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コロナ禍の高校生(1)

全国一斉臨時休業

おはようございます!
毎週ご高覧いただきありがとうございます!

私は、平成29年(2017)年より3年間 大阪府立東百舌鳥高等学校、令和2年(2020)より3年間 大阪府立箕面高等学校(以下、箕高)のそれぞれ校長職に就きました

箕高に着任した令和2年(2020)は、4月・5月の一斉休業、6月からの分散登校ではじまりました。令和2年(2020)入学生たちは、入学式のみならず、青年期の発達段階でかけがえのない教科外教育活動である部活動、体育祭、文化祭、校外学習等を1年次・2年次と制限を受けながら高校生活を送ることになりました

現場では何が起こっていたのか
高校生の かけがえのない高校生活・青春は、どのように奪われていったのか
コロナ禍に、大阪府立高校 校長を務めていた者として、当時の高校生の置かれた状況を明らかにし記録を残していくことは責務だと考えています

私が箕高に異動する直前、令和2年2月28日挙行の大阪府立東百舌鳥高等学校 第42回 卒業証書授与式を目前にした2月25日には文部科学省より「学校の卒業式・入学式等の開催に関する考え方について(令和2年2月25日時点)」が教育委員会に通達されました

学校の卒業式や入学式等については,かけがえのない行事であり,現時点で,政府として一律の自粛要請を行うものではありませんが,特に感染が発生している地域におきましては,学校の設置者において,実施方法の変更や延期などを含め,対応を検討していただくようお願いします。
また,実施する場合には,下記のような感染拡大防止の措置をとっていただくとともに,実施方法の工夫の例についても併せて示しますので,参考にしてください。
<感染拡大防止の措置>
・風邪のような症状のある方には参加をしないよう徹底
・参加者への手洗いや咳エチケットの推奨,可能な範囲でアルコール消毒薬の設置
・こまめな換気の実施
<開催方式の工夫の例>
・参加人数を抑えること(在校生の参加の取りやめ,保護者の参加人数を最小限とする,保護者を別会場とする等)
・会場の椅子の間隔を空けて,参加者間のスペースを確保すること
・式典の内容を精選し,式典全体の時間を短縮すること(祝辞の割愛,式辞等の文書での配付,卒業証書は代表児童生徒のみに授与など)
・予行等は取りやめ,式典当日のみの実施とすること
※卒業式を想定していますが,必要に応じ入学式にも応用ください。

文部科学省「学校の卒業式・入学式等の開催に関する考え方について」及び大阪府教育庁「新型コロナウイルス感染症に係る学校行事等の対応について(通知)」(webではDATAを見付けることができませんでした)に則り、卒業証書授与式予行は例年約4時間、体育館で行っていましたが、式典の流れを確認することに限定・整理し、体育館での予行約40分、残りはHR教室で行いました。さらに、式典の内容を精選し、式典全体の時間を短縮するために校長式辞は書面を以て代えさせていただきました
3年前、私が着任し初めて入学許可をした卒業生たちへのはなむけの言葉を直接送ることができず残念でなりませんでした

発熱・体調不良時の欠席、換気、咳エチケット、アルコール消毒液の設置等、当時考えられていた感染症対策を実施し、来賓をお招きし、保護者も参列していただくことができました
大阪府立の中堅高校でも毎年数名が進級できずに原級留置や進路変更を残念ながら余儀なくされます。また、少なくない生徒が不認定科目を抱え、進級・卒業のために、それこそ家族ぐるみで頑張られています
卒業生本人もそうですが、ご家族の喜びはどれだけのものか

ほぼ制限なく卒業証書授与式に保護者が参列できてほんとうによかった

そんななかです

令和2年2月27日、安倍総理(当時)は、第15回 新型コロナウイルス感染症対策本部で、突然、全国一斉臨時休業を要請する考えを表明しました

そして、文部科学省から 2月28日 付け 元文科初 第1585号が通知されます
これを受け同日、大阪府教育委員会より「新型コロナウイルス感染症対策のための小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業について(通知)」が発出されたのです

1 府立高等学校
令和2年3月2日から3月 15 日までの期間を臨時休業とし、併せて3月 16 日から4月7日までの期間に授業又は行事等の教育活動等(部活動を含む)を行わないこととする

2 府立支援学校及び府立中学校
令和2年3月2日から3月 24 日までの期間を臨時休業とし、併せて3月 25 日から4月7日までの期間に授業又は行事等の教育活動等(部活動を含む)を行わないこととする

学校は間もなく春季休業期間に入るので、入学式まで臨時休業となるんやな
でも、春季休業期間、クラブ活動はできへん
引退試合を目前にした新3年生はどうすればいいんや
と、私は、悲痛な叫びを発しました

3月に入ると、3月16日付け 大阪府教育委員会よりが発出され(高校のみを抜粋)、

1 府立高等学校
令和2年3月 23 日(月)から4月7日(火)までの春季休業期間においては、以下の「3」に留意したうえ、教育活動等を行うことができる。ただし、学校内での活動に限るものとする。

3 「1」及び「2」に示す教育活動等を行うにあたっては、クラスター発生のリスクを下げるため、以下の3つの原則に留意すること。(別紙参照)
(1) 換気を励行する(2方向の窓を同時に開ける等)
(2) 人の密度を下げる(会場の広さを確保し、お互いの距離を1~2メートル程度あける等)
(3) 近距離での会話や発声、高唱を避ける(やむを得ず近距離での会話が必要な場合マスク着用等)
※手指衛生、咳エチケット、共用品を使わないことや使う場合の消毒など、予防対策を徹底する。また、児童生徒等の日々の健康観察を行い、発熱等の症状がある場合には登校させないこと。

と、春季休業期間のクラブ活動は感染症対策等制限はありますができるように認められたのです!

