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「病室で念仏を唱えないでください」 第8話 正義と悪、本質はどこにあるのか

正義と悪、本質に迫る第8話 ストーリー

3件も続いた、ペースメーカー(PM)を入れたホームレスの死。救命が調べた所、この病院で使っていない業者のPMだったことが発覚し、業者と癒着している医師がいると疑惑が出た。

松本は濱田に問い詰めると、「僕を疑うんですか?」と言われてしまう。しかし、「お前は嫌な奴だけど。こういうことをする奴じゃない」と嫌いながら濱田を認めていた。

「小児用ハートセンターがもうするできるから、ことを荒らげたくない、責任は私が取る」という濱田の言葉を信じる松本。
カルテに書かれていた医師の名前は田沼。しかし、濱田はカルテを処分し、PM手術をしたデータを削除してしまう。
濱田はすぐに田沼の隠蔽を見抜き、田沼に告げるが、見逃す。

データが消された事に気付いた松本は、濱田を問い詰める。悪びれもしない濱田は、3歳の少女の心臓オペを控えていて、この件が露見すれば、ハートセンター設立は遠のき、救える命を救えなくなる、と大義を掲げる。

「大義の為に目を瞑れって言うのか?」

不正を暴く事、子供の命を救う事、どちらが正義で悪なのか。

「あんたの正義は、誰の命も救わない」

と濱田に言われ、何も言い返せない松本。

濱田が診ている患者は、3歳の少女。その為には、田沼の技術が必要で、スキャンダルを出すわけにはいかなかった。

そこに、新たなPMを入れた患者がやってくるが、財布も持たず身元が分からず意識不明。所持品から小さい子供がいると想定し、子供の命も危険だと、松本は濱田に詰め寄り、PMに関する消したデータのバックアップを見せて欲しいと頼む。

「PMの件に関して一切口外しないならお見せします。法令遵守、正義大好きのお坊さんには無理ですかね、こんな取り引き・・・」

松本の答えは

「正義なんてどうだっていい。子供の命が大事だ」

と、己の正義よりも少女の命を助けるために、歯を食いしばりながら取引に応じる。おかげで、無事子供保護することができ、母親も目を覚ますのだった。


治験に参加する為、泉谷さんは入院する事になるが、その直前立ち寄った蕎麦屋で、濱田と相席になる。
お互いの素性を知らない中、話をする。

「臨機応変に対応できない僕には救急医はできない。儲からないし。
 それに、腹黒い悪徳医師ですから」

と語る濱田。
泉谷は、こう返す。

「悪徳の医者が、こんな可愛いぬいぐるみを作らないでしょう。悪の反対は正義でもないし、逆もまた然り。白黒はっきりつけられないことが多い。二者択一からの自由、たしか、両忘。友達の医者が、そう言ってました」

「なるほど、その方いいこと言いますねぇ」

と、素直に話を聞く濱田。

3歳の少女の手術に臨む濱田。難しい手術だが、無事成功。母親は濱田に感謝を伝える。そして、術前に、チャプレンに行って僧侶として接した松本に、「いい先生だから大丈夫だ」と言われたことを伝える。「いい人です」と。
そして、その少女の祖父は、心臓外科学会の大物。これで小児ハートセンター設立は確実となるのだった。

術後、濱田はPMで癒着していた田沼に「今までお疲れさん」と声をかけ、飛び蹴りをする。「君はこれで用済み、この病院を去れ」と言う。田沼を庇っていたのは、この手術を成功させる為だった。
「先生も悪い人だな」と田沼に言われると、

「悪いですよ。悪い。悪いけど一緒にするな!僕のは、患者に必要な悪だ。
 薄っぺらい悪とは違うんだよ」

と語気を強めて答える濱田。

田沼は瀬川に「あんたも大変だろ?こんな怖い人の下で奴隷やって」と言う。
瀬川は「ですね」とは言わず「いや、僕は・・・」と言いかけると、濱田が割って入る。
「医者は、神でも法でも正義でもない。命の奴隷だ」と、投げかけ、癒着を公表しないよう釘を刺して去る。そんな濱田の姿を、嬉しそうに微笑ましく眺める瀬川だった。

松本は子供を助けに行く騒動で入院に付き添えなかったが、無事入院できた泉谷さん。ここの病院の先生と話したら不安もなくなったと言う。お昼も奢ってもらって、病院内のことを詳しく教えてくれたと。名前を聞き忘れたが、そんないい先生いたっけ?と話し合うが、他ならぬ濱田だった。

