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【新世代の作家】ハートフルな「セカンド・アオハル」流行は、私たちの写し鏡?

住野よる、瀬尾まいこ、
町田そのこ、小野寺史宜、
小川糸、凪良ゆう、綾瀬まる、
伊与原新、伊吹有喜、燃え殻、
芦沢央、河野裕、相沢沙呼。

最近、来てるなあと思う
作家たちを挙げてみました。
書店で目立ってきました。
みなさん、ある共通した傾向が
ありますねえ。

お笑いでいえば「第7世代」?
いや、その割には、華はないかも。

【1】リアリズムの展開が多く、
安っぽい魔法はない。
信頼感と親近感が湧きますね。
全般的にリアルで希望はなく、
冴えない日常生活を生きる物語。

【2】必ずどこかに救いがある。
サブキャラや展開にも温もりがある。
ハートフルという英語がピッタリ。
ハートフル・エンタメ世代と
名付けましょうか。

そんな今キテる作家たちが
書店の良い場所を占めることは
嬉しくもあり、ちょっと切ない。

救いがある本が売れるのは、
私たちのリアルの生活には
救いも温もりもないからですね。
だから、救いのある
ハートフル・エンタメが売れる。

ただ、救いを物語の随所に用意すると、
透徹したシビアな世界ではなくなる。
優しくて甘い世界観になる。
なんだか真ん中が
失われたような喪失感が…。
そうだ、まるでドーナツみたい。

ちょっと前は、イヤミスとか
とことん不快なミステリーが
チヤホヤされましたし、
また、今も堂場瞬一や誉田哲也の
刑事ミステリーはずっと人気。

それらと並ぶように
今はハートフルな甘いエンタメ小説が、
人気になってきた。

作家でそんな作風の人たちが
たまたま増えたのでしょうか、
社会が温もりをしっかり
求めているからでしょうか?

韓国文学の方が
生きるという不思議さを
渾身の目新しい工夫と装置で
語ろうとしてるのに比べ、
現代日本の若手作家の
この、熱くもなく冷たくもない
リアリズムは、地味で平坦な語りに
見えてしまうけど、
私見では、住野よるさんが一人、
一馬身差で先を行っているような。

やたらと世知辛い社会だから
本くらいは救いが欲しいですね。

でも、救いは最後くらいでいいかも。
あまりに救いがありすぎると、
甘くなり過ぎてしまうから…。
まるでお菓子のレシピみたい。

なんだか、みんな大人になったのに、
内面はちっとも大人になれなかった
…そんな人がたくさん登場する
「セカンド・アオハル」ストーリー、
と呼ばせてもらおうかしら?

大人になれないまま、
中年、壮年、初老と過ぎてゆく
新しい年の重ね方。
セカンド・アオハル。
今ならではのテーマですね?

私も含めて、どこを向いても、
しっかりした大人はいないのか?
だから、甘めのドーナツ小説が
流行るのかもしれません。

ハートフル・エンタメは
私たちの社会を写す鏡なんだなあ。


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