慈正

三心コミュニティ通信

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仏のいえ(2024年4月)

今年の仁科桜は4月10日頃に咲き始め、14日頃に満開となりました。仁科桜が散り始めると、陽光桜や片丘桜、しで桜、御衣黄などの山桜が咲き、足もとにも雪割草、タツタソウ、カタクリ、水仙、シラネアオイ、、、と山野草が次から次へと境内を華やかに彩ってくれました。山鳩、イカル、鶯、蛙と鳥や小さな動物たちも歌い始めました。その中で、畑をすることは至極幸せなこととしてあります。 4月1日から梵鐘の時間が、6時から5時に変わりました。現在、毎日の梵鐘や除夜の鐘としてついているものは、平成1

    • 仏のいえ(2024年3月)

      今年は3月に入ってから二度も大雪が降りました。水分が多く重い春の雪、本堂の屋根から落ちる度に大きな音を夜通し響かせ、朝、目が覚めると中庭に立派な雪山が出来ていました。畑も3月18日まで雪一面でしたが、雪が溶けると同時にセツブンソウが現れました。 なんと言っても3月の一番の楽しみは、小さくて愛らしいこの花に会えること。旧暦の節分の日の頃に咲くからついたこの名前、確実に冬が終わったことを知らせてくれます。でも、去年はセツブンソウを見に行った直後に猫のミミちゃんが道路で轢かれてしま

      • 仏のいえ(2024年2月)

        2月3日は節分の山内全員でお経を読み、本堂から自室まで全てのお部屋に豆を撒きます。「鬼はうち、福は内」と言いながら豆を撒き、鬼役の一人がスリコギを持って「ごもっとも、ごもっとも」と合いの手を打ちます。「このからだ鬼と仏と相住める(死刑囚の遺句)」私の中にいる鬼も、たくさんの気付きを与えてくれる大切な存在です。節分の翌日は二十四節気の「立春」。地面からはスノードロップ(雪の雫)が顔を出していました。 立春の翌日、信州では大雪が降りました。せっかく顔を出したスノードロップも雪の

        • 仏のいえ(2024年1月)

          12月31日の夕方にはご本尊様や世代様に御膳をお供えし、お経を読みます。そして早めの薬石を取り、お風呂を頂いて、23時からの年越し坐禅と除夜の鐘の準備をします。昼間に降っていた雨も上がり、今回も15人ほどの人が一緒に坐り、また村内の方は二日参りをしながら除夜の鐘をついてくださいました。ここでの年越しも、5年目になりました。 翌朝は5時半には支度をし、若水を沸かします。若水とは元旦の早朝、その年のいちばん最初に汲む水のことで、その若水を沸かすのは一番若い人の仕事になっています

        仏のいえ(2024年4月)

          仏のいえ(2023年12月)

          愛知専門尼僧堂では、毎年12月2日から8日(お釈迦様のお悟りの日・成道会)の明け方まで、臘八接心が行われます。今年は青山先生のご都合で7日の早朝まで行われ、私は最後の2日間だけ参禅させて頂きました。久しぶりに僧堂で応量器を使っての食事を頂戴しました。静かな中でいただくお粥は胃袋に染み渡り、典座さんや浄人さんなどへ感謝の気持ちをいっぱいに抱きました。 修行道場では毎日応量器を使っていますが、食事が終わると沢庵を使って全ての器をお茶とお湯で洗い、最後にサラシ布が巻かれている刷(せ

          仏のいえ(2023年12月)

          仏のいえ(2023年11月)

          毎年11月15日は、お寺で一番大きな法要「お十夜」が行われます。 廃仏毀釈で無住になる前は浄土宗だったお寺なので、曹洞宗の御本尊様はお釈迦様が多い中、当寺院の御本尊様は阿弥陀様。「お十夜」というのも浄土宗の念仏行事として、旧暦の10月5日の夜から15日の朝までの10日間、昼夜を通して絶えず念仏を唱える法要でした。現在は新暦の11月15日に曹洞宗式のお施餓鬼法要を行いますが、名前だけは今も「お十夜法要」と呼んでいます。 コロナ感染症が始まる以前は、総代様、新亡ご家族様、檀家の

          仏のいえ(2023年11月)

          仏のいえ(2023年10月)

