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つくる機会をつくる!ワークショップデザインやろうぜ(入門のお誘い)

本記事は2023年12月3日(日)Spectrum Tokyo Festival 2023「デザインと非デザイナーをつなぐワークショップデザイン入門ワークショップ」発表内容を記事用にアレンジしたものです。

デザイナーと言われる役割の方以外に、多くの方がデザインに関わる機会が増えました。それと同時に、デザインするための関わりがうまくできなかったり、関わる機会がうまくデザインできていないような課題感を持つ方もいるのではないかと思います。

Spectrum Tokyo Festival 2023サイト引用

似たような課題感を持つ方はいますか?

私は最近、デザイン業務で何かをつくろうとするとき、デザインツールに費やす時間と同じかそれ以上に、関係者と検討する時間を大切にしています。

プロセス偏重は必ずしもいいと思いませんが、関わる人の意思を大切にするプロセスは勢いや先の成果にもつながっていくものと思っています。自分や関わる人の意思を尊重しながら、よりいい「つくる機会」をつくりたい。そのため、今回の「ワークショップデザイン入門ワークショップ」や本記事の執筆をしています。

WSの様子(撮影:Yurieさん)

結論から言ってしまうと、ワークショップデザインは「誰でもチャレンジできる」し、そのうえ「様々な過程で活用できる」と思います。考えることは多岐にわたり難しく、ハードルも高く感じるかもしれません(実際に奥深く難しい)。しかしとっかかりの問題は、シンプルにあなたがどのような背景や理由で「やってみたい」「できる」になるのか、だと考えています。

より良いものづくりへのヒントに気づけるかもしれません。気になる方はぜひ読んで想像をめぐらせてみてください!整った文章ではないですが、よければSNSや社内でもシェアください!

あと、さらにゆるゆるな記事も書いてます。ご興味ありますればこちらもどうぞ!😌


どんな機会をつくりたい?

通常の会議では難しいコミュニケーションを「ワークショップ」形式で実現し、物事がスムーズに進んだ。そんな経験はありませんか?

デザインや開発、企画、ものづくりの仕事に携わる方は、特にその過程でワークショップを実践し、その有効性を実証している方も多くいるかと思います。現にさまざまな機会でワークショップは活用されています。

通常の会議でも同じことですが、「MTGしよう」「ワークショップしよう」だけで始めると、目的意識がブレたり、無用な意見の対立や忖度が発生するかもしれません。

まずは「どんな機会をつくりたい」か?取り組みの主旨や目的を考えましょう。以降の準備や計画もスムーズになります。

参加者の意思を大切にする

準備の前に「ワークショップをしても意見が出ない。」「意見が変わらないから意味ないんじゃないか?」そんな不安があるかもしれません。

ワークショップは参加者が主役です。具体的な設計や準備を進める前に、参加者の意思と、それが反映される場について考えてみましょう。

意思を捉える

クライアントの請負だろうと、自分たちの事業だろうと、つくる以上そこに関わる人には何らかの意思があるはずです。「もっとよくしたい」「要件をとにかく達成したい」「無用な衝突に巻き込まれたくない」「期限に間に合わせたい」「わかちあいたい」など、様々な意思があって物事が起こっているのだと思います。

さらに参加者の意思には背景があるかもしれません。立場上みえない複数の部署や関係者、さらに大きな経営や社会の状況、エンドユーザー、技術導入、流行りなど、何らかを抱えながら、代表してその意思を伝えているかもしれません。特にビジネス上のものづくりには、ステークホルダーの声の尊重や折衝によって意思を整える機会が重要になります。

まず誰がどんな意思をもっていそうか?仮説でも意思を捉えたうえで、以降の参加者検討に進めましょう。

意思を出せる場にする

意思があっても出せる場がないと糧にはできません。出してみないことには、自分にも関係者にとっても何が足りないか分かりません。逆に意思がなく、必要性がなければワークショップを無理にするものでもありません。

ワークショップで参加者の意思を糧にするため、意思を出しやすいセッションやプロセス、ブレストボード、問い、など工夫をしてみましょう。

ワークショップの3要素

意思をうまく取り込み、ワークショップを成功に導くため、3つの要素が必要だと考えています。これらを解説していきます。

ワークショップの3要素:参加者・プログラム・ファシリテーター

1. 参加者

まず“誰か”を想定することから始めてみましょう。どんな人が参加しそうか?それぞれにどんな問題点や課題を抱えているのか?そして、集まった際に言いづらいことはないのか?あらかじめ参加者の状況や課題、期待を想定しておけると、場づくりのヒントになります。

参加者によって議論にするほど意見が出なかったり、逆に空中戦のようにぶつけあうことは避けたいですね。先に参加者間の対立が起こらないよう考慮やネゴシエーションもしながら候補を決めておくことが有効かもしれません。

2. プログラム

プログラムは狙いをもって備えることが大事です。コンセプト、スタートからゴールの間にあるワーク内容、準備まで考えていきます。

いずれも「(自分たちが)どう実施するか」だけを考えるのでなく、参加者にとってどのような取り組みになるか考慮しておく必要があります。順にみていきましょう。

2-1. コンセプト

このワークショップの目的や期待効果を考えましょう。
“誰か”が集まったところで、何に向かっていくのか。そのあと、どうなっていたいのか想定します。

目的に向かって、ワークショップ後の期待効果(成果)を叶えるため、現在の狙い、期待を考える

目的としてどういった狙いがあるのか?ゴールでは、どのような結果が待っているのか?参加者がみても、取り組みの狙いまでしっかり伝わるコンセプトを検討しましょう。

2-2. ワーク内容

コンセプトを踏まえて、ワーク内容を考えます。スタートとゴールがどのようにつながるのか?あなたがそこでどんな問いかけができるのか?参加者の思考や行動はどう変わっていくのか?

