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過度の自己啓発は、負け組である!?

最近、面白い本に出会いました。
『心を病んだらいけないの? 
〜うつ病社会の処方箋〜』。

これは対談本で、
一人は精神科医の斎藤環(たまき)さん。
もう一人は、うつを体験した
歴史学者の與那覇(よなは)潤さん。

2020年に新潮社から発売され、
小林秀雄賞をもらっています。

で、何が面白かったかというと、
あるチャプターでは、まるで
自分のことが書かれているやないか?
と、ドキドキしながら
読ませてもらえたからです。

ちなみに、精神科医の斎藤さんは
もう何冊も有用な本を出しているから
信頼ができるのもありました。

ちょっと目次を見て頂きましょう。

第1章
友達っていないといけないの?

第2章
家族ってそんなに大事なの?
〜毒親ブームの副作用〜

第3章
お金で買えないものってあるの?
〜SNSと承認ビジネス〜

第4章
夢をあきらめたら負け組なの?
〜自己啓発本に騙されない〜

第5章
話でスベるのはイタいことなの?
〜発達障害バブルの功罪〜

第6章
人間はAIに追い抜かれるの?
〜ダメな未来像と教育の失敗〜

第7章
不快にさせたらセクハラなの?
〜息苦しくない公正さを〜

第8章
辞めたら人生終わりなの?
〜働きすぎの治し方〜


この本では、ネットや世の中で
余りに話題にし過ぎたり、
騒がれすぎて、
バブルになってしまったこと、
われわれが過敏になり過ぎている
現象に対して、
「ちょっと待った!」を
かけようとしているようです。

たしかに、
ここ10年近く、
毒親毒親と誰もが
「私、毒親に苦しんで…」と告白したり、
毒親というキーワードで
自分の内面ヒストリーを
物語化しようとし過ぎてきたかも?
しれませんね。

私は約15年近く
「夢をあきらめない」
「好きな事を仕事にしよう」みたいな
マインドで、
仕事を生き甲斐にしようと
もがいてきました。
30代40代の私は、
この本によれば、
まんまと自己啓発本に
騙されていたことになるんです。
ああ、悔しい〜。

私は自分自身では、
自己啓発になんて絶対に
騙されていないつもりだったのが、
いやあ、ダサいなあ。
仕事に生き甲斐を見出そうと
していたのは事実です。
生き甲斐をもち、
それを実現すること自体は悪くない。
ただ、そんな自分に酔っていたフシが
あること、それがダメなんですよね。
それはまさに、自己啓発の
手のひらの上で踊っていたなんて。
チッキショー〜!

それから、
この本を読んで、
一番興味深かったのは、
発達障害にせよ、
自己啓発本にせよ、
毒親にせよ、
中野信子氏のような、
結論ありきの、非科学的な
脳科学本にせよ、
オンラインサロン等にせよ、
何ごとにも、
(この本ではバブルと呼んでいる)
度が過ぎては必ず副作用が
あるんだよというメッセージが
しっかりこめられていることでした。
副作用、言い得て妙です。

バブルになるのは、やはりよくない。

しかし、人間は昔から、
ついつい過熱してしまう生き物!
なんででしょうね?

人間、ずっと冷め、
ずっと覚め続けていたいなあ。

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