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発売する書籍の「まえがき」を公開します(リクルートに会社を売った男が教える 仕事で伸びる50のルール)

6月21日(月)発売予定の自著、『リクルートに会社を売った男が教える 仕事で伸びる50のルール』(フォレスト出版)の「まえがき」部分を全文公開致します。


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はじめに 


――「想像」と「実行」の繰り返しが仕事と人生の未来を切り拓く


「いったい、なんのために仕事をしているのですか?」

  これは、多くのビジネスパーソンのメンターとして、いつも僕が発するごく基本的な問いだ。シンプルな問いだけれども、あなたは、自信を持って即答できるだろうか?

 お金のため。食べて、そして生きていくため。そういう答えも、たぶん間違いではない。


 しかし、完全に割り切るとしたら、仕事をすることは「必要悪」ということになってしまう。大切な、1回きりの人生。本当にそんな考え方でいいのだろうか?

 仕事は、人生の大半を費やすものだ。だからこれを単なる「必要悪」だと考えてしまったら、その人生は全体として不幸なものになる。起きている時間のうちの大半を、ただ「早く終わらないかな」と、時計だけを眺めてすごすことになるのだから。


「仕事」というものが持つ、特筆すべき特徴はなんだろうか?

 それは、趣味とは違って、仕事には「リスク」があるということだ。裏を返せば、だからこそ、仕事にはスリルがある。仕事での失敗は金銭的なダメージに直結するし、悪い場合には人生のプランをも狂わせることにもなる。仕事にはそういった現実的なリスクがあるからこそ、逆に、人生を変えるくらいの、とてつもなく大きな利益を得ることができるのだ。

 だからこそ、仕事がうまくいったときの喜びは大きい。リスクのない「趣味」から得られる楽しみも悪くはないが、仕事から得られる喜びは、ほかのものとはまったくレベルが違う。まさに、段違いの喜びを得ることができるのだ。


 僕は、かつて、創業した会社を5年後にリクルートに売却した。創業から売却に至るまでの起業時代は、人生におけるリスクが極めて大きい期間でもあった。

 今とは違い、システムを作るのに大きな資本が必要な時代だ。システム費用や自前サーバのリース費として5,000万円、銀行からの運転資金融資で5,000万円、合計1億円を「会社代表個人の連帯保証付き」でずっと借りつづけているという状態だった。

 しかし、そのリスクを取りに行ったからこそ、仲間と一緒に事業を作り上げ、そしてまったく想像もできなかった世界を見られるという貴重な体験を得た。このときの経験は、今の僕のすべての基礎を作る、何ものにも代えがたい根本の要素になっている。


 仕事は、真剣勝負であるからこそ、本当の意味での成長が実現できる場でもある。仕事を通じ、多くを学び、成長し、そして人格も形成されていく。これらこそ、仕事をするということの真の意味だといえるだろう。仕事をしてお金を得ることは必要条件ではあるが、決して十分条件ではないはずだ。

 これまで、多くの経営者、起業家、若手リーダーのメンターを務めてきたことで気がついた事実がある。それは、「仕事に真剣に向き合って自己成長を実現してきた人ほど、人間として本当に磨かれた存在になっている」ということだ。これは、本当に大切なこと。仕事、そして自分の限界に真摯に挑んできた人が、本当に尊敬される大人になっているのだ。


 では、正しく成長するために大切なことは何か?

 それは、常に自分なりの「想像力」を磨きつづけることだ。仕事を、単に作業としてこなすだけでは何も得られない。人生における貴重な時間を、ただ賃金に変換するだけなんて非常にもったいない話だ。自分の中での真剣な「想像」を追求することにより、それが大きな実行力を生む。そしてそれを繰り返すことにより、自分自身の正しい成長へとつながるのだ。


 では、仕事において、「想像」すべきこととはなんだろうか?

・今ここで、自分が出すべき価値は?
・相手が本当に欲している結果は?
・この課題の本質はどこにあるのか?
・5年後、10年後の世界の姿はどうなっているのか?


 このような「想像」を突き詰めることは、とても大切だ。しかし多くの人は、あまり何も考えずに仕事をこなしているだけか、想像しているつもりでも、まだ踏み込みが足りないレベルに留まっている。もっと高いレベルで想像を繰り返すことにより、自分の仕事の質を高め、求められる結果を出し、そして、理想的な成長を実現することができるのだ。

 振り返ってみると、僕自身も、若い頃からこれまでずっと「想像しつづける人生」を歩んできた。まだ見ぬ世界を想像し、それを確かめるためにバックパッカーとして世界を旅した。自分が世の中に与えられるインパクトを想像し、それを実行してみるために起業した。その起業の経験を世界にも広げる想像をし、事業を売却、また一からアジアでの教育事業をスタートした。

 こうやって「想像」と「実行」を繰り返すことにより、たくさんのことを手がけ、実現させてきた。そして、今がある。自分が繰り返してきた想像と実行のサイクルをほかの人に共有すること、それが自分のメンタリングのスタイルだ。人がうまく「想像」できるようにサポートし、そして、自己成長のために一緒に考え、最後に背中を押しているのだ。


 さて、今この文章を読んでいるあなたは、仕事をする中で、いつも十分な「想像」はできているだろうか? その結果、進むべき方向が見え、正しい成長を実現できている、そのような実感をしっかりと持っているだろうか? 誰か信頼できる人に、客観的に自分のことを相談したいと思ったことはないだろうか?

 本書は、読者の皆さんに対し、1対1のメンタリングセッションをする気持ちで書いた。これまでの実際のセッションの中で抽出された、仕事に向き合うために大切な「50のルール」を提示する。それらは決してマニュアルではなく、どのように想像し、行動すべきかという、「自分で考えるための指針」となるように書いた。だから、それらを単に受動的にインプットをするだけではなく、常に自分自身に置き換え、深く掘り下げ、思考のアウトプットを意識しながら読んでほしい。


 50のルールは、どの順番で読み進めていってもらってもかまわない。そして、50のルールを深めるためのそれぞれの「ワーク」によって、自分の奥底に眠っている考えを言語化し、自分の本当の能力を引き出してほしい。それが「想像する」ということであり、自分自身の確かな成長へとつながる道だ。

 本書は「仕事」に向き合うビジネスパーソン向けに書かれたものだが、たとえば学生でまだ仕事を持っていない場合、それを「自分が取り組むべき課題」と読み替えてもらってもよい。必ず、これからのためになると思う。

 今から皆さんに提示する「50のルール」、そしてそれぞれのワークを通じ、冒頭の「なんのために仕事をしているのですか?」という問いへの手がかりを、ぜひとも自分自身で見つけ出してほしい。そしてそれが、皆さんの良い仕事、キャリア、そして人生の道しるべとなることを心から願う。

 

 さあ、では今から、「メンタリングセッション」を始めよう。



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ぜひ、一人でも多くの方に手に取っていただきたいと思っております。皆さんからのご感想も、心から楽しみにしております。

アースメディア  松本 淳


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