「SNSポートフォリオ」は重要。 そして、LinkedIn(リンクトイン)が超お勧めという話。
「自分にはツイッターが合ってるはず」と思ってる人、それは果たして本当だろうか? 確かにユーザ数も多いし、140文字の投稿がメインなので気軽にツイートもしやすい。世の中の最新の動向も、ツイッターを眺めているだけでなんとなく把握できる気になってしまう。
しかし、どのSNSにどれだけの時間を投下するかということは、今後、ますます重要な問題になってくると思う。SNSの利用は世界的に広まる一方で、生活にも欠かせないものになりつつある。今後、多くの人は、SNSにさらに多くの時間と精神力を費やすようになると予測しているからだ。
世の中に、主要と言われるSNSはすでにいくつも存在しているし、新しいSNS(動画や音声メインなものも含め)も続々と誕生している。だから、なんとなくという理由で漫然とSNSを選ばない方がいい。もし、SNSを、仕事や自分の人生の目標に活用しようとするのであればなおさらだ。
各種のSNSは、それぞれユニークな特徴を備えている。機能はもちろんのこと、ユーザ層やカルチャーも、各々のプラットフォームによってまったく別の世界だ。だから、定期的に「自分に合う」SNSを確認することは大切だ。
いまや複数のSNSを並行して使うこともごく普通で、組み合わせ方も様々。自分のキャラクター、目的、つながる人々、それらの要素を総合的に考えた上で、自分の「SNSポートフォリオ」を定期的に見直した方がいいと思う。それにより、人生の貴重な時間をより有効に使うことができる。これからも、たぶんSNSに多くの時間を使うのだから。
以下、僕のこれまでの経験に基づき、あくまで「主観」によるものだとことわった上で、各SNSのメリットとデメリットをそれぞれ挙げていきたいと思う。
ツイッターの問題点に関しては、前回での記事で書いた。
ツイッターは日本では非常に人気があるし、その拡散力も強い。僕も日常的に利用していて、仕事にもプライベートにも大きな恩恵を受けていると認識している。一方で、ツイッターは日本国内では「匿名アカウント」の利用が多い。そして、匿名アカウントの中には、本当の自分とは大きく乖離した「ファンタジー」な自分を作り、相当に盛った運用をしている人もいる。
上の記事への反応で、「ツイッターにはすごい人が多いと思い込んでいて、今まで落ち込んでました」などという意見が多く寄せられた。ファンタジー垢の盛り盛りのスペック(年収○○○○万円とか外資エリートとかトップセールスとか)をそのまま信じてしまう人は意外と多い。本物もいるのだろうが、はたして実際の割合はどれくらいなものだろうか。
そういうアカウントからの発信をネタとして楽しむ分にはいいのだが、それを頭から信じ、彼らのいう「仕事術/人生術」を学ぶことに、真剣に時間を使いすぎてはもったいないと思う。
FBは、ある一定以上の年齢層に関しては「名刺代わり」という効果を持たせることができる。欧米諸国やアジア諸国だとビジネスSNSはLinkedInがデフォルトだが、日本だけがガラパゴスな状況になっていて、FBがビジネスSNSの役割も兼ねるという特殊な状況が続いている。
しかし、FBは元々が大学のクラスメート同士をつなげるというアイデアから出発している。だから、今でも極めてプライベートな文化を維持していると感じる。つながりは、基本的には実際に会ったことがある人がベースだ。旧友を温める分にはいいが、新しい出会いというものがあまりない。コロナ禍において、リアルで新しく出会う機会が減っている。だから、FBでのつながりはあまり増えない状況になっている。
ビジネスに活かそうにも、プライベート色の強さが邪魔をすることがある。新しいつながりが広がらないし、目に入る投稿は、リアル知人の豪華な食事とか、スポーツとか、家族とか、そういったリア充的なものが大半を占める。
たまに議論らしきものを試みる人もいるが、アルゴリズム的に、自分のネットワーク以外にはほぼ拡散しない。だからいつも(安全圏の)身内だけでしゃべってるに近い状況になる。FBを「大人の絵日記」だと喝破した人がいたが、まさにぴったりなネーミングだと思っている。
note
noteをSNSと呼ぶかどうかは議論が分かれるところだが、note単体のネットワーク性というより、ツイッターなどのネットワークと共存する生態系だと考えるとわかりやすい。ツイッターの140文字では書ききれない深い内容を、noteに書いてツイッターから誘導するというイメージ。僕はそうやって使ってるし、似たような使い方をしてる人も多い。
ツイッターと比べたときの利点は、長い文章が書けるので、より深く詳しい考えを他者と共有できること。あと、アーカイブ性もあるので、過去の記事も良く読まれる。ツイッターは非常にフロー性が強く、過去のツイートが読まれることは稀だが、noteでは「自分のコンテンツが積み上がっていく」感覚がある。積み上がるのはフォロワー数だけというツイッターと違い、この部分はとても貴重だ。
