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牟田都子さん「自分ひとりで自分をケアできるのが瞑想の大きな利点」

校正者の牟田都子(むたさとこ)さんは超越瞑想(TM)を始めた後、人生の大きな変化を体験しました。しかし多忙な日々の中、規則的な瞑想がむずかしくなると、自分を責めてしまうこともあったのだとか。今年、10数年ぶりにTMのフォローアップを受けた牟田さんにお話をうかがいました。

初日から心地良いと感じた

TMを学んだのは2010年前後だったかと思います。吉本ばななさんがwebで公開されていた日記で、映画監督のデヴィッド・リンチが長年TMを実践していると知り、興味を持ちました。2012年に『大きな魚をつかまえよう リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン』(デヴィッド・リンチ著、草坂虹恵訳、四月社)が刊行されたとき、すぐに買って読み、東京でもTMが学べると知りました。実践している方の「TMを学ぶことは、人生の運転免許を取るようなもの」という言葉や、当時かかっていたアーユルヴェーダのクリニックでTMを勧められたことが、背中を押したと思います。

牟田さんの仕事道具

当時の私は、30歳を過ぎて転職した校正の仕事が向いていないのではないかと悩み、暗いトンネルの中にいるような気持ちで日々を過ごしていました。ここから抜け出せるならと藁にもすがる思いでワークショップや催しに足を運び、さまざまなメソッドを試していたなかで、TMは、指導を受けた初日から違和感がなく、シンプルに心地が良いと感じました。この心地良さを自分でつくり出すことができるのなら、ぜひ続けたいと思いました。

ダイニングテーブルが仕事場

仕事とプライベートが大きく変化

TMを学んだ数カ月後に、当時業務委託契約で勤めていた会社で異動があり、それを機に知り合った人と、半年後には結婚を決めていました。その話をした同年代の友人が、自分もTMを学びたいと言い出し、実践するようになってからやはり一年と経たずにパートナーと出会ったそうです。私自身はやがて会社を辞めて個人で働くようになり、あれほど自分には向いていないかもと悩んだ校正の仕事について、人前で話をしたり、TVに出たり、とうとう本まで書いてしまいました。あのときTMと出会わなかったら、ここまで人生が大きく動いていなかったかもしれません。

長年の夢だった猫との暮らし

10数年ぶりにフォローアップを受けて

TMを学んで数年間は、とにかく自分を「よく」したい一心で、なにごとにも義務感がありました。TMも「朝晩かならず20分ずつ実践しなければならない」と考えて、時間が取れなかったり、中断したりすると、「ちゃんとできていない自分」を責めていました。今回10年以上(!)ぶりでチェッキング(フォローアップのミーティング)を受けて、心地良さから始めたはずのTMがいつの間にか「義務」になっていたと、気がつくことができました。

窓から見える景色

自分で自分をケアできるのが大きな利点

チェッキングを受けてからのTMは、ただただ心地良い、それに尽きます。ある方の「真の意味で休息と呼べるのは睡眠と瞑想だけ」という言葉が、いまなら自分自身の実感として頷けます。長時間稼働していて熱を持ったパソコンの電源をいったん切り、冷めるのを待つような具合に、いまの私にとってTMは回復の時間です。

著書『文にあたる』(亜紀書房)

私が学んだ10年前と比べると、いまは情報が豊富になりました。特にありがたいと感じるのは、TMを実践している方々の体験談をweb上で読めるようになったことです。読むたびに、私もこのように豊かな人生を送りたい、と気持ちも新たにTMに臨むことができます。また、クリント・イーストウッドが「他に依存することなく、自分自身でできるものを私は信頼します」と言っているように、自分ひとりでできること、自分で自分をケアできることは、私にとってTMの大きな利点です。一方で、チェッキングを受けたことでTMとあらためて出会い直したとも言えるような体験を経て、これからはなるべく定期的にチェッキングを受け、グループ瞑想会などにも参加してみたいなと思っています。

校正を担当した書籍などが並ぶ本棚

牟田 都子(むた・さとこ)
1977年、東京都生まれ。校正者。図書館員を経て出版社の校閲部に勤務、2018年より個人で書籍・雑誌の校正を行う。著書に『文にあたる』(亜紀書房)、共著に『あんぱん ジャムパン クリームパン 女三人モヤモヤ日記』(亜紀書房)、『本を贈る』(三輪舎)ほか。

撮影:疋田千里(プロフィール画像)


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