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【読書】自分を変えてくれた本って何だろうか?

自分を変えてくれた本は…
人生を変えてくれた本は…
本の読書感想文や書評で、
よくそんな話を見聞きしますね。

自分にもあるだろうけれど、
今まで、深く考えてこなかった。

19歳、20歳前後に出会った
サリンジャーや太宰治、宮本輝らは
自分にとって重要な作家たちですが、
これらは、
自分が正しくて、
世間が汚れていて、
俗っぽくて、間違ってる、
そういう作品が多く、
東京という大都会の生活や
マンモス大学になじめなかった孤独さを
支えてくれ、なだめてくれ、
勇気づけてくれていた作家たち。

まあ、悪くいえば、
自分の身勝手さを
肯定してくれた作家たち。
誰も分かってくれないけど、
この作家と私だけは
この世界で本当の意味で
正しいんだと、、、、。

でも、私を変えてくれることは
なかった気がします。

人の人生や価値観、思考回路を
変えてしまうというのは、
なかなかすごいことだから。

ある本を読んでから
生き方が変わるような本って、
うーむ、なんだろう?
あるかなあ?

強いていえば、
橋本治という作家の、
『宗教なんか怖くない』という
オウム真理教論ですかね。

その何が凄いって、
彼の思考回路がどのように
スタートし、どこへ向かい、
何を目指し、何を得て、
どんな結論に至るか?
その道順?回路?が
もうジェットコースターみたいに
一気に動いていく流れ、
それに乗って、読者の私は
振り落とされないよう、
必死に食らいついていくだけ、
それはもう実際の
ジェットコースターみたいに
快感で楽しかったんですよ。

普通、作家や評論家は、
しっかり作品を書いて、
色々と見直しもして、
きちんとした体裁にして
読者に見せるものですが、
橋本治さんは、
まるでライブ感たっぷりに
自分の頭脳の動きを
そのまま見せてくれる傑物だった。
こんな作家はめったにいない。

それ以来、読書の良さとは、
作家の思考のライブ感ではないか?
と思うようになりました。

人生が変わったというよりは、
作家を見る視点が変わった、
ということですね。

そういば、
晩年の彼の作品の多くは
新書レーベルが多かったのは、
思考回路のライブ感を
魅せるのに向いていたからか?

人生を変えてくれた本は、
何だろう?
実際には変えてもらってるのに
私が気づいてないのかも?(笑)。

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