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このノートでは、法学部など卒業後に金融機関を志望される方、既に金融機関に入社され現在勉…

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このノートでは、法学部など卒業後に金融機関を志望される方、既に金融機関に入社され現在勉強中の方、大学等で金商法などを勉強されている方、金融商品取引の仕組みや実務に興味をお持ちの方向けに、金融実務について色々な角度からご紹介していきます。知識や理解の一助になれば幸いです。

マガジン

  • 実務から見た金融商品取引の仕組み

    このノートでは、法学部など卒業後に金融機関を志望される方、既に金融機関に入社され現在勉強中の方、大学等で金商法などを勉強されている方、金融商品取引の仕組みや実務に興味をお持ちの方向けに、金融実務について色々な角度からご紹介していきます。知識や理解の一助になれば幸いです。短く読みやすい記述を心がけています。

最近の記事

信用取引の配当落調整金 2

投資家が証券会社から買付代金を借りて、信用取引により株券を買い付ける場合、買い付けられた株券は買付代金債務の担保となるため、株券の名義は、買主ではなく、買付代金の貸主(証券会社や証券金融会社)に移転します。 そのため、配当金支払いの基準日をまたいで買い建玉を保有していたとしても、買主に配当金は支払われません。一方で、配当落ちにより一定程度株価が下がるため、買主にとって、一時的に売り返済により調達できる金額が減少するという不利益が生じると考えられます。 これに対して、配当金

    • 信用取引の配当落調整金 1

      配当金は、基準日における株券の所有者(名義人)に支払われます。 株券の消費貸借が行われる場合、株券は種類物なので、株券の名義は借主に移転します。基準日において名義が借主にあれば、配当金は株券の発行体から借主に対して支払われます。 株券の借主が売買などにより株券を他者に譲渡すると、株券の名義は買主に移転します。基準日において名義が買主にあれば、配当金は株券の発行体から買主に対して支払われます。 一方、信用取引においては、決済前の建玉の保有が配当金支払い基準日をまたぐ場合、

      • 有価証券の売買 3 自己取引と流動性の提供

        店頭FX業者は、第1種金融商品取引業者です。自己の計算・自己の名義で顧客との間で「店頭デリバティブ取引」を行います。 金商法上、自己の名義・自己の計算で金融商品の売買やデリバティブ取引を業として行うことは、第1種金融商品取引業とされています。 金融商品の自己売買やデリバティブ取引には、市場に流動性を提供するという重要な機能があります。 流動性の提供とは、売り手に対して「買い手になってあげること」であり、買い手に対して「売り手になってあげること」とです。顧客に対して、売り

        • 損失補填 1 自主的な紛争解決と損失補填

          有価証券売買取引等において、金融商品取引業者の故意・過失により、顧客に損害が発生した場合、私上の一般原則のもとでは、業者は顧客に対して損害賠償する必要があります。 しかし、損失補填禁止の原則のもとでは、有価証券売買取引等において、金融商品取引業者の故意・過失により、顧客に損害が発生した場合であっても、業者が顧客に対する損害賠償を自由に行うことは、原則、禁止されています(金融商品取引法39条1項・2項)。 有価証券の売買等も私人間の取引です。有価証券取引において、金融商品取

        信用取引の配当落調整金 2

        マガジン

        • 実務から見た金融商品取引の仕組み
          34本

        記事

          株券等の取得価額の計算 〜 信用取引の場合

          これに対し、信用取引により、複数の異なるタイミングで株券等を買い付ける場合、取得価額は、「総平均法に準ずる方法」ではなく、「個別法」により、信用取引により買い付けた株券等(買い建玉)ごとに計算されます。 株券等を複数の異なるタイミングで買い付けた場合、その都度取得コストが異なる点で、通常取引と信用取引で異なる点はありません。 ただ、通常取引の場合と異なり、信用取引の場合、「ならして平らにする」ことは行われません。 裏を返せば、信用取引で買い付けた株券等を売り付ける場合、

          株券等の取得価額の計算 〜 信用取引の場合

          株券等の取得価額の計算 〜 通常取引(現物株)の場合

          「同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費」については、国税庁のサイトで詳しく説明されています。 買い付けた株券等を売り付けて譲渡益(=「売付け価格」−「取得価格」)が出ると、譲渡益に対して課税がされます。 譲渡益を計算するためには、前提として、その売付けに係る株券等の取得価額(取得コスト)を計算しておかなければなりません。 通常取引(信用取引でない)によって、複数の異なるタイミングにおいて株券等を買い付ける場合、取得価額は、「総平均法に準ずる方法」

          株券等の取得価額の計算 〜 通常取引(現物株)の場合

          取引所取引 清算 〜売買債務の履行方法 3

          証券会社は、残った債務については、期日までに現実の履行として、中央清算機関に対し株券等の引渡しを行い、また、代金の支払いを行います。 中央清算機関は、原則、すべての証券会社からの債務の履行があったことを確認し、証券保管振替機構に対し株券等の振替指示を、資金振替機関に対し資金の振替指示を行います。 これにより、債権者たる証券会社に対する株券等の引渡し(振替)と代金の支払い(振替)が完了します。 売買関係の清算に中央清算機関が介在することにより、清算関係は簡素化し、先履行に