          毎年10月になるとフクロウが渡ってきます。秋冬の間、寺の横の森で過ごし、春になるといつの間にか姿を消します。夜の静けさの中「ホーホー」という声はなんとも心地いい響きですが、姿は一度も見たことがありません。植物に開花時期があるように鳥にも渡り時期があり、去年と同じ鳥なのか、去年来た鳥の子供なのか、はたまた全く関係のない鳥なのか知る余地はありませんが、私たちは鳴き声を聞いて「ボボちゃん、おかえり」と声をかけ再会を喜びます。そのやりとりは、生命のギフトとして私の心を豊かにしてくれま

          仏のいえ(2023年10月)

          仏のいえ(2023年9月)

          今年はお彼岸まで、日中35度になる日が続いていました。雨も少なく、その影響は地域の畑や境内の植物たちにありました。玉ねぎ、豆類や栗の実りが少ない、お米も粒が小さく、秋の花がいつもの時期に咲かないなど。お寺では、お供え用と自分達が食べる用に小さな畑で遊ぶ程度ですが、生業として野菜やお米を育てている方には厳しい夏のようでした。 それでも九月に入ると、カレンダーの絵柄が変わるように景色は変化しました。田んぼは一面金色に変わり、蕎麦畑も真っ白い花が咲きます。お彼岸のころになると、順番

          仏のいえ(2023年9月)

          仏のいえ (2023年8月)

          5月頃から境内で「カッコウ、カッコウ…」と鳴き続けていた閑古鳥の声も、夏が過ぎるといつの間にかいなくなり、朝夕は秋の虫の声が響くようになりました。今年の夏は例年よりも暑く、信州の日中は36度を超える日々が続きました。それでも朝は20度位で、その涼しさで身体を休めることができているように感じます。 日本の夏といえばお盆。東京などでは7月に施食会や御棚経をする地域もありますが、無量寺では8月6日に墓地檀家の施食会供養を行い、8月12日から15日までがお盆期間として「棚経」という

          仏のいえ (2023年8月)

          仏のいえ (2023年7月)

          無量寺には、広くはないけれども一通りの野菜を作るだけの畑があります。4月に土を起こしてから、じゃがいも、ねぎを植え、5月に入るとなす、ピーマン、トマト、きゅうり、かぼちゃ、ズッキーニ、オクラ、モロヘイヤを植え、ホトトギスの鳴き声が聞こえ始めると豆類を植えます。梅雨が終わらないうちに人参を植え、あとは草取りをしながら収穫を待つばかり。同時に梅雨の合間に6本の木から梅を収穫し、まず15%の塩に漬けます。SNSで友人たちの投稿を見ていると信州は半月遅い収穫。梅雨が明けると日照りの中

          仏のいえ (2023年7月)

          仏のいえ (2023年6月)

          COVID‑19感染症発症以来、入国条件に「新型コロナワクチン接種証明書」を必要としていたため、海外旅行は二度とできないのではないかと思っていました。しかし、G7サミットが日本で行われる数日前に条件が変わりました。それは、三心寺20周年に行くチケットを取るためには十分なタイミングでした。 お世話になっている寺を留守にすることには躊躇いがありながら、奥村正博老師の退董式を含んでいる20周年行事は先にも後にもない貴重な機会です。7年前にはカーネギス法光さんが副住職になり、徐々に

          仏のいえ (2023年6月)

          仏のいえ (2023年5月)

          信州の四季は都会よりも一ヶ月遅れて動くため、行事も旧暦に合わせて行うことが度々あります。お釈迦様の誕生日を祝う灌仏会(降誕会)はその一つで、無量寺では5月8日(旧暦4月8日)に行う習慣となっています。境内の花を摘み、花御堂の屋根を飾る作業は半日がかり。辛い時期を乗り越えて一筋の光の如く現れるお釈迦様の誕生は、長く寒い信州の冬を終えた後の春の現れに重なり、まだ肌寒いながらも喜びは一入です。 3月頃からスノードロップ、福寿草、セツブンソウが咲き始め、土の中で眠っていた山野草が次か

          仏のいえ (2023年5月)

          仏のいえ

          無量寺の仁科桜の見頃が過ぎると、畑に撒く種を買いに行き、鍬を構える心持ちになってきます。でも、四月はまだ一桁台の気温の日もあり、天気を見ながら外へ出る、そんな風にして過ごしています。 信州の食卓で欠かせないものとして漬物があります。11月に漬けた野沢菜を3月いっぱいは、切り立てを食べます。去年は15キロのお菜を漬けました。近年は醤油漬けをする家庭が多いそうですが、無量寺は塩4%、生姜と昆布のシンプルな味漬け。そのお菜も四月に暖かくなり始めると酸っぱくなり、「産膜酵母」というシ

          仏のいえ