場合は家族全体の育児休暇日数が減少します。この仕組みは後に60日間に延長されました。

②経済的インセンティブの提供

 父親が育児休暇を取得することを促進するために、育児休暇中の賃金補填率を80%に設定し、家族が経済的な負担を感じずに休暇を取得できるようにしました。

③ジェンダー平等キャンペーン

 男性の育児参加を促進するための社会的キャンペーンが行われました。

 メディアを通じて父親の育児参加の重要性を強調し、社会全体の意識を変える努力がなされました。

 これらの取り組みの結果、スウェーデンでは男性の育児休暇取得率が向上し、男女平等社会の実現や少子化対策にも成功しました。

3.企業経営の危機的な状況の乗り切り方

 スウェーデンの育児休暇制度が企業経営に与える影響を最小限に抑えるために、いくつかの方策が取られました

①政府の補助金とインセンティブ

 政府が企業に対して育児休暇取得者に対する賃金補填を提供することで、企業の経済的負担を軽減しました。

②フレキシブルな勤務体制の導入

 育児休暇を取得する従業員がスムーズに復帰できるように、フレキシブルな勤務時間や在宅勤務の選択肢を提供しました。

③労働市場の適応

 企業は一時的な労働力不足を補うために、パートタイム労働者や契約社員を活用するなどの柔軟な労働市場の適応策を採用しました。

4.日本への適用可能性

 スウェーデンの成功例を参考に、日本における育児休暇制度の改善策として以下のステップが考えたいです。

①「パパクオータ」制度の導入

 父親が一定期間の育児休暇を取得することを義務付ける制度を導入し、男性の育児参加を促進します。

②経済的インセンティブの提供

 育児休暇中の賃金補填率を引き上げ、家族が経済的な負担を感じずに育児休暇を取得できるようにします。

③社会的キャンペーンの実施

 男性の育児参加の重要性を強調するための広報キャンペーンを実施し、社会全体の意識改革を促します。

④企業支援の強化

 育児休暇を取得する従業員をサポートするために、企業に対して税制優遇や補助金を提供します。また、フレキシブルな勤務体制の導入を促進します。

⑤法的枠組みの整備

 育児休暇中の従業員の解雇を禁止する法律を強化し、雇用の保護を確保します。

 以上の挙げてみたステップが実現可能かどうか?日本の現状の課題を見つめて、次回に分析していきます。

まとめ

 スウェーデンの育児休暇制度の成功例から学び、日本でも長期の休暇の導入や男性の育児休暇取得の奨励、経済的支援の充実を図ることで、育児と仕事の両立を支援し、男女の均等な負担分担を促進することができるかどうかです。

 日本の特性や文化に合わせた課題解決策を検討し、具体的な政策変更と社会全体の意識改革できるかを考えていきたいです。

【次回に続きます】


参考となるサイトを挙げておきます。

内閣府
選択する未来 -人口推計から見えてくる未来像-
-「選択する未来」委員会報告 解説・資料集-

東洋経済
日本人が知らないフランス「少子化対策」真の凄さ

会計検査院
欧州諸国における少子化対策に係る会計 検査に関する調査研究
~三菱UFJリサーチ&コンサルティング~

https://www.jbaudit.go.jp/koryu/study/pdf/itaku_r5_2.pdf


株式会社第一生命経済研究所
欧州出張特集『欧州 ~スウェーデンの少子化対策から学ぶ~』(2023年10月号)




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