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日本史サイエンス 感想

紹介

 こんにちは。本日は「日本史サイエンス」(播田安弘・ブルーバックス・2020年9月創刊)の紹介をしようと思います。この本は歴史の中で信じられないような出来事(蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る)について科学の観点から検証します。空想科学読本みたいな本であると考えてください。蒙古襲来では元軍が文永の役で大群で押し寄せたにもかからわず一日で撤退したのはなぜかを、秀吉の大返しでは本能寺の変後わずか1週間ほどで備中高松城(岡山県)から2万人ほどの大軍を率いて山崎(京都府)まで行くことができたのか。また戦艦大和ではなぜ戦艦大和は無用の長物と称されているのか、船の構造及び当時の戦術について解説をしています。作者の播田安弘さんはベテランの船の設計者であることから大和の設計について詳しく書かれていて興味深い内容になっていました。戦術に関しての解説の方が充実していた気もしますがまぁいいでしょう。どちらも面白かったので。
 詳しい内容に関しては実際に読んでみてください。図やグラフが多用されていて読みやすくなっています。個人的には歴史学者とつるんでもう少し現実的に落とし込めていたらもっといい作品になると思いました。

作者の意見

 と、ここで終わったらだたの紹介文。この本の最後には考えさせる内容が書いてあったので個人的な考えを書いていきたいと思う。(結局意見文になってしまう、悪い癖ですねぇ、、、)戦艦大和に関して大枠に太平洋戦争に関してそして現在の日本に関して作者が戦後の復興期を生きてきたからであろうが興味深い意見文があった。
 それは戦艦大和のことであるのだが、作者はこの大和はもっと有効に利用することができたと考えている。というのも大和はいわゆる最終兵器的存在と位置づけられていて使うべきタイミングを逃してしまったからだ。実はこの戦艦は日本が何年もかけて作った船で防御力に関してはピカイチであった。数発であれば魚雷に耐え、傾いても排水機能と反対側の槽に水を入れることで安定する機能があった。しかし戦争が激化し日本が防空圏を失ったときに本格投入され戦闘機によってあえなく撃墜。日本が防空圏を持っていたとき海上では活躍ができたために勿体ないことである。
 この理由を筆者は日本の神風信仰と上層部の考えが絶対という体制があったからだと考えている。日本は蒙古襲来のときいわゆる神風によって侵攻を食い止め、秀吉は一週間で200キロもの距離を20000人もの軍隊を率いて戦ったこと、そして日露戦争で勝ったことによりピンチのときに神風が起こると考え大和を使わなかった。また大和を出陣するように意見がなされても上層部が拒否をしたため見送られたこともある。このような組織の腐敗が悲惨な結果を招いた。

個人的意見

 この本は歴史の出来事について検証をしている。秀吉の大返し、20000人もの人が鎧、武器をもって200キロを一週間で歩きその後明智軍と戦う。普通に考えたら現実的でないことを自分は疑問に思わなかった。詳しく状況を説明すると毎日30キロほどの荷物持ってアップダウンが激しい道をしかも梅雨に季節に兵の半分は野宿でフルマラソンに近い距離を走ったあとに明智軍と戦う。しかも統率をし馬も引き連れている。川もある。道は整備されていない。普通に考えたら無理だ。しかも織田信長が討たれその次の日に移動を始める。
 伝承には誇張表現があるとはいえそれが昔起こったこととして記憶をしている。疑問を持たずに生きてきたことは反省をしなくてはならないと思う。そんな意味で教訓となる本であった。やはり理解してから覚える。歴史の場合はイメージをしてから覚えたほうが疑問点が出てきてつっかえそうではあるが面白く感じる気がする。歴史はなぜやるか。それは過去の出来事をしり、今の世の中でどう生きるべきかを学ぶためである。でも出来事がイメージできていないと歴史をなまぶ意味がない。これはすべての教科に言えることであると思うので気をつけたい。その意味で歴史の学習まんがはストーリーがすらっと通り過ぎてしまいがちで流れを知るのに使う程度に使おうと思う。
 また大和みたいに無駄なものができないように状況によって正確に判断する必要もある。どうしても結果論のように考えがちだがでもこの失敗を吸収して結果論だからしょうがないは少なくしていかないと行けないと思う。さっきの話と重なるところであるが、結局歴史はすでにやり方に対する結果がすでに出ているし、先人から学ぶ姿勢は重要であることを再確認できた。

参考文献


ついでに


最近、ペストという本を読んだのですが一時期の自分たちの状況と似通った場面があり昔の人もこんなこと考えていたのかと感動しました。500ページほどと読むのにはしんどいですがおすすめです。

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