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無消費のジョブを求めリクルートからスマートバンクへ / PM転職時やってよかったTips

■ 誰へ何の為の記事か?
PM系転職検討者へ: PM職で転職する際の観点やしてよかったことの参考に
スマートバンクに興味がある方へ: サービスポテンシャルや雰囲気を知り関心を持ってもらう為に
自分へ: Day1 の初心を忘れない為に

ペライチサマリ

この note の全体像

自己紹介

皆さんはじめまして
「じょー」こと湯川晟(ゆかわじょう)と申します。
サッカーと日本酒とHIPHOP、そしてプロダクトマネジメントを始めとする新たな価値を生む仕組みづくり全般が大好きな者です。

お仕事略歴としては、新卒で株式会社リクルートへ入社し、住まい領域にて某住まい探しサービスのプロダクト企画やプロダクトマネジメントを担当した後、プロダクト戦略室という領域横断の中長期戦略推進を行う部署へ異動し、販促マッチング領域の横断KPIの取りまとめやAirシリーズの新規プロダクト立ち上げ、各販促領域の中長期戦略検討・実行支援など身に余る様々なチャレンジをさせて頂き足掛け3年半ほどお世話になった後、この12月頭より株式会社スマートバンクへプロダクトマネージャー職として転職し、新たなチャレンジを始めさせて頂いております。

現職スマートバンクは “Be Open” をバリューの一つとし、想いや情報を共有することを良しとするカルチャーであり、せっかくの良い機会なので働く中での日々の想いや学びや考えについて備忘録的に書き留め、それが誰かの為になり、皆さんとゆるく交流・ディスカッションできたら嬉しいなと思い筆を取らせて頂いております。
皆さまどうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m

今回は下記の3つについて書いてみたいと思います。
1)PM転職時に重視した3つの観点
2)Why スマートバンク?
3)PM転職時にしてよかったTips


1)私のPM転職の観点

何の軸を大事にするか?は最終的には人それぞれであるとの想いはありつつ、自身が初めての転職を進める過程で、自身の軸を立て、たくさんの方々の軸を参考にしたり壁打ちをしながら意思決定の軸を磨いていった経緯があり、もし自身の例が誰かの一つの参考になればと思い、どのような観点で転職先を検討したのか?、またそれを重視したのはなぜなのか?を述べます。

私がPM転職検討時に特に重きを置いたのは下記3つの観点です。
① 解くべき顧客課題の性質が魅力的か?
② 顧客課題の広がりはあるか?
③ プロダクトづくりのプロセスとPMの職責範囲がマッチするか?

① 顧客課題の性質が魅力的か?

個人的な信念に近いですが、自身の時間をフルベットして取り組むプロダクトを決める際に、自身が心から取り組みたいと思えるテーマであることは非常に重要だと思っています。
何が魅力的か?は人によって異なると思いますが、私の場合は「無消費のジョブ」の解決に取り組むプロダクトであるか?ということにこだわりました。

cf. ジョブ理論を知らない方向けの補足
“ジョブ(= Jobs to be done)”
定義:ある特定の状況で人が遂げようとする進歩
『イノベーションのジレンマ』などで有名なイノベーション研究の大家、クレイトン・クリステンセン教授が提唱するイノベーションを生むための消費者行動理解のフレームワーク「ジョブ理論」における概念で、私なりのニュアンスを交えた言葉に直すと「5W1Hのリアルな場面が想像できるくらい具体的な特定のシチュエーションにおいて刹那に生じる、お金を払ってすましてしまいたい厄介ごと」くらいの意味に理解しています

”無消費”
定義:ジョブを満たす解決策を見つけられず何も雇用しない道を選ぶこと
同じく「ジョブ理論」における概念で、ある特定のシーンにおいてジョブが生じているが、それをうまく解決してくれる既存手段がなく放置されている、または間に合わせで既存手段を組み合わせて複雑なプロセスでそれにどうにか対処しているような状況を指す