ついに小児用ハートセンター設立に着手するが、濱田が手術した3歳の少女の容体が急変してしまう。


「正義と悪」本質はどこにあるのか

今回は、「両忘」を始め、正義と悪など、二者択一ということが描かれる会となりました。今回も、大ボリュームになりそうなので、「両忘」については後編にお送りします(笑)

今回は、松本と濱田に見る「正義と悪」について述べて参ります。

医者として、人を助けるのは当然「正義」です。しかし、松本と濱田(これ、恥ずかしながら今気付いたけど、ダウンタウンを意識してたんですね・・・)は、それぞれ「命を助ける」という共通の目的があります。違うのはその手段。

なんだかんだ不満や文句を言い、いがみ合いながらも、二人はお互いを認めています。命を救う目的も同じです。しかし、手段をの違いこそが、お互いを認めない部分であり、それが「悪」に見えしものとなっています。

濱田は、自身の大義でもあり、目的である「小児用ハートセンター」を設立するため、3歳の少女の命を救う為に、田沼の悪事を一時的に目を瞑りました。そして、松本に対しても、少女の命を人質に取引を仕掛けました。

松本は、医者で僧侶でもあるので、助けられるなら誰でも救う。だからこそ救命医にもなったのですが、松本から見た濱田は、助けられない人は見捨てるとも取れ、患者を選ぶことが許せません。しかし濱田からすれば、松本がしていることはギャンブルのようなもので、しっかり準備して確実に救いたい自分には合わない。それに、救命は儲からない。お金がなければ、人を救うこともできないという道理もあります。

そういう視点で見れば、お互い考え方も手段も違い、見方によっては悪にもなり得ます。しかし、お互い自分に正義があるとも思っています。

正義と悪が何かを語ることは難しいですが、今回の濱田の行動から本質を見ていくと、己の正義を成す為に、「悪」を成すことは厭わない、という感じです。言うなれば、成果を出す為に犠牲は問わないとう軍人のようなタイプかもしれません。そして、自分自身のことを「腹黒医師」とも言っており、悪であることも認めています。

松本は、手段にもこだわり、正しく手段で目的を果たしたいんでしょうけど、松本も大概ルールを破ります(笑)
完全な悪はなく、完全な正義もない。だからこそ、余裕が生まれ、許されるのではないでしょうか。もし、完全な正義と悪があるならば、救われるものも救われません。もちろん、悪を許すことを前提にはしませんが、「せいをおかげに」と発信しているように、悪は正義にもなり得るし、正義も悪になり得ることを忘れないことが、本質に近くことなのではないでしょうか?

ここ数回で、濱田の本音が見られるようになりましたが、この回が濱田アゲになったのではないでしょうか。ただ、物語の流れとか常識的に見て、必要悪だとしても、それがまかり通ることはまずないと思うので、どのような結末になるか気になるところです。


「嫌い」にこそ隠れている自分に必要な本質

絶対的な正義と悪はない、と認識することが本質に近くと述べましたが、もう一つは、表面的に物事を見ないということが大事です。

この回でも、存在や感情を伏せたことで、お互いが認め合っていることを描いていました。

泉谷さんが、蕎麦屋で濱田と話している時に、松本が言っていった「両忘」ことを、「友達の医者」がこんなことを言っていた、と話したら、「その人、いいこと言いますね」と答えました。そして、濱田の名前は聞き忘れたけど、不安をなくしてくれた先生がいたと松本に話したら、「そんな優しい先生がいたんだぁ」と答えました。

表面に捉われずウラヨミしようと発信していますが、姿形があるものは、気にしない方が難しいです。ましてや、嫌いな相手であればなおさら。しかし、嫌いな相手ほど、自分に必要な本質を隠し持っているものです。「嫌い」という感情は、注目させる為にあり、嫌いな所を取っ払った所に、本質があるんだと思います。

「嫌い」だから「悪」になるわけではありません。それは、その奥にある本質を得る為の「必要悪」であり、「せいをおかげに」変えられるものだと思っています。

善悪に厳しい人は、納得しないかもしれませんが(笑)、濱田のように、自分が医療にとっての必要悪であり、「小さい子供の命を救う」という大義を果たす為には、「悪役」が必要なのかもしれませんね。


というわけで、今回も長くなってしまったので、まだまだ語りたいことは次回に回します(笑)松本さんファンの方は、次回の配信をお待ちくださいね(笑)

と言っておきながら、麗しき松本さんを貼っておきます(笑)

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