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信用取引の配当落調整金 2

投資家が証券会社から買付代金を借りて、信用取引により株券を買い付ける場合、買い付けられた株券は買付代金債務の担保となるため、株券の名義は、買主ではなく、買付代金の貸主(証券会社や証券金融会社)に移転します。

そのため、配当金支払いの基準日をまたいで買い建玉を保有していたとしても、買主に配当金は支払われません。一方で、配当落ちにより一定程度株価が下がるため、買主にとって、一時的に売り返済により調達できる金額が減少するという不利益が生じると考えられます。

これに対して、配当金支払いの基準日をまたいで売り建玉を保有していた場合、配当金が支払われないのはよいとして、一方で、配当落ちにより一定程度株価が下がるため、売主にとって、一時的に買い返済により調達する株券の取得コストが減少するという利益が生じると考えられます。

これらの利害の調整は、配当落調整金により行われることになります。

具体的には、証券会社や証券金融会社によって、配当金支払いの基準日をまたいで売り建玉を保有した者から「配当落調整金」が徴収され、他方、配当金支払いの基準日をまたいで買い建玉を保有した者に対して「配当落調整金」が支払われることになります。

もっとも、配当落調整金は配当金ではないので、税区分も配当所得ではありません。配当落調整金は譲渡所得として課税されます。

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