参考記事)
ジョブ理論を読み解く~基礎編(キーワードの理解)~

なぜ「無消費のジョブ」にこだわるか?と言うと、これもまた個人的な趣向や想いに近いですが、今お困りごとを解決する手段が全く存在していない課題に取り組んだ方が、人類全体で見た際に受けられる恩恵の総量が大きくなってハッピーなのではないか?という素朴な仮説、そしてこうした「無消費のジョブ」はなぜ今まで解かれずに残っていたのか?という背景があるものが多く、もしそれが解けるタイミングが長い歴史の中で今まさに来たのであればそれはやらないと損っぽい気がするというのが理由です。

(※なお世の中にあるすべての財やサービスは何かの課題を解消しているから存在しているという考えなので、無消費のジョブに取り組んでいないサービス・プロダクトに熱中するのも等しく尊いと思っております。あくまで私が取り組む際の趣向の話です。)

② 顧客課題の広がりはあるか?

ジョブを取り巻く顧客課題が非常に深く広いか?という観点も重視しました。これは事業の伸び、プロダクトグロースの余白がとんでもなくあるか?ということと裏表であり、単純にあるジョブを起点にプロダクトを立ち上げたとしても、周辺にもう顧客課題がないのであれば、単発のサービスを提供すればそれで十分ということであり、プロダクトとしても事業としても将来性が非常に狭い = プロダクトマネージャーとして取り組む機会が少ないということになり、ワクワクする価値創造の機会が溢れているか?という観点で非常に気にしました。
※ただしこの顧客課題の広がりは、PMとしてはいかにそれを見出せるか?という腕の見せ所でもあり、広がりが見えないとした際にそれは自身の力量の問題という可能性もあるので注意したいです。(自戒)

③ プロダクトづくりのプロセスとPMの職責範囲がマッチするか?

実際にPMが担う職責・行動・プロダクトづくりのプロセスについても重視しました。
私の場合は、N1のユーザーリサーチを通じて何が実際に起きていて、何が本質的な課題であるかを定義し、それをどのような提供価値であればうまく解いてあげられるのかをしっかり検討できるようなプロダクトづくりのプロセスか?、またPMの役割がプロダクトの仕立てに閉じず場合によっては事業の戦略側へも染み出し事業とプロダクトが一体となった運営ができているか?を非常に重視しました。

以上、他にも組織カルチャーマッチや事業フェイズなど他観点も沢山ありましたが、特にこの3つの観点を重視してPM転職先を意思決定しました。


2)Why スマートバンク?

前セクションで述べた3観点に照らし、なぜスマートバンクを選んだのか?を整理して述べてみたいと思います。

株式会社スマートバンクとは?
「B/43(ビーヨンサン)」というVisaプリペイドカードと家計簿アプリがシームレスに繋がった体験のサービスを提供・運営している、toC Fintech のベンチャーです。
ユーザー体験としては、Visa加盟店であればどこでも使えるプリペイドカードにアプリ上にて銀行口座やクレカからお金をチャージし、リアル店舗やオンラインECで決済をするとほぼリアルタイムで自動でカテゴリ分けがされて家計簿がつき、プッシュ通知が飛び予算に対して使い過ぎかどうか?が都度判断できていい感じに支出管理ができるという感じのサービスになります。
・気づいたらクレカを使い過ぎてしまう人
・同棲カップル/夫婦で共同家計管理をしたい人
などには心からお勧めできるサービスなので是非試してみてください!

参考記事)
「B/43」サービスページ
株式会社スマートバンク:採用特設ページ


① 顧客課題の性質が魅力的か?

B/43が取り組む「キャッシュレス世界での家計管理」「ペアでの家計管理」はめちゃくちゃ無消費のジョブなのではないか?と思いました。
普段クレカでお買い物をしているそこのあなた、請求が来た時にその額を見て初めて「あれれぇ、おかしいぞ〜?こんなに何に使ったんだ、、、?」となった経験はないでしょうか?
パートナーと一緒に暮らしているそこのあなた、「毎月どっちがいくら払ってるけど、今月はあれも立替で払ってくれたから今度xx万円を送金して返さなきゃいけなくて、、、」と煩雑な立替精算に毎月悩まされていないでしょうか?
キャッシュレスが進み決済がフリクションレスでどんどん便利になる一方で、現金の手触り感が支えてくれていたすべての中で今どの程度自分は使っていて今月あとどれくらい使えるのか?という感覚が薄れつつあること、共働き世帯が増え様々なキャッシュレス手段を使いながら二人で共同でお金を管理する複雑性が増していることに気づき、キャッシュレスが進むからこそ、これから徐々に強さを増す無消費のジョブに取り組める環境なのではないか?と思いました

