石田 利生 TOSHIO ISHIDA

令和5年3月末、37年間務めた大阪府立高校を退職しました 六年間の大阪府立高校 校長経…

石田 利生 TOSHIO ISHIDA

令和5年3月末、37年間務めた大阪府立高校を退職しました 六年間の大阪府立高校 校長経験をふまえて、後期中等教育の可能性、方向性、課題について思うところを綴りたいと思い no⁺e をはじめてみました。現場の生徒たちや先生方が幸せになっていくような議論が拡がればと願います

最近の記事

「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(6)

おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 前回(5)― 第Ⅲ章 「地域」理論の考察 ― 後段部分の論考です   「地域」理論をめぐり最後に「ここに、生き、住み、働き、学び、たたかい、ここを変える」を観点とする愛媛県歴教協・愛媛近代史文庫「地域社会史論」の概要について押さえておきます その理論・実践については次回(7)で取りあげます 昭和53年(1978)改訂の高等学校学習指導要領「社会科・日本史」で、文部省は「地域」の視点を語り始めました 歴教協を

    • 「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(5)

      おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 今回、第五回では、「地域理論」の先行研究をみることにより、「地域に根ざす社会科教育」の「地域」の視点の研究史の整理を行います では、今回の前段、第五回目(5)の内容です 第2節 「地域に根ざす」の「地域」概念の解明第Ⅲ章 「地域」理論の考察 第1節 「地域」理論をめぐって  (1)上原専禄氏による「地域」の提起  (2)梅根悟氏の「地域」論  (3)宮原誠一氏の「地域」論  (4)勝田守一氏の「地域」論  

      • 「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(4)

        今回は、「地域に根ざす社会科教育」における「地域」の視点を解明する前提として「地域」の概念規定を検証します 「地域」という概念には、1970年代以降の社会科教育において、「科学(学問)の系統」と「学ぶ側の論理(生活の系統)」を結合させる=両者が螺旋階段のように相互連関・補完しながら「子どもの科学的社会認識」をはぐくむ何かが包含されていると捉えられてきました(少なくとも私はそうみています) では、今回の前段、第四回目(4)の内容です 第Ⅱ章 「地域」概念の考察 第1節 「

        • 「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(3)

          おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 私は、教員時代、社会科教師として、生徒たちが授業内容を他人事とせず自分の問題として捉えられるように「共感」から「科学的社会認識」に高めていくことを目標に授業実践に取組んできました そこから「主権者意識」がはぐくまれていくと考えていたからです このような私の教育理念は、「地域にねざす社会科教育」の「地域」の視点をめぐる1970年代・80年代の理論・論争・授業実践から学んで得たことに他ありません 今回 第三回目

        「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(6)

          「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(2)

          おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 特に「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(1)は今まで以上に閲覧していただきました。大変、励みになります 今回の前段は、次の内容を掲載します 第Ⅰ章 社会科教育の歩みと地域に根ざす社会科教育 第1節 社会科教育30年の歩み  (1)社会科教育30年の成果と課題  (2)「地域」の提起と子どもの現状 ※ 本文中、<註>は(1)~(24)で表記しています(小文字・下付け表記はできませんでした。

          「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(2)

          「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(1)

          おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 私は、1986年(昭和61年)3月に、神戸大学 教育学部 中等社会科(中等教育系 社会科)を卒業しました 中等社会科は定員10名の学科でした 少人数だったので皆とても仲がよく、初等教育科の社会専修の皆んなとも仲がよく、その関係性は今も続いています 教育学部・文学部卒の先輩・同輩・後輩で、大阪府立高校の現職・元職校長経験者仲間で定期的に親睦・情報交流会をJR六甲道駅界隈を始めとした学生時代の「庭」で行っています

          「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育80年を考える(1)

          コロナ禍の高校生(8)

          日常の高校生活へ おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! まず最初に 長時間労働を背景とする公立学校教員のなり手減少を受け、人材確保策を検討してきた中央教育審議会 質の高い教師の確保特別部会(第13回)が、5月13日、具体案を盛り込んだ「審議まとめ」を文科相に手交しました 残業代支給には目を背け、「教職調整額」を現在の「基本給の4%」から「10%以上」に増やすことに論点をすり替え 「「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備

          コロナ禍の高校生(8)

          コロナ禍の高校生(7)

          令和3年度 緊急事態宣言・蔓延防止等重点措置下の沖縄修学旅行、体育祭・文化祭 おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 大阪府内における新型コロナウイルス感染状況については、既存株に比べ感染力の強い変異株(デルタ株)への置き換わりが進む中、新規感染者数が急増しており、学校関連での集団感染事例も複数確認されている(中略)。 このような状況を踏まえ、府立学校においては、子どもたちの健やかな学びを保障するため、通常形態で教育活動を継続するが、今後、ますます

