B'z 消えない虹 歌詞解読
B'z大好き。私はこの歌が最高に好きで、よく聴いていました。ネットを見ても歌詞の意味が気になると言う人が多くいますが、どれも的を得た回答であるようには思えなくて、私が個人的に解読することにしました。
で、しつこいようですが、私の記事の中で散々申し上げている「虚」というものを理解することが重要です。
人は「虚」を追いかける生き物であるということは、上の記事で語っています。この歌詞も、やっぱりこれが問題になるのです。
「君」というのは、決めつけるわけではないですが、女の子だと思います。稲葉さんが男なので、やぱりそういうイメージですね。
これは、その女の子の心象風景です。雨が今までは降っていました。どんよりと曇っています。だけど、いつまでもそれは長続きはしません。やがて晴れるはずです。女の子は、雨の中で暗い気持ちで佇んでいて、髪が濡れてしまっています。とても暗い気持ちであることがわかりますね。すると、段々晴れてきて、雲も散り散りになって、ふわふわと飛んで白くなり、間から光が満ちていきます。
これはいいですね。そのままです。今の女の子の心の状況に配慮しています。
この窓というのは、本当に窓を開けているわけではなくて、一度閉ざされた心の窓を指しています。一度心の窓を開いたのに、つらい目に合ってしまって、閉ざしてしまっていたのですね。だから、もし、またもう一度窓を開ける時がきたのであれば、という意味です。
これがこの歌詞の中心的なタームですね。
消えない虹とは何かを理解することで、歌詞の全体像が見えてきます。
人間は、「虚」を追いかける生き物です。虹はどうですか?綺麗に見えて、そこにあるように見えて、実際はありませんよね。そしてやがて消えてしまいます。虹は消えるものなのに、消えない虹なんてあるのでしょうか?
そしてもう泣かないで
何かを変えられなくても
何かは始まるから
やっぱり女の子は今まで泣いてしまうような悲しい気持ちになっていたということがわかります。そして、何かを変えられなくても、なにかは始まるといって慰めてあげています。
心離そうとして 哀しい言葉並べてしまう
新しい服を着てみても 胸の痛みだけは隠しきれない
女の子は、心に傷を負っています。その痛みから逃れたくて(心離そうとして)、いろいろと八つ当たりめいたことなどを主人公の男の子に言ってしまう。不快感やわがままなことを言ってしまうことがあるでしょう。あるいは、泣き言や暗い言葉ばかり並べてしまいます。気分を変えるために新しい服などを着てみるけれども、やっぱりそれでは胸の痛みなんてなくなりません。
Woo… 君の香りに Woo… 包まれているよ
君の香り これが匂うということは、主人公の男の子が、現在、現実にその女の子のそばに立っていることを表しています。女の子の心情に胸を痛ませながらも、その女の子の香りに、ほのかな幸せを感じているようです。この男の子は、その女の子のことが好きなのです。
消えない虹の下で会おう 覚めない夢の中で
季節は冷たく過ぎても 僕はずっとここにいる
さて、ここで消えない虹の正体が明らかになります。女性の読者さんであればわかるのではないかと思いますが、(男もそうなんですが)女の子は外観のいい男の子や、パッと見優れたところを見せる男の子に一瞬で恋をしてしまうものですよね。でも、その男の子の本当の姿を知っているわけではありません。つまり、男の子の虚の部分に眼を奪われて、実の部分を見ているわけではない。でも、一目ぼれっていう言葉があるように、私たちは虚の部分を見ているからこそ、恋をすることができるのです。恋は盲目とは、恋とはそもそも盲目なものだからなのです。
逆に男の子っていうのも、自分の実体ではなく、虚像を女の子に見せて、女の子の気を引くものなのです。かっこいいところを見せる!という感じですね。でも、そんなの一瞬だし、自分の内実とはあまり関係がないのです。恋の接点というのは、この一瞬の虚にあるのです。
だから、こんな虚なんて、結局すぐに消えてしまいます。それを虹と表現しているのです。
この男の子は、その女の子のことが好きです。ですが、その女の子は、その男の子とある程度仲はいいものの、自分が気に入る男を見つけると、またそちらの方へ気持ちが走り始め、その男の子から離れていってしまいます。
男の子は心の中でこのことがわかっているのです。