ファウンダー陣は過去にフリマアプリのフリル(現: 楽天フリマ)を立ち上げたシリアルアントレプレナーであり、サービスを立ち上げる際に無消費のジョブ×マクロトレンドの掛け合わせで作るという記事を読み、まさに自分の好きなプロダクト立ち上げの仕方をしている会社なのではないか?との確信に至りました。
参考)STARTUP LIVE #8 堀井翔太氏——イベントレポート

② 顧客課題の広がりはあるか?

「決済」という観点ではお金が払えれば良いだけなので顧客課題は大した広がりがないのでは?と当初は懸念していたのですが、Mission に書かれているように

お金を「使う」「貯める」「増やす」を誰もが当たり前にできる未来をつくる

株式会社スマートバンク / Mission

へとスコープを広げた途端、今に至っても多くの人でお金の悩みは尽きず、かつ解決されずに残っていることに気づかされます。
お金の話は互いになかなか共有し辛く、また現金で支払いをしていたとすると相当意志のある人でないと家計管理などは続かず、解決することが困難である時代が続いてきたのではないかと思います。
しかしながら、キャッシュレス化が進むにつれ、人々のお金の使い方がデジタル化され、ダイレクトにサービスが介入できるようになっていく世界線において、これらお金の悩みについても新たに解決できることが広がっていくのではないか?という仮説を抱きました。

③ プロダクトづくりのプロセスとPMの職責範囲がマッチするか?

プロダクトづくりにおけるPMの具体の役割についてもこれでもかというほどしつこく尋ねさせて頂き、ユーザーの課題定義からプロダクトの提供価値やユーザー体験設計書を作り込むいわゆるプロダクトの仕立ての部分、そして背景としての事業戦略との整合性の議論をBizDevやファウンダーらと密に行い、バランスよく業務担当されている様がわかり、一部に閉じずプロダクトや事業全体最適な視点で価値提供に取り組める素晴らしい環境だと感じました。
特に初期のスタートアップにしては非常に珍しく、専任のUXリサーチャーがいらっしゃり、様々な職種の方にお伺いをしても、N1インタビューをベースに丁寧に顧客理解を深めて、顧客が本当に求められるプロダクト作りに全員で没頭している姿が伺え、ここであれば求めていたプロダクト作りができるのではないか?と思えました。

参考)「RESEARCH Conference 2022」にCXO takejuneとUXリサーチャー瀧本が登壇しました

以上、各観点に沿ってスマートバンクを選んだ理由をあらためて言語化・整理してみました。
自身が決めた意思決定なので、選択バイアスが非常にかかっているかと思うので、うまく割引いてお読み頂けば幸いです。


3)PM転職時にしてよかったTips

最後にPM転職をこれからなさる方々へ、どのような観点を重視して転職先を選ぶかに依存するかとは思うのですが、仮に私が重視した観点を気にされるようであれば、下記のような動きをすると意思決定をする上で非常に役立ったよという Tips をまとめておきます。

a) 顧客課題の深さ/広がりについて解像度を上げる
b) 何を重要課題と見立てプロダクトをどう伸ばすか?の自分なり仮説をディスカッションする
c) プロダクトづくりの実際のプロセスを詳細に多角的に深掘り

a) 顧客課題の深さ・広がりについて解像度を上げる

顧客課題の深さ・広がりを社員の方と一緒に思い描くと、プロダクトのポテンシャルやPMとして今後取り組むであろうミッションが垣間見えて良かったです。
大体の場合自身のググったレベルでわかることなど、実際に事業やプロダクトをやっている方々からすると1割にも満たない深さ・広がりでしか見えていないので、最低限ググってわかるレベルのことは抑えつつも、失礼のない範囲でズケズケとどんな顧客課題がなぜ存在しておりどのような順でそれにチャレンジしようとしているのか?の現状把握を沢山聞くと良いと思います。
勿体無いのは勝手に自身の視野でしか見えていない課題範囲で事業やプロダクトのポテンシャルを決めつけてしまうこと、あるいはこれから自身がどんな顧客課題に取り組むのか暗中模索でアサインされそれが趣向と違った場合はとても残念な結果になると思うので是非そのような認識齟齬がないよう、、、!

