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第34話 月のルーナ なぜか掃除屋になる

時のユイナ

時のユイナは、3日前からいきなり調子が悪くなってしまっていて困っていました。
時の流れを管理している彼女は「未来を見通せる力」があるのですが、いきなり全く見えなくなってしまったのです。

「未来」とは、現在における「選択」によってコロコロと姿を変えてしまう非常に不安定なものです。
それでも未来を視ることは、非常に重要な意味を持っています。

時の流れとは、皆が歩いている道のようなものです。
分かれ道が現れれば、どの道を進むのか選ばないといけません。
この行為こそが「現在における選択」です。

選んだ道の先には、いったい何が待っているのか?
それは自分が選択した結果によって生まれた「未来」ということです。

時のユイナは4日前に「世界の終わり」を未来視みらいししてしまいます。
そこは黒く塗りつぶされたかのような世界で、全てが無にかえってしまっていました。
神はおろか、生命体は何ひとつ存在していません。

あせった時のユイナは、そうなってしまった原因を見つけようと、未来視みらいし探索たんさくし始めますが、何かに干渉されているようでした。
どんどん未来の映像にノイズが入り始めて、ぼんやりとしたものしか見えなくなっていきます。

そんなことを何度か繰り返していくうちに、いきなり変化が起こります。
暗闇の中に「輝くまばゆい光」がし込んできました。
それは本当に小さな光でしたが、星のようにも見えます。

その星のようなものは、輝きを増して、どんどん大きくなっていきます。

ブツン・・・

まぶしくて思わず目を閉じてしまった瞬間、時のユイナの未来視みらいしは、そこで途切れました。

そこから未来視みらいしが、全くできなくなったのです。
何度試してみても、無理でした。
1秒先の未来すら、見ることができません。
いまだかつて、こんなことになった経験はありませんでした。

時のユイナは、より良い未来へと導くために、自分たちには何が出来るのか、何をするべきなのかが、全くわからなくなってしまったわけです。
真っ暗な道を、目隠しまでされて歩けと言われているようなものでした。

最後に見た未来を、もう一度思い出すことにしました。
あの光景を解釈かいしゃくするとすれば、「世界は闇に包まれて滅びる運命」であるものの「その闇を照らしてくれるけの明星みょうじょうが存在する」ということかもしれません。

解釈が間違えているかもしれませんが、今のところそれだけが、彼女にとっての唯一の希望になりました。

けの明星みょうじょうだけど、最後は人のような形になってたよね。よく見えなかったけど、いったいあれって何者なんだろ」

そんなことを考えながら時のユイナは、海岸沿いにある森の方を見ようとして思わずビビリました。
いつの間にか原初神オリジンの「月のルーナ」が立っていたのです。

夕陽を見る女神ルーナ

彼女はユイナの妹で、この世で6番目に生まれた女神になります。
昼寝をしていた彼女を無理やり叩き起こしたので、まだ寝ぼけてる可能性がありました。
ぼ~っとしながら、水平線に沈む太陽をずっとながめています。

月のルーナは、月をつかさどる女神です。
原初神オリジンの中では最も好奇心が旺盛おうせいで、よく人間界に出入りしています。
何でもかんでもすぐに首を突っ込みたがる困った性格をしていますが、一方で人懐ひとなつっこいこともあって、どこか憎めない存在です。

へっぷし!!
月のルーナは、ぼけっとしすぎて油断していました。
夕陽の光がまともに目に入ってしまい、反射的にくしゃみが出ます。

「ちょっと!ルーナ 鼻水たれてるよ」
「うそでしょ・・・ ティッシュもってない?」
「もってないけど、うわっ! ルーナ 服のそでかないでよ。汚いなぁ」
「だって仕方な・・・へ へ へっぷしん!」
「また鼻水たらしてる・・・って、こっち来ないで!あっち行って」
「うへへへへ」
「ぎゃーーーー!」

めっちゃ鼻水がたれてる月のルーナ

などと、姉妹でわけわからない会話をしている間に太陽は沈み、夜がやってきていました。

結局のところ月のルーナは、自分の上着のポケットにティッシュを入れていたことを思い出し、チーーンと豪快ごうかいに鼻をかんでいます。

「ところでユイねぇ、こんなところに呼び出していったい何すんの?」
「掃除屋として、全国を巡回じゅんかいするの」
「それって面白いの?」
「夜だけ働いて、日中は3食昼寝付きだけど、どうする?」
「おやつは、無いわけ?」
「仕方ない、それもオマケで付けよう」
「おぉーー!その話のった!」

月のルーナは、のせられやすいようです。
そもそも掃除屋って何なのかを理解しないままで、3食昼寝とおやつ付きの条件だけで、依頼をってしまいました。
ここまでくると、ほとんど餌付えづけと同じです。

「さて、夜になったからそろそろ奈落ならくも来るかな」

どうやら原初神オリジン3神さんしんで、掃除屋というものを行うつもりのようでした。

つづく


【あとがき】
この小説の題名は「赤と黒のサンタ」です

掃除屋という稼業が「夜だけ」に限定されるのは、原初神オリジン奈落ならくが夜間にしか行動しないことが理由です

ちなみに月のルーナも、夜間行動の方が得意です
彼女の本体は「月そのもの」です
月が顔を出している夜間であれば、絶好調になるようです

全てAI生成画像です。「leonardo.Ai」さんを利用させて頂いてます

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