何をするか漫然と考えるのではなく、取り組みと参加者の双方向なコミュニケーションを想定したいところ。思惑に通りにならない(だからワークショップにする必要があるのかも)ので、目的や参加者を思い浮かべながら、理想だけで考えないよう注意が必要です。

ワークショップの前後で参加者はそれぞれのことをしています。
相手の状態や心理が揃っていない状態からどうスタートし、いかにゴール後につながっていくかが重要な考慮ポイントになります。

導入はバラバラであり、事後は終わった気になりがち

スタートとなる導入でまずは取り組むための姿勢になってもらったり、それぞれの状況や関心を共有したり、アイスブレイクや主旨説明の中で工夫して文脈がつながるように組み立ててみましょう。

形式的にアイスブレイクして楽しい雰囲気をつくったあと、内容がお葬式だったら?切り替えが辛く、逆効果を働くかもしれません。コンセプトから大きく逸れないようにうまく導入をつくりましょう。

また、ゴール以降も重要です。ワークショップ内でがんばってやりきった!そのまま終わってしまうこともありますが、ワークショップはあくまで過程。そのため前もってスタートとゴール(目的や目標を含む)を想定しておき、その後の目的にむかってどう行動していけるか考慮しておきましょう。

そのうえでスタートとゴールの間にある、一つひとつのセッションで何をするのか?

ケースバイケースなため詳細は割愛しますが、ひとつだけ、共通で言えそうなこととして「参加者の動機」「取り組みやすさ」は考慮しておきましょう。ワークショップの主役は参加者です。こちらの思惑で「こうやってこうなった結果こうなって..」といった長いプログラムを用意しても、参加する方がついてこれなくなるかもしれません。ステップも数ステップ以上あると難しくなります。

取り組みと狙いを把握できるステップで考える

ワークショップデザインは、個人の自由な意思をコントロールするための場づくりではありません。プログラムも参加者の意思が反映されやすく、参加者の視点にも立ち、関与しやすい余白を残しましょう。

2-3. 計画・準備

ある程度やりたいことが決まってきたら、準備物や場のレイアウトも考えていきます。

誰もがはじめからキレイに作れるわけではないため、一度発散的にプログラムを考えたのち、参加者の観点で中身を差し引いたり、整理ができると計画や準備がしやすくなるかもしれません。


ここまでプログラムや場づくりについて書いてきました。
大切なことは、場にのぞむ参加者が主役であることだと思います。参加者が主役になれる、その意思が反映できる、場づくりやワークショップを検討、設計してみましょう。

3. ファシリテーター

ワークショップには本番があります。ここで重要になるのはファシリテーターの存在です。

ファシリテーターは決まった内容を進行する司会ではありません。中立的な立場から問いかけ、その場に参加者の意思を引き出す、ワークショップのひとつの重要な要素となります。

その場でどのような振る舞い、問いかけ、促し、関わりができるか?本番で参加者と見つかることが多くあります。その時点での議論や場の状態をみながら、あなた自身がファシリテーターになり参加者の意志に問いかけてみましょう。

あなたらしいファシリテーション

ファシリテーションは経験がない方にとって、特にハードルを高く感じるポイントかもしれません。

「ファシリテーターとしてどんな振る舞いがいいんだろう..?」「どんな言葉をかけるべきかな?」私の読む限りの文献や経験から、ここに「決まったひとつの正解」はないと考えています。もちろんインプット自体は無意味ではありませんが。

インプット学習だけでは、根底で倣えないことがあります。性格や表現まで「急に変えよう」と思っても難しいです。コミュニケーションのスタイルも人によって個性、得意・不得意があります。ファシリテーションも同じです。あなたらしいスタイルのファシリテーションが何かを探してみるのはいかがでしょう?

表面的な作法を倣う以上に、あなたが既にもっているスタイルで導くことを考えてみてください。そして「やってみたい」「これならできる」と思えるファシリテーションを探してみましょう。まず入口に立つことが重要です。

「したい」「できる」を未来につなぐ

「難しさ」「複雑さ」「予測できなさ」など、たくさんのことを考慮していく必要に触れました。しかし、それ自体をネガに捉えていると機会はつくれません。これからワークショップデザインに取り組みたい方は、意識的に初心に返り、望ましい結果や未来を想像してみましょう。

あなたが「つくる機会をつくる」ことによって、同じ物事に関わる人の協力や推進につながったら?

緊張の空気が張り詰めた会議ではなく、より多様な人たちの力を合わせて、チームや組織が気持ちよく物事を進めていけたなら?

たぶんみんなハッピーです。
この記事であなたにとって大切に思えることがあったら、ぜひチャレンジしてみてください。

そんな中であなた自身の「これがしたい」「これならできる」が見つかり、きっと参加する方々を望ましい未来へと導いていけることでしょう!

ワークショップデザインは言葉で語りきれないほど奥の深い分野ですが、応援の気持ちを込めて。ご拝読ありがとうございました。

後日談

参加者の方がレポートしてくれました!
情報収集したものはこちらに引用させていただきます。

実施後のふりかえり


もし、サポートいただけるほどの何かが与えられるなら、近い分野で思索にふけり、また違う何かを書いてみたいと思います。