          取引所取引 清算 〜売買債務の履行方法 3

          取引所取引 清算 〜売買債務の履行方法 2

          そこで、取引所取引では、中央清算機関という情報センターを登場させます。中央清算機関は、取引所が兼ねる場合もありますし、独立した機関として設立されることもあります。 証券会社は、日々の取引が終了した時点(引け後)において、膨大な数量・金額におよぶ、①株券等の引渡し債権、②株券等の引渡し債務、③売付け代金債権、④買付け代金債務、を負うことになります。 中央清算機関は、これらの権利義務のうち、②と③の債務をすべての証券会社から引き受けるとともに、①と④の債権を取得します。 す

          取引所取引 清算 〜売買債務の履行方法 2

          取引所取引 清算 〜売買債務の履行方法 1

          取引所取引による売買においても、約定が成立しているのであれば、ある銘柄を売った側の証券会社(取引所会員)と買った側の証券会社(取引所会員)がいます。 売買である以上、売り手は買い手に対し株券等の引渡しを、買い手は売り手に対し買付け代金の引渡しをしなければなりません。 2当事者間の頻繁な取引であれば、相殺することにより、債権債務関係を簡素化することは比較的容易です。 しかしながら、証券会社は、自己の注文と対当したのがどの証券会社のどの注文かは通常わかりません。 物理的に

          取引所取引 清算 〜売買債務の履行方法 1

          証券口座 4 入金元銀行口座と出金先銀行口座の同一性

          顧客が自己の証券口座に入金するということは、例えば、顧客がA銀行に依頼して、顧客のA銀行口座から証券会社のB銀行口座に資金を移動させるということです。 これに対し、顧客が自己の証券口座の資金を出金するということは、例えば、顧客の指示を受けた証券会社がB銀行に依頼して、証券会社のB銀行口座から顧客のA銀行口座に資金を移動させるということです。 マネーロンダリングのポイントは、資金移動を繰り返して、犯行現場から一歩でも遠く離れたところに資金を移動することです。 そうすると、

          証券口座 4 入金元銀行口座と出金先銀行口座の同一性

          証券口座 3 異名義入金

          証券会社は、銀行と異なり、同一名義人間、異名義人間を問わず、もともと資金の振替業務を行いません。 バーチャル口座は、証券会社の銀行口座に振替送金された資金がどの顧客からのものかを確認するための仕組みです。 したがって、証券会社は、バーチャル口座を割り当てた顧客「以外」の者から振替送金された資金について、当該バーチャル口座への着金を認めることはできません。 証券口座では、システム上、異名義人からの振替入金をブロックし、同一名義人からの振替入金のみを着金させるための仕組みが

          証券口座 3 異名義入金

          証券口座 2 入金と出金の仕組み

          銀行は、金銭の振替業務を行います。 銀行は、顧客のために預金口座を開設し、顧客から預金として金銭を預かります。 銀行は、顧客の預金口座内の金銭について、顧客から指示があれば、他の銀行に顧客が保有する預金口座への振替送金(同一名義人間振替)や第三者の預金口座への振替送金(異名義人間振替)を行います。 これに対して、証券会社は、銀行のような金銭の振替業務を行うことはできません。 証券会社に証券口座を開設した顧客は、有価証券の買付けのための資金を顧客の証券口座に入金します。

          証券口座 2 入金と出金の仕組み

          有価証券の売買 2 対公衆性

          金融庁のパブリックコメントでは、金商法第2条第8項各号のすべての行為類型について、「業として」行うことが「金融商品取引業」の要件であると示されています。 「業として」行うとは、一般に「対公衆性」のある行為で「反復継続性」をもって行うものをいうとされています。 そして、「対公衆性」とは、「不特定多数の者を相手に取引すること」ないし「大衆を相手にして行うこと」を意味するとされます。 パブリックコメントでは、「対公衆性」や「反復継続性」については、現実に「対公衆性」のある行為

          有価証券の売買 2 対公衆性

          証券口座 1 銀行口座との違い

          銀行は、顧客からの「預金…の受入れ」を行うことができます(銀行法2条2項1号)。この「預金」の受入れは、銀行業の免許を取得しなければ認められない業務です。 一方、証券会社は、「その行う第1号から第10号までに掲げる行為に関して、顧客から金銭…の預託を受けること」ができます(金融商品取引法2条8項16号)。 この金銭の預託を受けることは、銀行法の「預金の受入れ」とは区別されます。証券会社は、あくまで「その行う第1号から第10号までに掲げる行為に関して」金銭を預かることができ

          証券口座 1 銀行口座との違い

          金融商品取引業と手数料収益

          証券会社の収益源のうち、代表的なもののひとつとして、顧客から徴収する上場株券等の売買取次ぎ手数料があります。 2000年に入り、オンライン証券が登場してから、個人投資家による株券取引が活発になるとともに、この取次ぎ手数料の値下げ競争が激しくなりました。 最近では、取次ぎ手数料の無料化の動きまでが現実味を帯びてきています。 金融商品取引法では、「金融商品取引業」の定義に有償性は含まれず(「投資助言業」を除く)、また、顧客から対価の徴収方法についても規定がありません。 金

          金融商品取引業と手数料収益

          上場株券等の信用取引 2

          信用取引(一般信用)による買付けでは、顧客は、信用取引による買付け注文であることを示して、証券会社に対して買付けの委託注文を出します。 その際、顧客は、少なくとも買付け代金の30%を保証金として証券会社に差し入れる必要があります。 証券会社は、自己の名で取引所に対して買い注文を出し、対当する売り注文があれば、売買は成立(約定)します。 証券会社は、顧客に対して買付け代金「全額」を貸し付けるとともに、売買契約の当事者として期日までに買付け代金を支払います。 買い付けられ

          上場株券等の信用取引 2