「ひきこもり」の問題4 支援機間での状況が問われていないこと

「最初に「ひきこもり」の問題に関心を持ったのは、
今から約15年前、
2009年の4月から、
初めて社会に参加したいと思い求職活動を始め、様々な支援機関をめぐったのがきっかけです。
それらの支援機間での対応に疑問を持ち、
「ひきこもり」の問題が語られる時、
「どうして支援機間での状況が伝えられていないのだろう?」
と思ったのがきっかけでした。」

と、
何度か書いてきました。

「支援機間での状況が伝えられていない」
とはどういうことか?

例えば、
数年間、あるいは数十年間引きこもっていた人が、支援機間を訪れ、
その支援機関で不適切な対応を受け、
それが理由でまた引きこもってしまったようなケース。

このようなケースはありそうですが、
実際にはどれくらいあるのでしょうか?

また、
次のようなケース。

数年間、あるいは数十年間引きこもっていた人が、支援機間を訪れ、
その支援機関で不適切な対応を受け、
それでも仕方ないと思って次の支援機関を訪れ、そこでも不適切な対応を受け、
それでも仕方ないと思って又次の支援機関を訪れ...

を繰り返しているようなケース。

実際に長い年月を掛けて色んな支援機間を渡り歩いている、
という人の話はたまに聴きます。

家にずっと引きこもっているのではなく(そもそも「ひきこもり」は家から全く外に出ない、という人は少ないのですが)、
支援機間を巡り続けている人は、
社会に参加している、と言えるのでしょうか?
また、「ひきこもり」当事者ではないと言えるのでしょうか?

(その辺りの話は「ひきこもり」という言葉以外に、「生きづらさ」という言葉が使われていることとも関わってくると思うのですが、
その話は別の機会に譲ります。)

また、
次のようなケースはどうでしょうか?

数年間、あるいは数十年間引きこもっていた人が、支援機間を訪れ、
その支援機関で不適切な対応を受け、
それでも仕方ないと思って次の支援機関を訪れ、そこでも不適切な対応を受け、
それでも仕方ないと思って又次の支援機関を訪れ...

その際、
これまで幾つかの支援機関に行き相談疲れをしているため、
「これまでどうして仕事をして来なかったのか?」とか、
「家族関係」については聞かずに、
仕事に繋がることに時間と労力を使いたい、
と言い、
その要望に対してOKをもらったのでその支援機関を利用することになり、
個人面談を続けていたが、
3、4回目の時に担当の相談員が突然切れてイラだった感じで現れ、
「今日は話してもらうからな...」と言い、
相談者はその態度の急変ぶりに驚きながら、
「でも...最初に家族関係については話さないでも大丈夫ということだったのですが...」
と言うと、
「では、家族関係とあなたの実存は関係ないと思っているのですか?」
と言い、
相談者はその言葉に困惑しつつ、
「家族関係はともかく、
提携先のハローワークに繋ぐには簡単な経歴や希望職種などを答えてもらわなければならない。もし今答えられないようなら又次回、1週間後に来て話してもらいますが...」
と言われ、
早く仕事に就きたい相談者にとって1週間も先延ばしにされるのはとても辛いので脅されるような気持ちでこれまでの簡単な経歴と希望職種について話し、
何とか提携先のハローワークに繋いではもらったものの、
そこでも上手く行かず、
通うのを止めることにして、
そのことを支援機関の担当相談員に伝えたところ、
「勝手に止めるのは無責任なこと」
と言われ、
提携先のハローワークを止める前にその支援機間に電話をして伝えようと思ったが担当相談員であるその方が留守だったので電話に出た別のスタッフに伝えた旨を話したところ
軽く言い争いになり、
何とかそれでも相談を続けることになったものの、結局上手く行かず、
最終的にその支援機関の代表の40代後半くらいの男性と、
その担当の相談員(40代半ばくらい)の男性の2人と支援機関の建物内の部屋の隅っこにて、
相談者は2対1で話すことになり、
当時20代後半だったどちらかというと内向的な相談者の男性は、
自分よりだいぶ年上の大人の男性2人に囲まれて、まるで2人がかりで説教をするような口調で色々と詰問されるその状況で充分に自分の意見を言うことができず、
ただ、
「この状況は伝えたい」
と思い、
公的機関に訴えたり、
ひきこもり関係の集まりに参加して自分の経験や問題意識を伝えたが共感されたり、
その問題だと感じた状況を変えていくために協力してくれそうな人も見つけられず、
1人、彷徨ってしまい...
というケース。

3つ目のケースは僕のケースですが、
そのような形で、
2つ目のケースと同様に社会に参加している状態と、
社会に参加していなかった状態の間で彷徨っているケース。

2つ目、3つ目のケースは、
状況はそれぞれ異なるにしても、
かなりの人数が居るような気がします。

でも、
このような話をしても、
ひきこもり界隈の人は興味を示さず、
研究者の人たちにも話しましたがやはり興味を示しませんでした。

ひきこもり実態調査などでも、
支援機関を利用したが不適切な対応を受け、
それが理由で引きこもった人数、
などはデータとして集められていない。

けれど、
僕は「どうして支援機間での状況が伝えられていないのだろう?」
と思ったからといって、
支援機関で不適切な対応を受けた、
そんな不適切な対応をする支援者達を訴えたい!
という気持ちがあるわけでなく、
支援機関で相談者と支援者が接している状況を「検証して欲しい」
というのが僕の願いであり、
問題意識です。

そもそも、
ひきこもりの問題というのは人と人とが接している状況が問題になっていると僕は考えているので、
支援機間で相談者と支援者が接している状況を問うことは、
ひきこもりの問題を考える上でも本質的な取り組みだと思います。

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