b) 何を重要課題と見立てプロダクトをどう伸ばすか?の自分なり仮説をディスカッションする

上記とも近いですが、顧客課題の広がりにパラレルに対応する形でプロダクトグロース観点で直近・向こう数年の課題仮説を自分なりに整理し、自分だったらどうプロダクトを伸ばすか?の仮説を持っていくと、プロダクトの理解も深まりますし、何より自身がもし入った場合に取り組むべきミッションのイメージがつくようになります。
この辺も大体世に落ちているファクトベースでは解像度の低い、検討はずれなことしか言えないと思うので、仮説は持ちつつもほぼ死に札になるつもりで、謙虚にリスペクトを持って実際の検討状況を尋ねると大体は教えてくれると思います。
また個人的に思うのは、入る前に何をどう頑張っても伸ばせるイメージがないプロダクトは避けた方が互いのためかもということです。これは「プロダクトそのもののポテンシャル×プロダクトのコア課題解決に対する自身のポテンシャル」とした際に、後者のファクターの話をしており、プロダクトのポテンシャルやコア課題については社内の方に尋ねると現状仮説が見えていくと思うのですが、それに対して自身がどうアプローチしていいか皆目見当がつかないという場合は、その解決の道筋を立てるのがPMの仕事の一部だと思うので、自分には合わない or 手が追えないドメイン/プロダクトテーマであり、無理に手を出して火傷しない方が互いのためではないかと思います。(幾つかカジュアル面談をして自分なりに考えても自身がやれる気がしないものはアプライしないことがありました)

c) プロダクトづくりの実際のプロセスを詳細に多角的に深掘りする

プロダクトの戦略検討/仕立て検討/機能リリースまでの実際の具体的なプロセスとその中でPMが担っている役割とを明らかにすると互いに実際の役回りの期待値が擦りあってよかったです。
個人的なポイントは、まさにユーザーリサーチっぽいですが、超具体的に誰が何をやっているかを時系列で異なるロールの方に尋ねることです。プロダクトづくりのプロセスについてもどんな感じでやってますか?と抽象的に尋ねると、「UXリサーチを重視してユーザーの声を大事にしています、、、エンジニアらと一緒にアジャイルな感じで進めてます」のようなサマライズされた優等生的な答えが返ってくるのですが、そこには本来自身が知りたいリアルに現場で何が起こっているか?そこで自身が立ち振る舞うとしたらどんな動き方になるのか?にまつわる情報がごそっと削ぎ落とされてしまっており、認識齟齬が非常に生まれやすいと思うので注意してファクトを取るのが役に立ったなーと振り返って思います。

私の個人的2021年ヒット本『途上国の人々との話し方―国際協力メタファシリテーションの手法』に書いてあった印象的な記述で、人は「普段何を食べているか?」と尋ねた際の答えと、「では今日の朝ごはんは何を食べましたか?昨日の晩御飯は何を食べましたか?」と尋ねた際の答えがまるで異なってびっくり、前者で答えたものを直近で食べた日は全く記憶にないくらい実際は食べてないかもというエピソードがあります。
人はいい感じにインタビュワーが求める一般的な答えを言いがちであり、実はファクトを述べないことがあるので気をつけようねというお話でした。

参考)和田信明・中田豊一『途上国の人々との話し方―国際協力メタファシリテーションの手法』

以上、PM転職時にやってよかった Tips でした。


おわりに

非常に長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか。
いつか誰かの意思決定のお役に立てば、あるいは年末年始の暇つぶしになったのであれば幸いですm(_ _)m

P.S.
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