『ザ・ハント』
アメリカでは一部の政党の批判にも繋がるためか評判が芳しくないどころか、全米公開中止にまで発展してしまった『ザ・ハント』。たしかに、ややリベラル寄りに偏ってはいるが、映画は映画であって、その観点から見ると最高のサバイバル・スリラー、ソリッド・シチュエーション・スリラーである!
富裕層主催で、追われる側が貧困層という構図と、森から始まる広大なフィールドを舞台にしたサバイバルという設定は『ハンガーゲーム』に似ているが、『ハンガーゲーム』以上に殺人サバイバルの色合いが濃い。追われる側が襲う相手が分からないという点では『ウトヤ島、7月22日』に非常に近い。
次々とめくるめくデスゲームな展開は予測不能で、12人の追われる側の中から誰が主人公かわからず、次々と視点が変わる斬新な展開。加えて、残酷・ゴア描写は容赦なく、人体破壊が凄まじい思い切りが良い展開。後半には銃撃応戦や派手な格闘アクションもあり、見応え抜群!
単純なサバイバル・デスゲームながらアメリカのある政党に対する揶揄も随所に散りばめられているが、そこはそちらがメインではなくあくまでもテイスト程度で。しかしながら、ガチガチの社会派映画ではなく、あくまでもサバイバル・スリラー、ソリッド・シチュエーション・スリラーであって、『CUBE』や『ソウ』と比べると、主催側の意図や理由も90分の尺でしっかりおさめてるから、ソリッド・シチュエーション・スリラーとしても非常にシャープで、控え目に言って傑作と言えよう!
評価:★★★★★