証券口座 2 入金と出金の仕組み
銀行は、金銭の振替業務を行います。
銀行は、顧客のために預金口座を開設し、顧客から預金として金銭を預かります。
銀行は、顧客の預金口座内の金銭について、顧客から指示があれば、他の銀行に顧客が保有する預金口座への振替送金(同一名義人間振替)や第三者の預金口座への振替送金(異名義人間振替)を行います。
これに対して、証券会社は、銀行のような金銭の振替業務を行うことはできません。
証券会社に証券口座を開設した顧客は、有価証券の買付けのための資金を顧客の証券口座に入金します。
しかし、厳密にいうと、ここでは、顧客が銀行に保有する口座から証券会社が銀行に保有する口座へと金銭の振替(異名義人間振替)が行われています。
顧客自身が保有する口座から別途当該顧客が保有する口座への資金の振替(同一名義人間振替)が行われているわけではありません。
証券会社は、自己の名義かつ顧客の計算で有価証券の売買を行い、他方で、顧客から証券会社の銀行口座に振替送金された金銭を買付け代金債務に充当するということが行われます。
このとき、証券会社は、自己の銀行口座に対して、どの顧客からいくら振替送金されたのかを確認できなければなりません。
そのため、銀行は、証券会社に対して「バーチャル口座」の仕組みを提供しています。
バーチャル口座は、証券会社が保有する銀行口座の中にあり、証券会社の顧客1人に対しバーチャル口座が1口座割り当てられます。
証券会社の顧客は、証券会社から割り当てられたバーチャル口座に有価証券の買付代金を振替送金します。
これが一般にいう「顧客が自己の証券口座に入金する」ということです。
これにより、証券会社は、銀行口座に振替送金された金銭がどの顧客からのものかを確認することができるのです。