ところが、3月20日付け、教育長名で発出された「府⽴学校の児童・生徒等、保護者及び学校関係者の皆さんへ」で教育長より、

「新型コロナウイルス対策にご協⼒をいただき、感謝申し上げます。
さて、3 月 23 日(月)からの学校での「教育活動等(部活動を含む)の再開」を楽しみにしておられた方も多いことと思いますが、本日午前 11 時から、大阪府庁において「第 9 回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議」が開催され、春季休業期間中等の学校における「教育活動等(部活動を含む)」の取扱いについての方針が再度決定されました。
残念ながら、「3 月 23 日(月)から 4 月 7 日(火)までの学校における教育活動等は⾏わないこととする」というものです。つまり、春休み中等の部活動については、一旦「実施してもよい」という判断を⾏ったのですが、本日の会議でそれが撤回され、「実施しないこと」となったということです。
部活動などの再開を楽しみにしておられた児童・生徒等、保護者、学校関係者の皆さんには大変申し訳なく思っています。こうした判断に至った理由を申し上げますので、ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。」

と、理解と協力をお願いするメッセージが届けられます

生徒たちは、束の間の喜びから理不尽な悲しみに突き落とされてしまいました

新3年生は、大学入学共通テスト初年度受験生で、大学入試英語成績提供システム(英語外部検定試験の活用)、国語・数学の記述式問題導入で、混乱極まりない状況に振り回された学年でもありました
導入に深く関わったとされるS議員、「身の丈発言」で結果的には導入見送りに貢献したH議員、いずれも今話題の先生方ですね

3月19日、吉村大阪府知事が20日からの三連休の間の大阪兵庫間の不要不急の往来自粛要請をされていました
大阪府においても新規感染者数が増加し、府民の命を守るために、クラブ活動(学校)が原因となるクラスター発生を防止するためのやむを得ない行政判断であったと理解しました

校長として出来得ることは、学校ホームページや生徒・保護者メールによる情報発信と共有、学習保障の手立てを先生方と考案する、担任団、顧問の先生方を中心とする生徒たちの心のケア、感染症対策の教員研修、等をマネジメントし、学校を挙げて実行することでした

東百舌鳥高校では、3月26日、新2・3年生の考査返却・通知表の配布、教科書購入を、午前中は新3年生、午後は新2年生がクラスごとにそれぞれ3グループに分かれて時間差で登校し実施しました


並行して、令和2年度 大阪府立高等学校 一般入学者選抜が、3月4日から6日まで出願、11日学力検査、19日合格発表の日程で実施されました

文部科学省より2月19日付け「高等学校入学者選抜等における新型コロナウイルス感染症への対応について(第2報)」2月25日付け「学校の卒業式・入学式等の開催に関する考え方について(令和2年2月25日時点)」が教育委員会に通知されます

また,高等学校の入学者選抜等に関しては,「高等学校入学者選抜等における新型コロナウイルス感染症への対応について(第2報)」(令和2年2月19日事務連絡)を踏まえ,試験会場の清掃やアルコール消毒,こまめな換気の実施,試験会場へのアルコール消毒液の設置,咳エチケットや手洗いの励行の呼びかけなど可能な範囲で感染症対策を行うようお願いします。また,新型コロナウイルス感染症に感染し又は感染が疑われる者への受検機会を十分に確保する観点から,追試験の実施等の対応を検討していただくとともに,入学志願者や保護者に対する情報提供や相談対応に努めていただくようお願いします。

文部科学省からの通知を受け、大阪府教育委員会は、「新型コロナウイルス感染症に係る一般入学者選抜の対応について」を校長・准校長宛て発出し、

   ○選抜は予定どおり実施する。(但し、感染防止の観点から受付及び検査の実施について工夫を行う。)
 ○追検査の日程を変更する。
 ○陽性反応がない(未検査を含む)場合で、経過観察が必要とされる受験者は専用の別室で受験とする。
  • 別室A 濃厚接触者(個室対応)
  • 別室B 濃厚接触者ではないが、経過観察が必要とされていて、無症状の者
  • 別室C 発熱等症状のある者

の「基本方針」を定めました

東百舌鳥高校では、教育委員会からの通知・ガイドラインに基づき入学者選抜業務を混乱なく滞りなく執り行うことができました

3月19日の合格発表は、密集状態を避けるために、合格発表掲示板を20m以上の間隔を空け、7か所での発表としました
午後からの合格者説明会は、前半・後半グループに分かれていただき、体育館・視聴覚教室を会場に行い、事務手続き・芸術選択等を中心に内容を精選しました

文部科学省、大阪府教育委員会の通知・ガイドラインに則り、当初の実施計画の変更を日々検討しながら卒業証書授与式、一般入学者選抜を始めとする学校運営を生徒・保護者に寄り添いながら、教職員の負担過多にならないよう留意しながら、全校を挙げて行ってきました

文部科学省より3月24日付け「新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」が発出され、
学校を挙げて、保護者・生徒の理解のもと、感染症対策に留意し、4月8日からの学校再開の準備を進めていました

次回は、令和2年(2020)4月の状況について綴っていきます

何かのきっかけで、現場の生徒たちや先生方が幸せになっていくような議論が拡がればと願います

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします                          


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