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【本にする】大切な話は売り物ではないby河合隼雄?

【うつ病おじさんの河合隼雄入門】
第1回は、本を出パラドックスについて。

今日から10回ほど、
うつ病やみ(私)には、
河合隼雄はこんな風に効き目があった、
そんな話をしていけたらと思います。

私も、健康なままだったら、
河合隼雄をこんなに15年近く
読み漁ったりしなかったですね。

まず第1回は本を出す難しさ。

情報はお金で売買できますね。
では、知恵や魂の話は
お金で売買できるでしょうか?
していいんでしょうか?
本にするならどんな風にしたらいい?
そんなテーマについて、
河合隼雄さんと
谷川俊太郎さんが対談したことが
あります。

ちょっと引用させて頂きます。

谷川俊太郎
「恋愛や結婚も、今やお金で買えるの
かもしれないけれど、やはりお金で
買えないものは明らかにあるでしょう」
河合隼雄
「それはたくさんあります。
お金で買えるものはたいしたこと
ないんです」
谷川俊太郎
「今僕らはものすごい量の情報に
取り巻かれてアップアップしている
ようなところがありますね。
情報というのは基本的に金で買える
ものと定義していいと思うんですが、
河合さんの本は、つまり情報ではない」
河合隼雄
「そうです」
谷川俊太郎 
「ちょっとキザっぽく聞こえるかも
しれないけれど、やはり知恵なわけです。
知恵はお金では買えない」
河合隼雄
「この本は金では買えないんだ(笑)」
谷川俊太郎
「これは定価をつけられないんじゃ
ないかと僕は心配なんだけど…」
…一部略…
河合隼雄
「…本当は売り物ではない。
こういうものを売ろうとするところに
一つの大きなパラドックスがあるんです。
それを自覚していないと、
僕は駄目になる。ついまた、売れる本を
出そうなんて思ったら、絶対に駄目です。
谷川俊太郎
「大変な話になりましたね」


長々と引用させて頂きました。
これは、河合隼雄さんが
谷川俊太郎さんと対談した
『こころの声を聴く』(新潮文庫)の
ラストの抜粋です。

この本には、全10人と河合さんの
対談がつまっていて、 
村上春樹や多田富雄(免疫学)、
安部公房、白洲正子らと
河合さんが1対1で
様々なトークを繰り広げてます。
 
なかでも、旧知の間柄である
谷川さんとの対談は
冗談も交え、伸びやかに広がりますが、
最後に来て、非常に
シリアスなテーマになりました。

本を売ろうと思う人、
作家や編集らすべての人に
この抜粋は衝撃的ではないかしら?

情報はお金に「落としこんで」いい。
実用書は売買していいんです。
でも、知恵、叡智、魂の大切な話は
それと同じにはできるかしら?
いっしょにはできないんじゃないか。
そこは気をつけなくてはならない。

お金で様々なものを
評価し、評価されるこの世の中。
知恵は売り物にしてはならないと、
河合隼雄は言うんです。

それをまた、書く人や編集は
きちんと自覚して、
気をつけねばならないですね。

今は、本を出したい、
本で稼ぎたい人でいっぱい。
私も編集者時代は、売りたいと
思ってました。

漫画はエンタメだ、
売り物にしてもいいでしょう。

ただ、よく疑問だったのは、
自己啓発のカウンセラーで
3日でアドラー心理学がわかるなんて
本を書いたり、講座をしたり
してる人は、本当に苦しんでる人を
おもんぱかっているかしら?

アドラーの心理学が
3日で分かる訳がありません。

それに苦しんでる人には 
マザーテレサのように
無償で施すべきではないかしら?

自己啓発作家は
苦しんでる人を利用してやいないか?
そこについて、きちんと考え考え
書いておられるカウンセラーは
信頼してもいいんでしょうね。


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