消えない虹の下で会おう。というのは、「自分はこれから努力を続け、自分の虚を実へと変えるほどの人間になって見せる。」という意味なのです。
季節は冷たく過ぎても 僕はずっとここにいる
私たち皆に言えることですが、かっこいい人や可愛い人、立派に見える人、地位が高い人など、虚が巨大な人に対してほど、私たちはその人のことを好きになったり、尊敬したり、丁重に扱ったりします。逆に、取るに足らない人物だな、と思うような外観をしている人 お金のない人とか、地位の低い人などは、軽く扱うことがありますね。
男の子は、それほど虚のある人間ではないのです。つまり、その子の虚は、実と重なり合うくらいに小さいのです。ですが、虚に頼らず、実の道を進もうとし、やがて虚なんて相手にならないくらいの実を持つ人間になることを自分の目標に設定しています。
だけど、その過程はかなり残酷で、周りの人たちは虚で人を判断してきますから、その男の子に対しては冷たい行動をとります。目の前の好きな女の子も、虚があまりないその男の子には、恋愛相手としては全く考えていないようですね。
つまり、季節は冷たく過ぎても、というのは、周りの目が自分に対して冷やかであり、あるいは女の子が自分に対して温かい目を向けてくれなかったとしても・・・という意味なのです。どれだけそうした季節が過ぎていっても、僕はずっと、消えない虹のある場所にいる、ということを宣言しています。この歌詞は、この男の子の心の強さを表しており、女の子のことを本当に大切に思っていることがわかります。
Thinking about you,
yes,I know who made you so blue
I'll be your destination someday
この英語の歌詞の意味がわかれば、今まで私の言ったことも理解できるはずです。君のことに付いて考えると、うん、僕は君をとても暗い気持ちにする人が誰なのかを知っている。(それは、虚ばかりが大きくて、実がない人間だ。君は虹に恋をしてそれを夢中で追いかけるけど、その虹はすぐに消えてしまう。そうして君は再び暗い気持ちになって、心の中に雨が降ってしまうんだ。そうしてまた心が晴れて、再び虹を見つけるんだろう?)
僕はいつか君の目標としている虹になるだろう。
つまり、自分こそが「消えない虹」となることがその男の子の目標なのであり、女の子に対して抱いている密やかな思いなのです。
Wow…君を失くしたくないから
昨日には戻らない 失くしたくはないから
人が最も寂しさを感じる瞬間とは、独りぼっちの片田舎でひっそりと暮らしているときではありません。自分が離れたくない人と離れる一瞬です。この男の子は女の子のことが好きですが、女の子は虚の小さいこの男の子に対しては、つまり、虹の見えないこの男の子に対しては、恋心を抱いていません。それよりは、遠くに見えるかっこいい、虹のある人に恋い焦がれ、また再びそれを追い求め、男の子のいるところから離れていきます。
その一瞬は男の子にとってとても寂しい瞬間であり、その子を失った瞬間でもあります。だから、その一瞬を感じたくないので、その日(昨日)には戻らない と歌っています。
普通男の子は、女の子を取られまいとして嫉妬をしたり、無理やり女の子を引き留めようとしたりしますが、その男の子は、嫉妬や強制によって女の子の気持ちを勝ち取っても、消えない虹をもたなければ、結局この女の子を不幸にするだけだと悟っています。ですから、女の子の自由な心に任せていますし、恋というもの自体に恋をしている女の子に、現実的な意見を言うこともできません。
その女の子がもし消えない虹を見つけたのであれば、それはそれでいいのです。だから、消えない虹を見つけてくれ、と願っているのです。男の子は、どこかでそうなる可能性も考えています。もしそれを自分が事前にとめてしまったら、それこそその女の子のためになりません。
だから、自分が消えない虹になるその日まで、冷たい季節の訪れ(女の子から目もくれない時期や、周りの人たちからの冷たい目線や扱い)に耐えながらも、いつかその場所にたどり着く、静かで優しい、我慢強い、ストイックな恋をしているのでした。私はそうした男の子の心情を謳った歌なのであると理解しています。
消えない虹とは、虚像へたどり着いた実像のことである。
というのが私の回答です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?