          コロナ禍の高校生(7)

          コロナ禍の高校生(6)

          令和3年(2021)3月~9月 新型コロナウイルス感染症にかかる臨時休業 こんにちは! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 大阪府への緊急事態宣言が再び発出され、新型コロナウイルス感染症に関わる臨時休業に日々対応に追われた令和3年度前半について綴っていきます 令和3年(2021)1月14日 再び緊急事態宣言が発令(2/7まで)されました 大阪府では1月12日 第35回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議において、国に緊急事態措置の適⽤要請を⾏ったことに伴い、レッド

          コロナ禍の高校生(6)

          コロナ禍の高校生(5)

          令和2年(2020)7月~10月 修学旅行・学校行事の実施 おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 箕面高校は大阪府立高校には2校しかないグローバル科・普通科併設校で、例年、夏期休業中に2方面にそれぞれ40名規模の海外研修を実施していました それに参加したくて箕高を志す生徒も多数いました 令和2年度当初年間行事計画では、サンディエゴ夏期海外研修(8/24~9/2)・シアトル夏期海外研修(9/12~9/21)を企画していましたが4月エージェントとの協

          コロナ禍の高校生(5)

          コロナ禍の高校生(4)

          令和2年(2020)6月 授業・クラブの再開 おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 6月1日(月)漸く全学年揃っての分散・短縮授業が始まりました(6月12日(金)まで) 出席番号により「1班」と「2班」に分け(1班:出席番号1~20、2班:出席番号 21~)、  「1班」9時 SHR(健康観察)40分3限授業    「2班」13時 SHR(健康観察)40分3限授業 同時に、大阪府立高校では、6月1日(月)~6月 12 日(金)にオンライン授業

          コロナ禍の高校生(4)

          コロナ禍の高校生(3)

          臨時休業期間中の登校日の開始 おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 令和2年(2020)5月 当初予定していた4月の登校日も、当面の間実施しないことになり、本来なら、学校中に響き渡る生徒たちの声も戻ってきません 私は、2年生、3年生の生徒たちと挨拶を交わしたことがありません 学校で、顔を合わすことすらなかったのです 1年生は、新入生体操服及び体育館シューズの購入日の4月7日(緊急事態宣言が発出されたその日です)に、正門で登校の挨拶をし、顔を合

          コロナ禍の高校生(3)

          コロナ禍の高校生(2)

          臨時休業措置の延期 おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 令和2年(2020)4月 私は、大阪府立箕面高等学校(以下、箕高)に異動・着任しました 辞令交付・経営企画会議・運営委員会・職員会議、担任会、分掌会議、等々と4月1日は慌ただしく過ごします 箕高でも、学校を挙げて、保護者・生徒の理解のもと、感染症対策に留意し、4月8日からの学校再開の準備を進めていました そこにはクラブ活動をする新2・3年生の声は聴こえてきませんでした 4月2日「第

          コロナ禍の高校生(2)

          コロナ禍の高校生(1)

          全国一斉臨時休業 おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 私は、平成29年(2017)年より3年間 大阪府立東百舌鳥高等学校、令和2年(2020)より3年間 大阪府立箕面高等学校(以下、箕高)のそれぞれ校長職に就きました 箕高に着任した令和2年(2020)は、4月・5月の一斉休業、6月からの分散登校ではじまりました。令和2年(2020)入学生たちは、入学式のみならず、青年期の発達段階でかけがえのない教科外教育活動である部活動、体育祭、文化祭、校外

          コロナ禍の高校生(1)

          教員の働き方改革への提言(6)

          教員の働き方改革への提言と高大接続改革 おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! 本論では、「適正な学習評価」としてのエビデンス・アカウンタビリティの根拠を、学校全体(全教科科目、教科外教育活動の総て)で、「グラデーションポリシー」の共有と実践を進めていくことに求め、「定期考査の廃止と平常点作業の見直し・削減」を断行することを提言しました 同時に、「テスト点70点(若しくは80点)・平常点30点(若しくは20点)」の思考から脱却し、新学習指導要領・

          教員の働き方改革への提言(6)

          教員の働き方改革への提言(5)

          「グラデーションポリシー」に基づく「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点による「適正な学習評価」をめぐって おはようございます! 毎週ご高覧いただきありがとうございます! めざすのは定期考査の廃止と平常点作業の見直し・削減です 定期考査に代わり、単元テストを、 平常点に代わり、パフォーマンス課題を という訳です 先ず、定期考査に代わる「単元テスト」です 単元終了時に単元の学習内容を、教科書の副読本(問題集)、使用した授業プリントか

          教員の働き方改革への提言(5)