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【村上春樹】「村上柴田翻訳堂」は失敗したのか?成功したのか?

村上春樹にも、
できないことがあったんだなぁ??

村上春樹と柴田元幸が
タッグになって、
お気に入りの海外文学を
発掘・推薦し、新刊・復刊する 
翻訳シリーズがありました
2015年から2018年でした。
題して「村上柴田翻訳堂」。

このシリーズでは、
ハーディ『呪われた腕』や
フィリップ・ロス
『素晴らしいアメリカ野球』
キングストン『チャイナ・メン』
ディッキー『救い出される』
ラードナー『アリバイ・アイク』
コリン・ウィルソン『宇宙ヴァンパイヤ』
ジョン・ニコルズ『卵を産めない郭公』
サミュエル・ウエスト
『いなごの日/クールミリオン』
サロイヤン『僕の名はアラム』
マッカラーズ『結婚式のメンバーズ』

私がいま調べた範囲では
10冊も出ていました。

村上春樹と、
アメリカ文学の翻訳家で当代随一の
柴田元幸がタッグを組んで
その二人がぜひ世に出したいと
推薦する本を、新潮文庫で出す
豪華な企画ですよ。
これくらいのバックパワーが付いた
企画はそうないですよね。
 
さて、これがどうなったか?

残念ながら、
村上春樹本人が訳した
ニコルズ『卵を産めない郭公』と
マッカラーズ『結婚式のメンバーズ』
それから、トマス・ハーディ
『呪われた腕』。
この3冊は色んな本屋さんの棚に
今でも見かけますが、  
他の7冊は、残念ながら
街の書店ではほとんど見かけませんね。
おそらく絶版扱いになりましたね。

村上春樹が絡んだ
海外文学の企みで、
うまくいかないことも
あるんですねえ。

まあ、本屋さんの棚にないから
企画が失敗というのは、
早計かもしれませんが、
でも、村上春樹と柴田元幸さんは
今どきの出版社に、
これくらいの大挑戦をして欲しい、
そういうメッセージを
伝えたかったのかもしれない。
いや、きっとそうでしょう。

それに、
久しぶりに、
20世紀に流行した
コリン・ウィルソンやハーディの
作品に触れる機会をくれたし、
マッカラーズやニコルズには
私は初めて出会えて良かった。

ただ、やはり、マニアックな
ラインナップであることは変わりなく、
発売前のマーケティングでは
きっとそんなに芳しい予想は
出なかったにちがいない。
でも、村上、柴田おふたりの
ネームバリューがなければ、
新潮文庫も、渋くて現実的だから、
こんな企画を実現できなかったでしょう。

それにしても、
最近は、海外文学は定価が
高くなりがちです。
それも、読者にはなかなか、
海外文学に厳しくなる原因ですが、
それでも、もう少し
中東や東欧、東南アジア、
それから、韓国や中国などで
8〜10万部売れた作品を
日本に紹介する位の使命感は
もっていて欲しいなあ。
難しいでしょうけれど。

なにはともわれ、
村上春樹ならなんでもできる!?
訳ではないんですね。


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