公立学校教員のゲンジツを大学教員ではなく、大学生が正しく理解している現実

 あまり特給法の話をしたくないのだが、流石に名古屋大学の内田良くんのコメントを見ていると萎えてくる。
 教員辞めようかなと思う。

 以下引用
「保護者からの要望と『子どものために』という教育論があるため、なかなか業務が減らない」と分析。

 これはダメなことかい?というか今の保護者の中には教員に対して遠慮や労いを持って接してくださる方も結構いらっしゃるのだが・・・数で言えばモンペより協力的な保護者の方が圧倒的に多い。
 そして日教組から距離を置いて「子どものためを」考え直そうとしている若手も多くいる。
 別に教育現場がこのことから業務量の増大を抑える努力を怠っているわけではない。

 少なくとも中学校教員を擁護するあんたの論理構成自体が小学校教員から見れば浮世離れしている。あんたより先に部活動調査をして分析した経験から言わせていただければ、部活動と生徒指導による勤務時間増大の内実には実は数字のマジックがあって労働とは名ばかりの休憩のような時間が多く含まれている「老害」の人数が混じっていて、これをある程度勘案すれば、実は中学校教員が突出して勤務時間が長いことにはならない。おそらく小中高で残業時間は月平均75時間程度に平準化されることになる。
 とりわけ中高においては学級担任制の意味合いと責任が薄く、授業を一教科しかやらない(単位制高校を除く)上内容も薄く、個別の持ち時間数が少なく、校務分掌上責任の所在を明らかにしない仕事のやり方のため願書未提出のような信じられないミスも起こし、部活動のように学校には居るものの子どもは放置みたいなおよそ教育活動とは呼べない時間が多いというようなことが常態化している。実際に教員が喋らない授業のように中高の教育実践の中には子どもを放置することを正当化するロジックが存在する。
 もちろん平均的にこうなっているではなく、楽な人間はこれよりももっと労働していない状況だし、真面目な人間や若者にはその働かない人間の分の仕事が押し付けられているのはいうまでもないことである。
 「平均」を語ることに意味がないと同時に、「個別の状況」にも意味がないという教育現場のリアルを語る難しさにこの方は本当に気づいているのだろうか?

続けて引用
「『公立校は特殊だから』という議論がまかり通り、(人件費の)お金が足りないから業務を削減しようという努力が生じない。賃金と労働時間がリンクすれば、長時間労働の抑止力となるはずだ。真っ正面から議論した方がいい」

 うーん。賃金と労働時間がリンクすれば長時間労働が無くなるの?
 少なくとも教育現場ではそうならない。
 本当に教育現場を調査したことがあるのかな?
 そして電通の問題をYahoo!ニュースでも見てれば、ビジネスの現場でもハラスメントにさらされた若者がそういう発想のもとに悲惨な現実に行き着いてしまったということがわかるはずなんだけどなあ。それでもこの人はこの考え方を恥ずかしげもなく撒き散らすのでしょうか?
 多分金の話と命や健康の話が割に合わないことを一番よくわかっているのはコロナ禍を大学で過ごした大学生なんだと思いますよ。
 この人は高度経済成長とバブル期の日本の労働形態の幻想をいつまで引きずるつもりなんでしょうか?
 こんなことを真正面から議論すること自体が問題の本質を歪めます。
 もうこの人は研究も発言もしない方が教育現場のためになるということをご理解いただきたいですね。悪名は無名に勝るみたいなのは無能であることを自認した政治家の考え方ですよ。

そして最後に引用 大学生の発言
「私たちはお金を稼ぎたいのではなく、一人一人の児童生徒と向き合いたいから教師を目指している。長時間労働や残業の実態を知り、教師の道を諦めたという学生を数多く見てきた。声を聞いてほしい」

 大学生の方がわかっているじゃん。
 しかしまだ若いなあと思うのは、あなたたちの見る長時間労働や残業の実態というのは、メディア露出を増やしたい大学教員や視聴率だけを稼ぎたいマスコミ、閲覧数にしか興味のないジャーナリスト、不真面目だけど目立ちたい、つまりいいねと同情を集めたいだけの不適格教員たちが結託して作りあげたモノガタリにすぎないということです。
 もちろんそのモノガタリには事実成分も何%かは含まれているので同じ味はします。しかしそんなものは教師という仕事の一側面も表してはいません。
 
 教師のリアルというのは、まだまだ捨てたもんじゃない。
 教育システム的にこんな酷い状況になっても、まだ正常以上に動いている教育現場が多い理由は、労働組合やチーム学校などの実践の力ではなく、志だけで動くように行動規範が自律している個々の優れてウデのある教師が日本にはたくさんいるという現実だけなのです。
 出世にも名誉にももちろん必要以上のカネにも興味なく、目立ちたくもない、ただただ目の前の子どものためと一緒に働く仲間のために今一番大切なことが何なのかを考えられる人間が教職員をやっているということなんですよ。

いつもいうように大学教員には理解できない。
申し訳ないが、脱「教員」をする人にも理解できない。
教員にならない大学生にも理解できない。
教員を「愚直」に続ける人間にだけわかる学校現場のリアル。

 必要以上に飾り立てて子どもや教育の素晴らしさを語る必要もなく、必要以上にシンドさをあげつらう必要もない。
 それ以上でもそれ以下でもない教育の真実をせめて教職を志す大学生には伝えていきたいと思います。

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