だから、長い文章を書くのが好きな人にはお勧めできる。実感値でも、ツイッターだけをやってるよりも、note経由でフォロワーさんに自分の考えをより深く伝えることができていると感じる。しかし文が苦手な人にとってはつらく、「ツイッターでは面白い人だけど、noteだと残念ながらイマイチ」というケースも見たりする。自分の特性、そして使う目的を考えて活用すればいいと思う。
Youtube
僕はずっとHR界隈で仕事をしているけど、HR業界にも、Youtubeを積極活用する会社が非常に増えてきた。特に人材採用の領域に関してはいろいろ工夫された動画が日々作られていて、見ていてもとても興味深い。
自分もYoutubeを撮影・編集したり、他の人から呼ばれて出演もしてきたけど、一番のネックは「とにかく制作に時間もパワーもかかる」ということ。動画がバズれば効果は大きいだろうが、普通の人や会社が動画を投稿しても、再生回数はせいぜい数百回、行っても普通は数千回レベルだ。費用対効果を考えたとき、それがきちんとペイしているかどうかを考える必要がある。
あと、動画の世界ではどうしても見栄えや話術が重視される。起業家Youtuberも増えてきたが、人気のアカウントは、やはり良いルックスを持っている人が多い。同時にしゃべりのテクニックも重要で、いかにイケメンな人でも、しゃべりがダメな人ではなかなか伸びない。これも、やはり自分の特性をよく考えて使うべきだと思う。
Clubhouse
ここしばらく、SNS界の話題はクラブハウス一色だったといってもいい。僕もいくつかルームを主催したが、有名なスピーカーを呼んだときなどは、告知もごく短期間だったにも関わらず700名以上の方に参加頂いた。zoomイベントでは、1ヶ月以上告知してもこれまで最大で300名の集客だったことを考えると、音声系SNSというのは大きいポテンシャルを持っていると感じる。
今のところ、クラブハウスは、「陽キャ」「陰キャ」(明るい人、暗い人)ともに、それぞれの使い方があると感じている。例えばリアルの会話に強く、度胸に自信のある人であれば、手を上げてバンバン発言し、新しい人とつながることができる。実際、20代の起業家が50代の投資家に飛び込みアプローチをしてチャンスをつかんだ、みたいな例はその辺にゴロゴロ転がっている。
また一方、自分が陰キャだと自負する人は、これまで業界人や起業家が集まるような飲み会やパーティは苦手だったと思うが、そういう場所に参加しなくとも、非常に「コア」な話をここで聞けるようになった。特にスタートアップ界隈にいる人であれば、ビジネスのチャンスやヒントがかなり拾える。これは、うまく使えばとても良い機会になると思う。
しかしながら、すでに多くの人が言ってることだが、音声系SNSの問題点は「ハマりすぎること」だ。積極的に発信しようと思えば、知らぬ間に膨大な時間を使ってしまう。しかも、それだけ時間を使って話をしたことが、一切アーカイブされないのだ。ある意味とても非効率だともいえる。
いま、ツイッターやFacebookも音声系の機能を準備中だということだが、いずれにせよ今後も注目すべき分野だと思う。
いま、僕がいちばん力を入れているSNSがLinkedInだ。ワールドワイドではユーザ数が7億人を超え、ビジネスSNSとしては事実上の標準プラットフォーム。過去の経緯により日本ではまだ普及が遅れているが、これからのグローバル化の潮流において、日本でもさらに普及が進むと予測している。
これを「ビジネス利用」として見た場合の利点は多い。Facebookはプライベートな世界だが、LinkedInは「新しいつながり」を積極的に志向する。また、ツイッターは匿名ファンタジーなアカウントが多いが、LinkedInは基本すべて実名アカウントだ。優秀な人、実力者がとても多い。僕はこれを、ビジネス利用における、ツイッターとFacebookの欠点を補った特長だと捉えている。
以前は日本語版のUIが不完全だったために、LinkedInは英語で使うSNSだと勘違いしている人も多いが、いまは、日本語オンリーの運用でもまったく問題ない。投稿も、例えばツイッターに投稿した文をそのまま転載してもいい。フォロワー層が違うので、違った人々に届けることができる。実際に最近は、ツイッターユーザーの参入も増えてきた。
問題は、前述したように、まだ日本ではユーザ数が多くはないこと。国内利用者は約200万人ということだが、これからもっと増えればいいなと思っている。LinkedInを使う人が増えれば、日本でも、ビジネスにおいてのSNS利用がもっと加速すると感じている。
以上、自分のSNS経験から、主観に基づく見解を述べてみた。それぞれのビジネスパーソンが、それぞれの立場、目的を持ち、そして独自のキャラクターを持っているはず。それらを良く考えた上で、これからも、楽しく効果的なSNS活用をしていけばいいと思う。
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