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ナパ バレーから

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ナパ バレーから遠くないところに住み始めて 30年が過ぎ、気がつけばそのワインばかりを飲んでいます。結局わかったことはワインはストーリー。そのナパ バレーのことを主に、それ以外の… もっと読む
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ナパ バレーAVA

ナパ バレーAVA

1981年の今日は Napa Valley AVA(ナパ バレーAVA)が認可された日です。
少し詳しく説明をすると、AVAというのは米国ぶどう栽培地域(American Viticultural Area)で、これは国の管理局によって認可されます。そして今日2月27日はナパ バレーが認可されたという記念日なのです。アメリカのワインの産地としてナパ バレーは最も有名ですが、AVAとして認可されたの

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気球に乗って

気球に乗って

 カリフォルニアで一番人気の観光スポットは、ディズニーランドです、とこれは簡単に予想できるでしょうが、それでは二番目は?
 二番目がナパ バレーです。おおよそ南北に60kmほどの細長いワインの産地には現在は400軒を超えるワイナリーがあり、年間200万人の観光客が訪問しています。そこではワインの試飲ができたり、ワインの製造工程の説明を受けながらぶどうの畑を歩き回ったりとそれなりに興味深いものですが

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5月24日

 この日は特別な日として僕のカレンダーに記録してある。項目には「パリスの審判」と書いている。
 念のために noteを検索してみると、たくさんあります。多くの方がこのテーマに興味をもち、書いています。ただし、この日に限定した僕が語りたいのは、ワインのことです。
 とテーマを絞ると、noteの記事も1割くらいになってしまいます。
 英語で『Judgment of Paris』という、Parisという

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|Yountville《ヨーントヴィル》

|Yountville《ヨーントヴィル》

 アメリカのワインの話題で AVA(アメリカ政府公認ぶどう栽培地域)と言えば、まず有名なのがナパ バレー AVAですが、ナパ バレーの中にはさらに細かく区分されたサブ AVAというものがあります。これは正式には Nested AVAと言われるのですが(つまりサブと言えばナパ バレーAVAの下という印象を受けますが、実際はその逆でナパ バレーの中でもさらに上の区分にあります)、そのサブAVAが16地

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ロバート モンダヴィ

ロバート モンダヴィ

 5月16日はロバート モンダヴィさんの命日です。2008年のこの日、94歳で他界されました。ナパ バレーの名声がここまで高くなった、その功労者の筆頭に挙げられるのがこの人でしょう。実はまだまだ多くの人たちが関わり、功労者と称すべき人は多いのですが、それでもこの人が最もよく知られているでしょうね。ロバート モンダヴィさんの興味深い話はいろいろとありますが、今日はその中でも筆頭となる、きょうだい喧嘩

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International Sauvignon Blanc Day

 きょう日本では 5月6日ですね。毎年この日はソヴィニオン ブランの日ということになっています。業界が勝手に定めたものですから、「ワインなんて興味ない」という方にはまったく面白くない話題ですね。では一方、「ワイン大好き!」という方にとっては?それもまた全然面白くないかもしれません。
 というのは、僕の意見は決して主流ではありません。主流というのは日本ソムリエ協会のことですが、それとは一線を画した、

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Mount Veeder AVA

Mount Veeder AVA

ナパ バレーAVAというワイン産地の中に、中でもさらに特有のワイン産地がある、これをサブ AVAと言ったり、ネスティッド AVAと言ったり。これまでもいくつか紹介してきましたが、今日はマウント ヴィーダー (ネスティッド)AVAです。というのは今日がその誕生日ですからね。もう32年も前の 1990年3月22日です。

ナパ バレーを訪ねたことがある方は記憶を辿ってみてください。ぶどうの木が列になっ

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ぶどうの木の剪定から

ぶどうの木の剪定から

カリフォルニアのナパ バレーでは2月は剪定の時期、僕は今年も行ってきました。ここはナパ バレーの最南端に位置する地区ロス カルネロス AVA。ここに4本(ぽっきり)のぶどうの木を持っています。というか、年間契約でリースしているのです。

畑の中でぶどうの木は整列して立っているだけに見えますが、常時仕事をしているのです。根から大地の栄養と水分を吸収して大きく育つこと、これが基本です。ぶどうの木は太く

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素人のワイン造り (12)

素人のワイン造り (12)

というわけで、僕は(むずかしくない方の)培養イーストを使いました。一袋5gのイーストをぬるい湯で溶いて、バケツの中のマスト(ぶどう粒を潰したグチャグチャの液)の中に入れただけなのですが、これで翌日まで待つと発酵が始まっていることがわかります。ぶどうが発酵すると、イーストが糖分を摂取してアルコールを生成し、二酸化炭素を放出します。マストの中で発生した二酸化炭素は泡となって浮き上がってくる、想像できま

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素人のワイン造り (11)

素人のワイン造り (11)

前回書いたように、酵母には天然酵母と培養酵母の2種類があります。日本ではこの2つを天然酵母とイースト(またはイースト菌)と言っています。実際はどちらもイーストですから、こういう言い方はおかしい。なぜ酵母とイーストは別物だと誤解されるような言い方をしているのか、摩訶不思議ですね。

天然酵母は自然に存在している単細胞の微生物で、いろいろな種類(現在わかっているのは 1,500種ほど)があります。天然

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素人のワイン造り (10)

素人のワイン造り (10)

(しばらく休止していましたが、実はアイスランドに行ってきましたが、そのことは『アイスランド旅日誌』に書きましたので、興味があれば読んでみてくださいね。大変に面白い旅行でした。)

さて、ワイン醸造の話を再開します。

バケツの中ではマスト(ぶどう粒を潰したグチャグチャの液)の発酵が進んでいます。発酵が始まって1週間もすると、ほとんど安定します。今ここで改めて、発酵のことを考えてみましょう。

発酵

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アイスランド旅日誌 (9)

アイスランド旅日誌 (9)

11月26日(5日目)
北カリフォルニアでも11月を過ぎるとしばらくは雨の季節です。この地域ではこれから年が明けて2月、3月までは雨の季節。とは言っても日本と異なるのは、雨が毎日降ることは珍しく、曇りの日が多くなる、雨が降っても驚かない、という程度に考えるのが実際に近いです。むしろこの時期に雨に降ってもらわないと夏に水不足でこまることになります。

さて、12月も押し詰まってきました、気温は早朝で

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素人のワイン造り (13)

素人のワイン造り (13)

前回の終わりはちょっとぶっきらぼうでした(と反省)。書きながら、ワインを絞っていた時のことを思い出して、早くやり過ごしてしまおうという気持ちが出たのかもしれませんが、あの搾るというプロセスを通過して初めてワインの形に到達することになります。それが辛い。その苦労を証する写真がこれ。白かった布もワイン レッド、僕の手の汚れもしばらく取れず、指先の痛みと疲れが数日残りました。

そして絞ったワイン様には

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カリストガ AVA

カリストガ AVA

2009年1月7日、この日にカリストガ地区が AVAとして認可登録されました。カリストガ地区はナパ バレーの最北の地域にあるのですが、ここで「あれ?そこはナパ バレー AVAじゃないの?」という疑問を抱いた方、よくご存知ですね。そうなのです、ここはナパ バレー AVAであり、しかしまた、同時にカリストガ AVAでもあります。

AVAとは American Viticultural Areaの略で

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